大菩薩嶺(4回目)
晩秋の落ち葉山行といえば大菩薩。前年にその魅力を知って、再び行くことに決めていました。

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夕陽に染まる富士山(大菩薩峠付近より)

@期間 11/17〜18(1泊2日)
A同行者 Ar君
Bアプローチ 行き:JR塩山駅から大菩薩峠登山口までバス

帰り:小菅(池ノ尻)バス停からJR奥多摩駅までバス

Cルート 第1日:大菩薩峠登山口バス停(裂石)−上日川峠−唐松尾根−雷岩−大菩薩峠(介山荘泊り)

第2日:大菩薩峠−フルコンバ小屋跡−ノーメダワ・・・・・小菅

D天候 第1日:晴

第2日:晴ときどき曇

E所要時間 第1日:歩行時間3時間45分、休憩時間1時間15分

第2日:歩行時間4時間半、休憩時間1時間

Fポイント ・大菩薩に行こうと考えていました。と、Ar君から誘いがかかりました。大菩薩に行かないか。初めての山行が彼との雲取山でした。僕に山の楽しさを教えてくれた友人は、その後、しばらく山から遠ざかっていたのでした。

・一緒に登るのは7年ぶり。バスの中で、Ar君は昔懐かしい写真を見せてくれました。写真の中の彼と、目の前にいる彼を見比べてしまいました。すぐに察知されて、頭を小突かれそうになりました(^^;;。髪の毛がふさふさだったのですね〜(笑)。

・バス停を後にして登り始めます。本格的な登山道に入れば、落ち葉に敷き詰められた好ましい道。上日川峠までの道は、自然林で所々に展望も得られるので、ひそかに気に入っています。この区間をタクシーで登って省略してしまうのは勿体無いです。

・上日川峠に出ると、冠雪した南アルプスが目に入りました。間ノ岳のカールが雪を湛えています。しかし、薄曇りなので、写真はあきらめました。奥秩父にも白いものがみられました。当然です。なぜなら、上日川峠の近くにも雪があったのですから。

・福ちゃん荘、唐松尾根を経て、雷岩へ。2週間前の鷹ノ巣山でダメージを受けた左足の太腿を気にして、ゆっくりと登っていきました。

・大菩薩嶺の山頂に行きます。樹林帯は溶け残った雪で真っ白でした。引き返して雷岩で休みます。風が少し吹いていて多少寒かったのですが、まずまずの陽気でした。

・ゆっくりと下り坂を辿って、大菩薩峠の介山荘に着きました。道中で、夕食が楽しみ、カレーが楽しみ、と何度も言ってたら、卑しい、とAr君に言われてしまいました。そういう彼は、ビールを飲みたい、お酒が楽しみ、と言っていたので、同じことなのですね〜。

・とりあえず乾杯したあとは、外に出て景色を眺めていました。笛吹川が夕陽を反射しました。富士山は森林限界まで冠雪していました。日没時には、ほのかに紅く染まりました。夕焼け雲も染まり、薄暗くなるまで外にいました。

・小屋に戻れば、やがて夕食。おかずも、お代わり自由のカレーライスも美味しいです。またしても、”う〜、食った、食ったぁ”この小屋は食事するだけでも泊まる価値ありと個人的に思うのです。
「それにひきかえ、雲取山荘の食事はねぇ・・・」
同宿のおじさんが言います。よく聞く話です。またかよ・・・食わせてもらってるだけ有り難いと思っているのに贅沢じゃない?と、心の中で思うのでした。

・介山荘の若主人は、年々貫禄がでてきています。外へ出て、恒例の夜景の説明です。今年は、この1週間で急に冷え込んで、雪が立て続けに3回降ったとのこと。それにしても、ここへ来るときはいつも夜景を見ることができているので、天候との相性がいいのです。

・翌朝、空は雲に覆われて富士山は見れませんでした。しかし、西北の彼方に、雪の衣装を纏った乗鞍岳を見ることができたのです。今まで知らなかったので、感激でした。(写真は露出が合わずに、大失敗でした)

・曇り空の下、丹波に向けて歩き始めます。気温は零下2度。吐く息が白い。針葉樹のトラバース道、熊沢山の北面には雪がかかっていました。と、急にAr君が立ち止まり、「財布を忘れた!」。急いで小屋に戻って行きました。20分ほどで戻ってきました。よかったね〜、今気付いて・・・

・再び歩き始めます。荷渡し場、フルコンバ小屋跡、と過ぎて、いよいよ落ち葉の中を深く潜るように進みます。いつしか、雲が減って陽射しが戻ってきました。奥多摩の山々も見渡せます。1年前の山行で、心洗われた落ち葉のエコーも、今度は二人分。何か話そうとすると立ち止まる必要があるほどでした。

・見事なミズナラとブナの混生林はすっかり葉を落としています。足首まで埋もれるほどです。ひときわ大きいホオノキの葉も敷かれています。朴葉味噌が食べたいな〜。やがて、ノーメダワに着いて一休みしました。

・丹波に向けて再び歩き始めます。尾根道伝い、東側の斜面には鮮やかなカエデの紅葉が見られるようになりました。しばし足を止めて、写真を撮ります。またか、という顔をするAr君。下山時間は見当がついているので、下山してからバスの時間まで余裕があることは明らかだったのです。

・落ち葉の道が続いていました。やがて右側へ下り始めます。道なりに行きます。しかし、どうもこの道、下りすぎてないか・・・つづら折れが繰り返されているのです。
「何か変じゃない?」Ar君も疑問を持ち始めていました。

・地図を見ると、丹波へ向かうコースは途中から進行方向右側へ尾根筋を外れています。だから、悪い結果を素直に受け入れるには、もっとはっきりした状況が現れてから、そんな気持ちでした。

・進んでいくうちに次の状況が現れました。枯れた下草が完全には踏まれていませんでした。次いで、太陽との位置関係から、南から南東に進んでいることが判明してきました。そして、やがて、古い指導標が目に入りました。
<ノーメダ、大菩薩峠←→小菅>やっぱり!
地図上のコースから放り出された我々に緊張感が走りました。

・「戻ろうか?」しかし、それは本心から出た言葉ではありませんでした。地図にない道とはいえ、小菅を目指していることは明らかでした。Ar君の表情にも、戻るという選択肢を積極的に受け入れる様子はありませんでした。だからしばらく進むことにしました。

・1ヶ所、沢を回りこみました。踏み跡が分岐し、指導標があります。古いものです。
<赤沢を経て小菅へ>
沢沿いに下りる方法もありますが、かつての登山道だったとはいえ、沢は下りるなの鉄則で、ここはパスです。

・道はトラバースしながら少しずつ下っていました。ふと右側を見上げると、1時間ほど前に休んでいたノーメダワが見えました。とすると、今、自分たちは赤沢と今倉沢の間にある支尾根にいるようです。踏み跡は、明瞭になったり、細く目立たなくなったりを、繰り返していました。朽ちかけた桟橋を渡るときには緊張しました。

・やがて見晴らしの利くところに出れば、丹波への尾根筋、牛ノ寝通りの稜線が見えました。随分と高度を下げてきたことがわかりました。少し歩けば、やや規模の大きな沢に出ます。今倉沢のようです。そこに落ちていた小さなペットボトルに安心しました。かなり新しいものでした。

・植林帯の中を進むようになります。指導標は既になく、代わりに水源林の区画を示す標示が頻繁に出てきます。幾つかの分岐点に達するたびに、より踏まれている道を選びました。やがて現れた分岐点、左に行けば中腹のトラバース、右は下山の方向。
「下りよう」
より踏まれている右を選択し、下山にかかりました。

・太腿を気にして、ゆっくりと下りていきます。植林帯で見通しが利きませんが、尾根状の道を下っているようです。やがて、再び自然林に出てくると、奇妙なレールが現れました。伐採した木を運ぶのでしょうか?

・道はつづら折れになり、そのレールを絡むように続きました。急になった下り坂を慎重に下り続けていると、突然、眼下に車道が出現しました。そんなに下りてきているとは知りませんでした。

・車道に下り立つと、すぐ傍に、水源林の看板が立っています。地点は、白糸の滝の少し下流でした。最後はどうやら、追分から下る廃道を辿っていたようでした。

・晩秋の谷間を歩き始めます。緊張感から解放された我々は、思い思いに景色を眺めながら、小菅へと歩きます。降り注ぐ陽射しに、紅く染まったカエデが輝いていました。

・4kmほど林道歩きが続きました。バスの発車時刻までは余裕があります。小菅川が刻む谷も、多摩川源流の他の谷と同様に深く、味わいのあるものでした。何も気にすることのない、つらさのない林道歩きは初めてのことでした。今、ここを歩いていることが信じられない、そんな思いが時々、胸の中を駆け巡りました。

・深い谷が少しずつ広さを増すとともに両岸の山が高度を下げてきました。やがて、段々畑が現れ、小菅の集落に入ってきました。大根の収穫に精出す人、たわわに実った柿を摘む人、摘んだ柿を軒下に干す人、道端で世間話に興じるおばあちゃん、人懐っこく挨拶する子供・・・。いいなあ、この雰囲気。まるで、小菅に、来るべくして来たような、そんな錯覚をもつのでした。

・役場前を過ぎて、池ノ尻集落へ。廣瀬屋旅館で風呂に入り汗を流し、去年も口にした手打ち蕎麦を味わいました。Ar君とはちょっとした反省会はやりましたが、後はいつもの取り留めのない会話になってしまいました。ここで話すような話題じゃないのにな〜

・店のおばあちゃん、僕の顔を見て「見覚えある」と言ってきました。そうです。去年もここで蕎麦を食べたのですよ。そしたら、果物やお菓子を次々とサービスしてきて・・・なんだか申し訳ない気持ちになってしまいました。結局、2時間ほど休んで、奥多摩駅行きのバスに乗って帰りましたとさ。

G総括 ・2日目がすべてでした。まさか、大菩薩でコースを誤るとは思いもしませんでした。丹波大菩薩路は6年前の初夏に踏んだコース。記憶が曖昧な上に、季節も異なりました。それを考慮に入れずに、楽勝だと思っていたのは事実でした。去年、初めての牛ノ寝通りを入念にチェックしていたのとは対照的でした。

・遭難はどこでも起こりうることを実感しました。たまたま穏やかな天候だったことが救いでした。コースの誤りを認識したとき、戻るべきでした。それができないこともまた、精神的な甘えだと思いました。

・逆に、このあたりの地形や枝道などを熟知していれば、いくらでも対応できたのかもしれません。しかし、地形図を叩き込んだとしても、地元の人でない限り自由に行き来することはできないでしょう。

・晩秋の落ち葉山行としては、満足できるグレードだったと思います。また同じ時期に、この日の検証も兼ねて、同じコースを下ってみたいと考えています。これだけは絶対にやらねば・・・

H気付事項 ・迷いそうになったポイントを挙げることはできるのですが、実際にどこで外れてしまったかについては、挙げようがありません。これを読まれた方は、私のような過ちを犯さないようにしましょう(^^;;

・丹波大菩薩路は歩きやすいとはいえ、トラバースも所々にあるので、冬季はやはり要注意だと思います。また、冬季にこのコースを登りにとる場合は、日没時間に十分注意すべきだと思います。

 

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西日に輝く笛吹川(大菩薩峠付近より)

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ノーメダワより見上げる大菩薩嶺

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小菅川沿いの道

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小菅集落

 


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