八紘嶺〜七面山

GWの安倍奥は3年連続となりました。
八紘嶺から下りが続いた鞍部がインクラ跡と呼ばれる場所。鬱蒼とした樹林帯に霧が流れていました。

八紘嶺〜七面山の鬱蒼とした稜線の雰囲気

@期間 2004/5/1〜3(2泊3日)
A同行者 ネット仲間(Mackeyさん)
Bアプローチ 行き:JR静岡駅より安倍大滝入口までバス

帰り:七面山温泉よりJR身延線・下部温泉までタクシー

Cルート 第1日:安倍大滝散策

第2日:梅ヶ島温泉[800m]−富士見台[1560m]−八紘嶺[1918m]−インクラ跡[1760m]−第2三角点[1964m]−希望峰[1980m]−七面山[1982m]−敬慎院[1770m]

第3日:敬慎院−奥の院[1650m]−安住坊[1000m]−七面山温泉[320m]
(注:地図記載以外の標高は、読み取った値です)

最高点:七面山頂・標高1982m,難易度:☆☆☆☆★

D天候 第1日:晴

第2日:曇のち晴

第3日:曇ときどき雨のち晴

E所要時間 第1日:約1時間半(歩行+休憩時間)

第2日:約8時間半(歩行+休憩時間)

第3日:約4時間半(歩行+休憩時間)

Fポイント
(第1日)
・GWの安倍奥行きは3年連続、混雑を避けての山行に最適で恒例となりつつあります。八紘嶺から七面山への縦走は残された宿題でした。今回は、安倍奥に興味を持ったネット仲間のMackeyさんが同行することになりました。

・静岡駅からバスに揺られて梅ヶ島温泉に向かいます。既に6回目で見慣れた景色です。深い渓谷に新緑が映えていて、Mackeyさんが「へぇーーっ!、きれいー!」と感動することしきり。斜面のあちこちにフジの花が目立っていました。

・安倍大滝入口に着いて、今まで見たことのない安倍大滝を散策します。落差80mの滝はさすがに迫力がありました。水量もかなりあって水煙が飛んできます。太陽の光をうけて虹がかかっていました。

・この日は大滝の散策でおしまい。梅ヶ島温泉のぬるぬるのお湯に浸かって翌日の縦走に向けて鋭気を養いました。

※印の写真はクリックして拡大表示できます。

水量が多く迫力がありました。

安倍大滝は落差80m

水煙舞い飛び、陽射しを受けて虹が掛かっていました。

水煙に虹がかかった

小さな花です。最初はわからなかったけど、ハコベと知って少しがっかり。でも可愛いので載せました。

沢沿いに咲くハコベの花

陽が傾いてきて、光と影がくっきりとしていました。

深い谷間に傾いた陽が射す

(第2日) ・朝、目が覚めると、曇り空です。深い谷間から見上げる稜線は雲の中。天気はゆっくりと下り坂とはいえ、予報よりも悪い。山の天気は先行するんだな。稜線からの展望を当てにしているので、少しブルーな気分でスタートします。

・八紘嶺の登山口から登りはじめると、さっそく九十九折の急登が続きます。起きたばかりの身体に応えます。ついついと「よいしょ、よいしょ」と声が出ます。Mackeyさんもつられて時々「よいしょ」と口にしていました。

・しばらくは植林帯の中を我慢の登りが続き、やっと自然林に出てきました。一旦林道に出て再び登山道に入ると、富士見台まではブナ林が続いていました。雲の中に入ったようで、濃密なガスが流れています。富士見台からは見事な富士山が見えるはず・・・なのですが、今回は一面真っ白な世界でした。

・八紘嶺へ向けて稜線の登りが続きます。眼下に深い渓谷が見えるはず・・・なのですが、これも真っ白な世界。ガスはいよいよ濃くなって、針葉樹からは水が滴ってきました。まるで雨が降っているようです。

・しかし、こんなときには足元の花に目が行くものです。1ヶ所だけでしたがとても目立つ黄色い花が咲いていました。名前は不明。それから、スミレも所々に咲いていて、前の週の御前山でHgさんから教わったことを復習しようとするけど、みんなタチツボスミレに見えてしまうのでした(笑)。

・八紘嶺で昼食をとったら、展望もないのですぐに出発します。しばらくは少し急な下りが続きます。今まで来た道とは違って、急に山深い雰囲気に包まれてきました。

・笹の刈り払いされた道が続きます。下りきったところの小広い場所が「インクラ跡」。正しくは「インクライン跡」で、インクラインとは伐採された木材の搬出装置のことだそうです。古いガイドブックには残骸が残っていると書かれていましたが、何もそれらしきものは見当たりません。(あとで写真をみたら、七面大明神が奉られている朽ちた木組みがそれのようだ)

・ここからは第2三角点へ向けて登り返しが始まります。しかも単純に上り続けるのではなく、アップダウンの繰り返しでした。高度を上げると針葉樹林とダケカンバ林が交互に現われて不思議な雰囲気です。このあたりが一番きついところでしたが、第2三角点に着く頃、雲に切れ間が出てきて薄日も射してきました。

・希望峰までの道は奥秩父のような針葉樹林帯が続きました。徐々に晴れ間が広がってきました。緩やかな道になり、陽射しに輝く樹林帯を歩くのは快適です。このあたりから足元にバイカオウレンの花が見られるようになりました。小さな純白の花、Mackeyさんも気に入ったようで何度も写真を撮っていました。

・希望峰で視界が一気に開けます。ガスの切れ間に南アルプスの稜線が見えました。目の前には白峰南嶺の笊ヶ岳、布引山が、その奥には残雪の聖岳を見ることができました。西から押し寄せる雲に何度も隠されながらも、予想外の展望をしばし楽しんでいました。希望峰の東側には樹間から富士山を見ることができました。

・ここまで来れば長かった縦走も先が見えてきました。希望峰から再び樹林帯を行けば、窪地を右に見て七面山へ向けての緩い登りが始まります。バイカオウレンが増えてきて、踏みつけそうになるほどです。
「うじゃー、と咲いてる〜!」「すごーい!キレーーイ!」
喜ぶMackeyさん、自分もいつしか地面に這いつくばって写真を撮っていました。

・七面山の山頂は木が伐採されたなんとも味気ない広場です。そのまま通り過ぎて、今日の目的地である敬慎院へと下っていきました。視界が開けて、西日を受けた敬慎院の建物群が見えました。壮観でした。

・読経が聞こえる中、敬慎院に着きました。こんな深山の中、圧倒される規模です。受付をしていると、次々と信者が到着していました。全国から集まっていることを知り、神妙な気持ちになりながら、案内された部屋に向かいました。

・夕食は質素な精進料理。その後、開帳式に臨み、七面大明神との対面を果たしました。南無妙法蓮華経の読経が腹の底から響き渡るような迫力でした。部屋に戻って眠りに就きました。信者と登山客が一緒の不思議な空間でした。

※印の写真はクリックして拡大表示できます。(*)印は同行者撮影

自然林に出ると幹の滑らかなブナの木を見つけました。このあたりは既に芽吹いていました。

新緑のブナ

短い区間ですが、いい雰囲気の場所がありました。

富士見台手前のブナ林

 

富士見台から八紘嶺への登り、ガレ場の付近に咲いていました。

この花がわからない

スミレは結構たくさん咲いていました。(*Mackeyさん撮影)

アケボノスミレ?(*)

写真でよくよく見たらこの木組みのことか・・・

これがインクラ跡?
(七面大明神が奉られている)

このあたりは、笹の生い茂るダケカンバ林でした。(*Mackeyさん撮影)

ガスの樹林帯を行く(*)

第2三角点への登りが続けば、奥秩父のような濃密な針葉樹林帯です。

鬱蒼とした針葉樹林帯

雲が切れて青空がのぞいてきました。

第2三角点のダケカンバ

今までの鬱蒼とした樹林帯が切れて視界が開けました。

希望峰に着く

雨畑の深い渓谷を挟んで聳える姿が、雲の切れ間からシルエットで見えてきました。

布引山、笊ヶ岳(希望峰にて)

かすかに残雪の峰を認めました。赤石岳かも?画質調整しています。※クリックして拡大表示

※かすかに見えた聖岳(希望峰にて)

東側もすっかり雲が切れて、富士山が浮かんでいました。※クリックして拡大(*Mackeyさん撮影)

※希望峰から望む富士山(*)

アングルファインダーを使い、ギリギリまで引き寄せて撮影しました。沢山咲いていました。

バイカオウレン

(第3日) ・ご来光を、と期待しての起床。しかし、外の景色は白一色。見事なほどの濃霧が覆っていました。それでも、信者は東側の門の外にある広場で、儀式に臨んでいました。晴れの日も雨の日も、欠かさず太陽の恵みに感謝するんだなぁ。

・朝食を摂って小雨の降る中を出発します。奥の院まではほぼ平坦な道で、車が通れる広さがありました。奥の院を過ぎて本格的な下り坂にかかります。とはいえ、参道なので足元がしっかりしていました。

・下り坂は続きます。敬慎院が50丁目で、登山口の七面山温泉が0丁目。確実にカウントダウンして行きます。これが手頃な感覚なので、それほど苦痛ではありません。明らかに登山者でない人たちとも沢山会います。白装束を着た一団とは相前後しながらの下りとなりました。

・やがて雨は上がってきたので、合羽を脱ぎます。自然林の中を高度を下げて行きました。新緑の中、所々で耳に届く読経がいつもと違ったBGMとなりました。

・足元には至るところにイワカガミがありました。上の方は蕾をつけたばかりの光沢の葉が目立つだけでしたが、下るにつれて花が咲きだしています。不思議なことにすべて白花でした。ピンク色はまったくありません。やがて、至るところに群落となって現われてきました。すごいすごい。何度も何度もレンズを向けました。一旦途切れても再び現われてきました。

・19丁目の安住坊で一休み。ここには樹齢700年(確か)のトチノキの巨木がありました。ものすごい風貌で、枝を一杯に広げていました。雲が薄くなってきたようです。まだまだ下りが続くのでまったりとしていられません。根が生える前に出発です。

・所々に休憩用の屋根付きベンチがあります。信者の中には80歳くらいと見られるお年寄りもいました。前後の信者が手にするロープにつかまりながら下っていました。標高差1400mの道を登ってきて、今、下山にかかっています。信仰心の厚さゆえのことと頭でわかっていても、常に転倒の危険を抱えながら歩き続ける姿に凄味を感じました。

・ひたすら続く下り坂。気温がどんどん上昇してきました。高度を下げてきたことは、気温だけでなく、深い谷間から湧き上がる音からもわかりました。やがて、展望地に出ると、眼下に富士川の支流、早川の流れを認めました。天気が回復してきて、新緑の山肌が目に鮮やかでした。

・植林をからむようになると、2日間の縦走もラストステージです。陽が射してきてかなり暑くなってきました。谷間の音がどんどん増してきて、10丁目、・・・、7丁目、・・・、5丁目とカウントダウンして行きました。そして3丁目まで下りてきたとき、後ろを歩いていたMackeyさんの悲鳴が!振り返ると、転んでお尻をしたたかに打ったようです。あ〜痛そう(>_<)。それにしても、自分も経験がありますが、もうすぐ下山というところで事故って起こるものですね。

・12時頃に七面山温泉に下山。さてお風呂に・・・と思ったら「今日は貸切で入れません」とのこと。がーん!バスまで1時間以上あるので、仕方ないので、タクシーで下部温泉に移動して、ここで汗を流しました。

G総括 ・谷間の新緑、自然度の濃い稜線、そして信仰の道。安倍奥のいろんな魅力が凝縮された山行となりました。今回は天候にはそれほど恵まれなかったけど、これまでの安倍奥の山行でも最も長いコースを歩けて充実した山行でした。

・今までの安倍奥にあるような笹原の明るい稜線とは一味違った雰囲気でした。核心部の八紘嶺から七面山までは、濃密でワイルドな自然林が続きました。通過時刻が遅かったせいもあって、誰にも会わない縦走となりました。

・今回は安倍川流域から富士川流域を結んで歩いたという点で、別の領域を知ったような山行でもありました。次回はどこを歩こうかな・・・天子山塊あたりもいいかな。安倍奥もまた秋に歩いてみたいし・・・。行きたいところは山ほどあるのでした。

・Mackeyさんも安倍奥の魅力を満喫してくれたようで、よかった、よかった。最後に痛〜いオマケがついたのが残念だったけど、お疲れ様でした〜(^^)

H気付事項 ・我々が歩いたときには、梅ヶ島温泉から安倍峠へ向かう林道が土砂崩れで通行止めになっていました。地元の関係者に予め確認するほうがよさそうです。

・八紘嶺から七面山への道は以前は刈り払いがなされていなかったようで、道迷いが発生していたようです。しかし、最近は刈り払いがちゃんとなされているし、赤テープもばっちりです。(マニアック向けではなくなったということですが・・・)

・七面山から敬慎院の間、尾根の東側は”ナナイタガレ”と呼ばれる大崩壊地になっており、以前のコースが付け替わっています。ロープの中には入らないように。(我々は入ってみましたが、命の保証ができない恐ろしさでした。足元の土が突然崩れることも考えられるので、良い子は真似しないように!)

・言うまでもありませんが、敬慎院の敷地の中では、動物性の食物はご法度です。食事を断って自分たちで作ることもできません。

※印の写真はクリックして拡大表示できます。(*)印は同行者撮影

最終日の出発です。

雨の中の敬慎院

※クリックして拡大表示

※ウスギヨウラク

白いイワカガミの群落がいたるところにありました。不思議なことにピンク色は全くありませんでした。(*Mackeyさん撮影)

白いイワカガミ(*)

標高1000mのところにある安住坊には樹齢700年?の大トチノキが・・・。余りにも大きすぎてレンズに収まりきらない

安住坊の大トチノキ

富士川の支流・早川です。渓谷の新緑が見事でした。

下山間近、早川の渓谷を展望する

 

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