黒部五郎岳〜雲ノ平 | |
期間 | 8/13〜17 |
全体行程 | 折立−太郎兵衛平−黒部五郎岳−五郎平−鷲羽岳−雲ノ平−薬師沢−太郎兵衛平 (難易度:☆☆☆★★) |
第3日(8/15) | |
ルート | 五郎平−(巻き道)−三俣山荘−鷲羽岳−ワリモ岳−岩苔乗越−祖父岳−雲ノ平(雲ノ平山荘泊り) |
天候 | 晴ときどき曇,朝のうち霧 |
所要時間 | 歩行時間約5時間半,休憩時間約2時間,雲ノ平散策2時間 |
ポイント | ・この日は,黒部源流を挟んで反対側に見える雲ノ平山荘までのロングラン。自分としてはかなり早めの出発です。通常は十分に体調を整えてから出るため,平均よりはかなり遅く時には小屋でラストになることもあるのです。 ・霧の中,三俣蓮華岳への登りがはじまります。岩がゴロゴロした沢状の道を通過すれば,やがてハイマツ帯を行きます。 ・巻き道への分岐が近づいた頃,急に霧が晴れてきました。三俣蓮華がはるか上に雄大に聳え,やがて足元からはカールが,黒部源流が,そして鷲羽岳が雄大に見渡せるようになりました。言葉に尽くせない鮮やかな展開です。 ・カールのお花畑と雪渓を過ぎれば,やがて三俣山荘につきました。待望の槍が雲の間から見え隠れしていました。そして,目の前には,去年,霧の晴れ間から一瞬だけ見えた鷲羽の堂々たる姿が迫ってきました。 ・10分ほどの休憩のあと,鷲羽岳に向けて歩き出します。やや下って鷲羽乗越(2536m)を過ぎるとすぐに急登が始まります。 ・花崗岩のガラガラした中をひたすら登って行きます。このときは全身に体力がみなぎっていました。疲れは心地よい程度にしか感じず,心は山頂に向かっていました。鷲羽池が見えて,そして,ついに鷲羽岳の山頂(2924m)につきました。 ・既にガスが湧き上がっていて,時折視界が閉ざされます。山頂に着いた頃には残念ながら槍は姿を隠していました。しかし,目の前には黒部源流と祖父岳ののびやかな姿が,そして少し距離を置いた位置には,黒部五郎岳の見事なカールが見られました。 ・雲の湧き上がりが早いので,予定を早めて食事をとりすぐに出発することに。鷲羽岳を後にしてワリモ岳へ向かいます。このあたりは花が豊富でした。イワツメクサ,タカネツメクサ,ヨツバシオガマ,タカネシオガマ,イワギキョウ(orチシマギキョウ),ミヤマコゴメグサなどです。 ・ワリモ岳の山頂直下を巻こうとしていた時のことでした。くくりつけてあった三脚が外れて谷側へ・・・完全に落としてしまったと覚悟したら,1mほど落ちたところで辛うじて岩に引っかかっています。しかし,落ちれば大怪我をしそうです。登山道から一歩踏み出し,懸命に伸ばした手で必死で掴みました。石がガラガラ落ちて下にいた人の注目を浴びるし,無事取り返したときには震えがきました。(やはりザックの外に物をくくりつけるのはよくない,と反省) ・雲ノ平への分岐点手前で再び休憩。尾根沿いには水晶岳が眼前に迫ります。眼下は黒部源流で,沢音が響いてきました。そして,硫黄臭が風に乗って漂ってきました。 ・岩苔乗越を経て祖父岳(2825m)への登りです。この辺りも相変わらず花が多いです。山頂近くなって熔岩に覆われたところを歩きます。山頂を越えたところからは,雲ノ平の広がりが見て取れました。この日の宿泊地・雲ノ平山荘も見えました。 ・噴出してそれほど期間を経ていないであろう(おそらく,少なくとも2000年以内に噴火したであろう)熔岩の中を雲ノ平へ向けて下りて行きます。足の運びは大変だったけれど,北アルプスの中にあって異次元の世界を行くような感覚で,これがまた清々しかったです。 ・やがて雪渓が現れるとそこから下はお花畑です。キャンプ場を抜けて雲ノ平の核心部へと入って行けば木道が現れます。そこからは熔岩とハイマツと様々な種類の高山植物が織り成す自然の庭園が広がっていました。チングルマが咲き乱れる窪地を通って,ギリシャ庭園に建つ雲ノ平山荘に着きました。 ・時間があるので,雲ノ平を散策することに。高天原へ向かう道の途中に奥スイス庭園が広がっています。ここはメインストリートから外れており,静かなひとときを過ごせました。見上げる空は雲が近く,時折射し込んでくる光によって庭園全体が輝けば,そこは天国でした。 ・いつしか日は傾きつつありました。来た道を小屋に戻ります。夕食後のひととき,小屋の外でくつろいでいると,陽が傾いてチングルマの実(花穂)が美しく輝いていました。 ・日が暮れて辺りはすっかり闇に包まれ,多くの登山者が床につきましたが,寝る気分になれません。外で一人佇んでいると,ワリモ岳の方角が明るくなってきました。 ・やがて月が昇ってきました。満月です。その光をあびて稜線が浮かび上がり,木道が,庭園全体が鈍く輝き出しました。幻想的な光景が展開されていました。暫し立ちすくみ,思い出したようにカメラを取りに行きました。忘れられない夜になりました。 |
気付事項 | ・三俣蓮華岳の北側をトラバースするコースは雪渓を2ヶ所通過しますが,それほど心配はいりません。 ・雲ノ平山荘でも水は得られますが,テント場の水を利用することをすすめます。一方,テント場にあるトイレは,実質的に使えない状況にあるようです。テント場を利用する場合には,事前に雲ノ平山荘に確認した方がいいと思います。 ・鷲羽岳や雲ノ平一帯は,実は火山地帯。湯俣の噴湯丘や鷲羽岳の噴火口,雲ノ平の熔岩台地(祖父岳火山),赤牛岳中腹の熔岩台地などによりその存在がわかります。ただし,不思議なのは,鷲羽岳の山体は花崗岩でできているのに噴火口があったり,祖父岳も東側は花崗岩であること。花崗岩地帯が隆起したところにあとからマグマが貫いたということでしょうか。 |
三俣蓮華のカールと黒部源流が姿を見せた |
三俣山荘から鷲羽岳を仰ぐ |
黒部源流と黒部五郎岳を望む |
イワツメクサ(鷲羽岳付近) |
タカネシオガマ(ワリモ岳付近) |
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イワギキョウ(orチシマギキョウ) |
祖父岳より雲ノ平俯瞰 |
キバナシャクナゲ |
チングルマ咲く奥スイス庭園 |
夕陽に輝くチングルマの実(花穂) |
満月に浮かぶ祖父岳とワリモ岳 |
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