黒部五郎岳〜雲ノ平
前年の夏,雨にたたられた山行の中で,黒部源流地域の雰囲気の片鱗を感じていました。そして,想いはいつしか「奥座敷」の雲ノ平にまで及んでいました。
期間 8/13〜17
同行者 なし
アプローチ 富山駅より富山地鉄の直通バスで折立まで
全体行程 折立−太郎兵衛平−黒部五郎岳−五郎平−鷲羽岳−雲ノ平−薬師沢−太郎兵衛平
(難易度:☆☆☆★★)
第1日(8/13)
ルート 折立−太郎兵衛平(太郎平小屋泊り)
天候 晴ときどき曇
所要時間 歩行時間約3時間,休憩時間約1時間
ポイント ・標高1360mの折立から歩き始めます。何の変哲もない樹林帯の登りですが,これからの展開にワクワクしてくるのでした。

・標高1870mの三角点を過ぎると樹林帯が途切れてきます。傾斜は緩んできますが相変わらずの登りが続きます。はるか上の方まで見渡せるので,晴れていればウンザリするところです。

・傾斜が緩んでくれば,周囲は湿原状になり,キンコウカ,ニッコウキスゲ,タカネトウウチソウ(イワショウブかも・・・),イワイチョウ,ミヤマリンドウなどが咲いていました。

・雲の切れ間に初めて薬師岳が顔をのぞかせました。堂々たる山容でした。やがて遠くに小屋が見えてきました。微風に吹かれながら木道を歩けば,太郎兵衛平(標高2330m)に着きました。

・太郎兵衛平からは目の前を黒部源流の深い谷が刻み,谷越しに雲ノ平が,稜線上には黒部五郎岳,北ノ俣岳が展望できます。これからの行程を思うに十分な光景でした。薬師岳もその全貌を現しました。

気付事項 ・富山駅からの直通バスは季節運行で予約制です。H12年度は朝5:10発と6:15発の2本です。076-442-8122で確認しましょう。

・荷物料金は10kgを越すと10kgごとにとられます(20kgまで650円,30kgまでだと確か900円だったか)。10kgって案外簡単に越えてしまうんですね。作戦としては,「カメラや三脚などは身につけて乗る」,「水は折立で汲む(折立に飲用の水道あり)」などです。

第2日(8/14)
ルート 太郎兵衛平−北ノ俣岳−黒部五郎岳−五郎平(黒部五郎小舎泊り)
天候 曇,霧
所要時間 歩行時間約6時間,休憩時間約2時間半(黒部五郎岳の肩〜山頂の往復30分含む)
ポイント ・小屋で朝食をとっていると,突然の雨音。みなの表情が一斉にこわばります。台風9号は伊豆諸島方面を東へ抜けつつあるので大丈夫のはず。そのうち雨が止んで晴れてくるに違いない・・・やがて雨が止んだので霧の中を出発しました。

・太郎山を抜けて北ノ俣岳への登りに差し掛かかると,薄日がさしてきました。展望の稜線漫歩を期待しましたが,すぐにガスってしまい思い通りに行きません。

・北ノ俣岳(2661m)の頂上付近はハクサンイチゲの大群落でした。この辺り,濃密なガスの中,ライチョウの影を見ました。

・稜線は緩いアップダウンが続きます。時折ガスが晴れて黒部源流方面が見えますがすぐに曇ってしまいます。晴れていれば快適そのものでしょう。

・赤木岳付近でなんと目の前に親子のライチョウが現れ,登山道の隅でクックッと鳴きながら砂浴びを始めました。しかし,カメラはカバーの掛かったザックの中。後を歩いていた人はコンパクトカメラでパチリとやっていましたが,ここはあきらめました。

・中ノ俣乗越を過ぎて2578mピークを越えれば,黒部五郎岳へ向けてこの日一番の急登です。花崗岩がゴロゴロする中,点々と咲くトウヤクリンドウに励まされながらの登りです。ガスの中,黒部五郎の肩に辿り着きました。カールが大きく口を開けていました。

・黒部五郎の肩から山頂(2840m)を往復しました。山頂付近で再びライチョウを発見。今度はバッチリ撮影できました。見下ろすカールは,雪渓からの水音が響いていました。一瞬霧が晴れて展開した光景に,集っていた登山者から歓声が上がりました。

・カールの底へと下ります。沢音が次第に大きくなり,下部はお花畑になってきました。コバイケイソウは今年は外れの年でしたが,それでも点々と咲いていました。

・やがてカール底に着くと,清流が音を立てて流れていました。流石に雪解け水は冷たいですが,清々しいことこの上なく,1時間も休んでいました。見上げる岩壁と雪渓も見事で,またお花畑も種類が豊富でした。

・黒部五郎小舎へ向けてカール底のお花畑の中を行きますアオノツガザクラ,ヨツバシオガマ,エゾシオガマ,ミヤマキンポウゲ,コイワカガミ,イワイチョウシナノキンバイ,ミヤマキンバイ,ムシトリスミレなどなど,とにかく豊富です。カールの中は花崗岩の巨岩がゴロゴロありました。

・やがて五郎平までのトラバース道となり,湿原と樹林帯を抜けて行きます。至るところに小さな沢が流れ込んでいました。カールの豊富な残雪が供給しているのでしょう。

・やがて草原になれば五郎平(2360m)。ここは黒部五郎岳と三俣蓮華岳の鞍部に広がる清々しい場所。時間があれば三俣山荘まで行けましたが,ここ黒部五郎小舎に泊まることにしました。結局,この日は展望に恵まれませんでした・・・

気付事項 ・特に危険箇所もありませんが,太郎平小屋から黒部五郎小舎までの距離が長く,ほとんどが森林限界上を歩くことになるので,天候には気をつける必要ありです。また,黒部五郎岳付近は日本海側と飛騨側からの気流が複雑に影響するため,晴天時でもガスの発生が早いようです。

 


太郎兵衛平から望む薬師岳


太郎兵衛平より雲ノ平,黒部五郎岳


黒部五郎岳山頂付近で見たライチョウ


黒部五郎岳山頂からカールを見下ろす


雪解け水流れるカール底


アオノツガザクラ


エゾシオガマ


イワイチョウ


シナノキンバイ


カール底を行く
(群落はミヤマキンポウゲ)

 

第3日に続く


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