立山・雷鳥沢〜五色ヶ原、2007年8月12日〜15日

五色ヶ原の朝

(背景は針ノ木岳)

8月12日、13日に戻る


8月14日(火)、天候:晴のち曇

コース:五色ヶ原−ザラ峠−獅子岳−浄土山分岐−浄土山−室堂−地獄谷−雷鳥沢(テント泊)

今日は雷鳥沢のテン場へ戻る。同じルートを引き返すのも芸がないと、黒部湖へ下るルートも考えたが、昨夜、同じ部屋の人に聞くと、かなり大変らしい。今の体力ではかえって下りに苦労するだろうと、結局は来た道を戻ることにした。

朝の五色ヶ原、逆光に光るチングルマの花穂が印象的だ。そして、針ノ木岳のスッキリとした姿は、主役と呼ぶにふさわしい。涼しさに身が引き締まる。標高2,500mの稜線は下界の暑さを忘れさせてくれる。ハクサンコザクラも散見される五色ヶ原を抜ければ、立山カルデラの崖っぷちを下り続ける。昨日はガスの中、登ってきた。今日は、ハッキリと見渡せる。足元からカルデラ壁が落ち込んでいる。なかなかスリルのある場所だ。

眼下のザラ峠を挟んで、獅子岳へ向けての登りが迫ってくる。陽が当たらず、暑くならないうちに登りにかかりたい・・・しかし、久々の歩きで足が思うように動かないのか、Mackeyのペースが上がらない。ザラ峠を通過して、登りにかかる。陽が当たりだした。焦るのはやめて、確実にペースを刻むことにした。

昨日、下りで苦労した急坂を、この日はじっくりと確実に登っていく。登っていくにつれて太陽も昇ってきて、日なたを歩く時間が増える。そして、展望も再び開けてきて、遠くに富士山を認めることができた!やはり格別だ!獅子岳に登りつけば、後立山連峰の鹿島槍と五竜も目にすることができた。しかし、雲は急速に競り上がってきて、やがて富士山は隠れてしまった。南アルプスや八ヶ岳は辛うじて見えていたが、雲に隠されるのは時間の問題だった。

前日に数多く写真を撮ったせいか、この日はショットも少なく、歩きも快調だ。幾つかのアップダウンを繰り返し、また、雪渓を通り抜けて、龍王岳へ向けての登り。これも思ったよりも短時間で通過して、浄土山分岐に登り着いた。来た道を振り返れば、雲が盛んに湧き上がり、丁度、槍穂高連峰が隠れるところであった。ここで昼食をとった。

一転して曇り空の下での歩行となる。時折ガスが流れる中を、浄土山へ向けて歩く。雷雨の兆候は見られない。しばらくは快適な稜線漫歩が続くが、浄土山を巻くように下る道は、思いの外きつい下り坂となった。やはり下りは手こずる。岩がゴロゴロの道になり、足の置き場に困るようになった。もう少し歩きこんでいれば、この程度の下りなど、容易だろう。足が思うように運べないのが情けない。

それでも道の両側はコバイケイソウなどの花々が咲いていた。ガスの中、急な下り坂を下り切ったところで、遊歩道と合流した。コースタイムは10分と書いてあるけど、なかなかハードな下り坂で30分はかかった。

ここからは、遊歩道のようなコースを室堂へ。雪渓も見られ、チングルマが咲き乱れていた。そのままゆっくりと室堂へと下りていった。この日は地獄谷を経由して雷鳥沢テン場に戻った。
雷鳥沢ヒュッテに行って湯に浸かる。この日は外湯にも浸かった。硫黄の臭いに包まれ、余りにも素っ気無い露天風呂だが、これが最高であった。体力的にも、もうこれで満足。明日は奥大日に行くのはやめにして、下山するだけにした。

湯上がりのスッキリした気分でテン場に戻り、前々日よりははるかに早い時間帯に食事を作る。テン場をスーッと雲が流れ、上空は夕陽により雲の頂が染まっていた。

チングルマの花穂が光る五色ヶ原

立山カルデラの絶壁沿いを行く

ザラ峠から獅子岳への登り返し

富士山が視界に入った!

獅子岳から五竜と鹿島槍

お花畑の中を行く道

龍王岳へ向けた登りを前にして

夕暮れの雷鳥沢テント場


8月15日(水)、天候:晴ときどき曇

コース:雷鳥沢−室堂−(バス)−美女平−(ケーブル)−立山駅

テン場をヒンヤリとした空気が漂っていた。朝日はまだ差し込んでいない。下界は猛暑なのだろうが、そんなことが想像できないくらいの肌寒さだ。朝食を済ませて撤収を始める。大日岳はやめて帰るだけなので、ゆっくりとできる。朝露のビッシリついたテントを出てきたばかりの太陽で乾かす。一旦陽が差し込むと、見違えるほどに暑さを感じるようになる。

食料は消費してもズシンと重い。雷鳥沢ヒュッテの横を登っていく。足元は遊歩道。かえって歩くのがつらい。遮るもののない中で、テン場を見下ろす。別山の山襞が、見事な光と影のコントラストを描いていた。リンドウ池から雷鳥荘のあたりでタテヤマリンドウの群落を見る。そして見上げれば西向きの山崎カールがくっきりとした縁取りを見せていた。この辺りまで来ると観光客の方が多い。既に下界が始まっていた。

バス、ケーブルカーを乗り継いで、標高477mの立山駅に降り立つと、むっとするような暑さに包まれた。車に乗り込み、目指すは落差360mの称名滝。遊歩道を歩いて辿り着くと、降り注ぐ飛沫に涼を感じることができたが、滝そのものは大きすぎて実感がわかない。360mもあるようには見えなかった。

再び車に戻り、そこからは富山平野を西に向けて走る。新湊で寿司を食べて、高速に乗る。行きと違い、車の数が多いが、名神に出るまで渋滞はなかった。その代わり、一段とパワーアップされた猛暑に立ちくらみのような感覚になった。熊谷と多治見で観測史上最高の40.9℃を記録したのは、その翌々日のことであった・・・

名残惜しい雷鳥沢テン場と別山

西向きの山崎カールを仰ぐ

落差360mの称名滝


本当は縦走したかったルートだが、立山から五色ヶ原にかけて、花々も多く素晴らしい場所であることを知った。それとともに、思ったよりもタフな縦走路であることもわかった。縦走は前からの夢だが、実現するのはいつの日か・・・

やはり森林限界を超えた高山には、他の山域では到底及ばない魅力がある。なかなか連続した休みをとることが難しいが、やはり北アルプスは毎年1度は訪れたいものだ。そして、次はあの山、次はこの山、といった具合に、候補がいくつも出てくるのであった。

しかし、それもこれも、体力あってのこと。最近は生活の移動手段がすべて車になってしまって、益々体力が落ちてしまったような気がしてならない。少しでも山に行く機会を作らないと、このままでは先が思いやられるのであった。

立山・雷鳥沢〜五色ヶ原・・・花のページに続く

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