苗場山(3回目) | ||
苗場山の北の山腹に広がる小松原湿原は、以前から気になっていた存在。山頂湿原と合わせて二つの湿原を結び秋山郷へ抜けるルートの踏破を、実行に移すことにしました。 | ||
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@期間 | 2002/7/27〜28(1泊2日) | |
A同行者 | なし | |
Bアプローチ | 行き:JR上越新幹線・越後湯沢駅よりタクシーで和田小屋へ 帰り:萌木の里よりバスで津南経由、越後湯沢駅へ |
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Cルート | 第1日:和田小屋−下ノ芝−神楽峰−苗場山頂(苗場山頂ヒュッテ宿泊) 第2日:苗場山頂−神楽峰−小松原分岐−霧ノ塔−小松原湿原−金城山−風穴−見倉吊橋−上結東−萌木の里 (最高点:苗場山頂・標高2145m,難易度:☆☆☆☆★) |
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D天候 | 第1日:晴ときどき曇 第2日:晴ときどき曇 |
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E所要時間 | 第1日:約5時間(歩行+休憩時間) 第2日:約9時間15分(歩行+休憩時間) |
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Fポイント | ・「苗場山に行きたい。広大な山頂で開放感に浸りたい・・・」その思いは、回帰熱のように巡ってきました。地図を広げたとき目に止まったのは、北西へ続く小松原湿原のコース。ブナ林もみられるということで迷わず決めました。 ・和田小屋から登り始めると、すぐにブナの好ましい樹林帯を行くようになりました。なかなか立派なブナが生えています。過去2回の山行では、まったく気付かない光景でした。 ・そのブナがオオシラビソにかわると、風が吹く展望地に出て一休み。今回も暑さの中での登りです。再び歩き出し下ノ芝を過ぎれば、スキー場の上部をからめてニッコウキスゲ咲く中ノ芝に着きました。今回もここで昼食です。 ・今日も団体さんが多いです。人気の山ですね。昼食を終えて歩き出し、上ノ芝を過ぎると翌日に歩く小松原コースが合わさってきました。なだらかな湿原状のピークに向けてコースが続いていました。 ・わずかに歩いて神楽峰(2029m)。そこから下りに差し掛かると約束のお花畑が始まりました。展望の利く場所から、妙高山と火打山を見ることができました。 ・鞍部手前の雷清水でまたまた大休止。冷たくて美味しい水です。「うめぇうめぇ」とまたまたがぶ飲みしちゃいました(^^;;。個人的にはやはりNo.1の水場です(誰が何と言おうと・・・)。これほどまで行列で人が絶えることのない水場はないのでは? ・鞍部に下りてお花畑を抜けて行きます。今回はマクロ付きレンズを用意していながら、写真を余り撮りませんでした。前回にかなり撮ったせいか、体力的に余裕がなかったせいか、時期的にやや早かったせいか・・・ ・登り返しの急坂です。振り返ると、翌日に歩く霧ノ塔へと続く稜線が見え、長い行程を思わずにはいられませんでした。 ・苗場の山頂湿原は今回もまた、穏やかな表情で迎えてくれました。風に揺れるワタスゲの群落、キンコウカにイワイチョウ、ポツリポツリとコバイケイソウが咲いていました。 ・山頂ヒュッテに荷物を置いて、湿原を散策しました。赤湯方面と小赤沢方面に足を延ばしました。歩きすぎて疲れました。夕食が終わると早々と寝入ってしまいましたが、暑苦しさを覚えました。 |
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・翌朝、山頂湿原を朝霧が流れます。湿原の向こうに佐武流山が堂々と聳え、その奥には噴煙を上げる浅間山がかすかに望まれました。 ・前日登ってきたコースを戻ります。朝日に向かって歩けば、朝露に濡れた草原が光っています。やがて急下降。慎重に足を運んで鞍部を通過し、雷清水で水を満たしました。振り返り仰ぐ苗場山は実に堂々たる姿でした。 ・神楽峰を越えれば、いよいよ小松原分岐。長い下山路の始まりです。祓川コースを見送って踏み出します。行く手には、なだらかな湿原状のピークが望めます。 ・ところがです。のびやかな漫歩を想像していた我が心は、いきなり冷や水を浴びせられます。累々と続く岩塊。その間を複雑にアップダウンしながら続くコース。足の運びはいやでも慎重になります。思えば、苗場山が火山であることを如実に示す光景でした。北八ヶ岳の坪庭にも似た光景でした。 ・第一の難所を通過してようやく伸びやかな湿原状のコースを行きます。ピークを越えると再び下り坂。あたりはオオシラビソの樹林帯。再び下り坂で100mほど下って沢を越えると、霧ノ塔へ向けての急登です。距離は短くも、樹林が途切れたところでは容赦ない直射日光を浴びました。 ・霧ノ塔(1994m)は二つのピークをもつ樹林帯。ふと足元を見るとギンリョウソウがあちこちに見られました。これだけ沢山のギンリョウソウははじめて見ました。 ・霧ノ塔からは木の間越しにこれから行く稜線が見渡せ、遠く小松原湿原も認識できました。 ・さて、霧ノ塔からはものすごい急下降が待っていました。しかも、足元は笹が道を隠しているのです。すぐに足をとられて転げます。笹の葉には朝露がビッシリ。冷たくて気持ちいいと感じたのは、最初の1回でしたね。5回、6回と転げるうちに全身ぐっしょりです。土砂降り雨にあったように。合羽を着ればよかったと思ったけど後の祭りでした。 ・斜面を下りながら思ったこと。なんで俺は一人でこんなところに居るのだろう?これから先もこんな道が続くなら、今の体力では無理かもしれない。このコースに入ってから誰にも会っていない。久々の山行にしては選択を誤った。遭難したらどうしよう・・・もう、泣きが入りそうな気分でした。 ・霧ノ塔の北面を下りきると、登り返しで朝露から解放されました。コースも明瞭になって、釜ヶ峰、日蔭山と気持ちのよい稜線歩きが続きました。日蔭山(1860m)で一休みし、霧ノ塔から神楽峰、そして鞍部を挟んで苗場山と続く稜線を見上げると、開析された火口地形が実感できました。 ・靴下を絞ってから出発します。日蔭山からは小松原湿原へ向けて緩やかな下り坂が続きました。沢を渡ってようやく待望の小松原湿原に出ました。 ・小松原湿原は、苗場山頂の湿原みたいな雄大さはありません。小湿原が点々と続く中を歩きました。湿原が途切れたと思っても、すぐに次の湿原が現われました。キンコウカとイワイチョウが目立っていました。休憩所がなかったので、邪魔にならない場所を見つけて昼食としました。 ・再び歩き始めます。やがて、中ノ代でコースが分岐します。金城山方面に向けて歩き出すと、更にひとつ小湿原を抜けて、下り坂に差し掛かりました。 ・標高1500mほどの小松原湿原から少し下ると、オオシラビソの樹林帯からブナ林へと周囲が変化します。この好ましいブナ林は、小沢を越えて金城山まで続いていました。その金城山(1354m)への最後の急登もかなり応えました。倒木が多く、目の高さの枝を払いのけながら歩きます。深山の雰囲気が漂っていました。 ・金城山を過ぎると、急下降が続きます。これまでの長丁場を歩いてきた身体に相当応えます。徐々に明瞭な尾根道となり、木の枝につかまりながらの下りとなりました。太腿が硬直し、幾度となく足がもつれそうになりました。 ・眼下に集落が見えるようになりました。深い谷に向けて一気の急降下です。気温が相当に上がっていることを肌で感じます。上昇気流に乗って谷間の野外コンサートの音が聞こえてきました。 ・やがて広くなった場所に出ました。スラリと高いブナがたくさん生えている場所です。腰を下ろすと、心地よい風が吹きぬけます。再び立ち上がって歩き出せば、登山道は方向を変えて、眼下に舗装道路が見えました。 ・樹林帯を抜けたところが「風穴」。天然のクーラーが汗まみれの身体を冷やしてくれます。そこからわずかで舗装道路に下り立ちました。 ・山行は終わった・・・大間違いでした。更に、眼下を流れる中津川へ向けて再び山道の急坂を下ります。見倉吊橋を渡って対岸へ。そこから国道までの登り返しもきつかった。 ・ようやく国道に着いたので結東温泉の「かたくりの宿」で一風呂浴びて、と建物に入ろうとすると、「本日は臨時休業いたします」。ガーン!この汗まみれで塩を噴いた全身をどうすればいいんだ? ・仕方ないので上流側にある「萌木の里」へ。15分ほどの道のりを鉛の足を運びながら、ようやく辿り着きました。 ・一風呂浴びてからバスが来るまでの20分ほどの時間を過ごします。地元産のマイタケや「栃の実まんじゅう」などを買ってしまいました。なんとなくマタギ文化の香りを感じました。 ・津南行きのバスが来ました。そのバスにとって、自分が最初の乗客でした。クルマ社会の現代、首都圏ナンバーの車が次々に追い越して行きます。この現実をわかっていても、寂しい気分を覚えました。バスの中で買ったばかりの「栃の実まんじゅう」を口にすると、ほのかな苦味が広がりました。 |
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G総括 | ・小松原コースを歩いてはじめて、苗場山の本当の魅力を見たような気がしました。上部の針葉樹林帯のウェットさ、小松原湿原の原始性、金城山の鬱蒼としたブナ林・・・山懐に潜り込み、そして喘いだ道のりでした。 ・このようなハードなルートを歩いたことで、体力が落ちていることを実感しました。ゆっくり写真を撮りながらの歩きをする余裕もなく、歩き抜くことにかなり集中させられました。 ・苗場山は、手つかずの自然が残されている秋山郷側の方が魅力があると思います。赤湯のコースも歩いてみてから述べる必要があろうかとは思いますが・・・ |
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H気付事項 | ・小松原コースは指導標がかなり少ないので、現在地を把握しながら歩くようにする必要があります。休日にもかかわらず、出会った人はたったの5人。単独行はこのあたり(人の少なさ)も念頭に置いて歩くべきでしょう。(ただし、道はかなり明瞭です) ・苗場山頂ヒュッテの裏手に日本海や佐渡島方面が望める展望台があります。今回、初めて知りました。 ・02年度のエアリアマップでは萌木の里付近にバス停表示がみられませんが、ちゃんとバス停があります。なお、上結東より上流側(小赤沢側)では、自由乗降区間になっています。 |
※印の写真はクリックすると拡大表示されます。 |
ブナ林の中、下ノ芝へ向けて登る |
神楽峰付近の展望地より妙高山・火打山※ |
ミヤマシシウド |
タカネナデシコ |
神楽峰と霧ノ塔を振り返る |
コバイケイソウ(山頂湿原にて) |
ワタスゲが点在する山頂湿原 |
雷清水より振り返る苗場山 |
霧ノ塔への登路 |
霧ノ塔付近で多く見られたギンリョウソウ |
サワラン(小松原湿原にて) |
小松原湿原を霧が流れる※ |
ブナ茂る金城山※ |
スラリと高いブナ林 |
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