八紘嶺
安倍奥は気になる存在でした。日帰り可能な山と知って、残雪の南アルプスを探しに出掛けることにしました。

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木の間越しに残雪の赤石岳を望む(八紘嶺山頂より)

@期間 2002/5/3(日帰り)
A同行者 なし
Bアプローチ JR静岡駅より梅ヶ島温泉までバス
Cルート 梅ヶ島温泉−富士見台−八紘嶺(往復)

(最高点:八紘嶺山頂・標高1918m、難易度:☆☆☆★★)

D天候
E所要時間 歩行:約4時間半、休憩:約1時間15分
Fポイント ・いつの間にか眠っていました。気がつくと、バスは新緑まぶしい深い谷間を走り続けていました。朝、東京を発った自分が今、こうして別天地に足を踏み入れつつあることが、信じ難い気分でした。

・集落が点在する谷間を、バスは徐々に登って行きました。谷間がいよいよ深く、狭くなってきたとき、行き着いたところに登山口の梅ヶ島温泉がありました。春の陽射しを受けて緑が輝いていました。その中を歩き始めました。

・登山道に入れば、九十九折の急登です。この急登に備えて、ザックの中は最低限にとどめました。その甲斐あって、あまり苦になりません。しかし、早々にTシャツ1枚となりました。GWにしてはかなり暑く感じられました。

・林道と接する地点からは、あたりは自然林に変わってきました。時折、太い幹のブナも現われ、ミツバツツジが所々に咲いていました。

・ひたすら続いた急登が尾根と合わさったところに富士見台がありました。ここまで休みらしい休みを取らずに登ってきました。風が優しく吹く中、腰を下ろします。東側の展望が開けて、富士山と天子山塊が見渡せました。天子山塊の手前に富士川が見て取れます。今いる尾根は、富士川と安倍川の分水嶺なのでした。

・再び歩き始めると、尾根の安倍川源流側を行きます。急登が続き、疲労が蓄積してきました。しかし、爽やかな初夏の風と、時折開ける展望が疲れを紛らしてくれました。風に吹かれながら歩く浮揚感は久しぶりのことでした。

・ふと前方を見ると残雪の峰が姿を現しました。3000m峰の聖岳でした。ハッと息を飲む光景でした。やがて、葉を落とした木々の間から、残雪の南アルプスが見えるようになりました。北岳、鳳凰三山から、聖岳、上河内岳まで認識することができました。

・明るい樹林帯が続き、最後の登りを経てようやく山頂に着きました。木の間越しに見る赤石岳が実に堂々としていました。風は相変わらず心地よい程度に吹いていました。標高2000m近いことが信じられないくらい、暖かい陽気でした。

・写真を撮って、昼食をとります。狭い山頂でしたが、登山者はそれほど多くありません。南アルプスに富士山の展望を焼き付けて、来た道を戻ることにしました。

・山頂直下にある展望地では安倍川源流が刻む渓谷が新緑に輝いていました。安倍奥、南アルプス深南部の山々が、東に目を転ずれば駿河湾越しに伊豆半島も見てとれます。風に吹かれてのんびりと昼寝をしたい気持ちをおさえて、再び下り始めました。

・やはり身体は正直でした。ひたすらつづく急坂に膝が音を上げはじめています。時々、ズルッと足を取られながら歩き続けました。富士見台で最後の休憩をとります。御殿場の君に電話を入れたら繋がりました。「言ってくれればご一緒したのに・・・」まあ、こんなこともあるさ。

・富士見台から眼下の谷底を目指してひたすら下り続けます。谷間に響き渡る水音が少しずつ大きくなってくるのがわかりました。太陽はもうすぐ稜線に沈もうとしていました。その逆光線を浴びてミツバツツジが輝いていました。大満足の山行の終わりを象徴する光景でした。

・梅ヶ島温泉に下り立ったときには、太陽は見上げる稜線の向こうに沈んでいました。静寂に包まれていました。帰りのバスまで1時間半ほど時間があったので、ゆっくりと温泉に浸かって、ビールを飲んで蕎麦を食べました。

・薄暗くなり始めた頃、バスは梅ヶ島温泉を後にして、安倍川の渓谷を静岡へ向けて下り始めました。小さな集落をいくつも通り過ぎるうちに、辺りは暗くなってきました。これだけ遠いところに日帰り山行ができたことが、信じられないような不思議な気分になりました。

G総括 ・安倍奥は遠いというイメージを持っていました。今回、初めて訪れてみて、その素朴な雰囲気に魅力を感じています。また日帰りで訪れたり、一泊山行で歩くのもいいと思いました。

・自然林も比較的多く、葉を落としている時期なら、思ったほど展望が悪くありません。紅葉の時期に訪れるのもいいと思いました。もちろん、温泉付きです(^^)

・八紘嶺の名が付けられたのは戦時中とのこと。当時の「八紘一宇」(世界は一家人類は皆兄弟)のスローガンから来ているそうで、この名前を忌み嫌う人もいるとか・・・
しかし、それはともかくとして、なかなか魅力のある山ですよ。

H気付事項 ・10年ほど前は、山頂の立ち木も背が低くて展望抜群だったそうです。直前にいろいろとネットで調べたところ、最近のレポートになるほど展望に関しては酷評(?)されているみたいです。しかし、木々が芽吹いていない時期なら赤石岳を見ることはなんとかできます。とはいえ、絞りを解放にしてもトップの写真程度なので、肉眼ではもう少しうるさく感じるかもしれません。

・バスの放送で、梅ヶ島温泉には1500年の歴史があるとか・・・ということは、大和朝廷の時代ではないか!温泉がまた特徴的で、肌がツルツルします。丁度、「つるつる温泉」のような感じなのです。

・東京を朝出発すると、梅ヶ島温泉行きのバスは8:30前後の2番バスになってしまいます。バスは1日6本。日帰りなら梅ヶ島温泉発の最終バスが18:00頃です。(バスダイヤについては、バス会社054-345-3444に確認して下さい)

 

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富士見台から望む富士山

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安倍川源流の渓谷を見下ろす

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八紘嶺山頂にて

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八紘嶺山頂より布引山、笊ヶ岳

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下山路で逆光線に浮かぶミツバツツジ

 

 


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