雲取山(7回目) | |
雲取山へ通じる登山道の中でただ一つ残された長沢背稜。この山深いコースを踏むのは今しかないとの思いを強くして歩き始めた山行でした。 | |
@期間 | 5/4〜6(山中2泊3日) |
A同行者 | なし |
Bアプローチ | 行き:JR奥多摩駅よりバスで鴨沢まで 帰り:東日原よりバスでJR奥多摩駅まで |
Cルート | 第1日:鴨沢−堂所−七ツ石分岐−ブナ坂−雲取山頂−雲取山荘(泊) 第2日:雲取山荘−雲取山頂−三条ダルミ−狼平−三条ダルミ−雲取山荘(泊) 第3日:雲取山荘−大ダワ−芋ノ木ドッケ−長沢山−天祖山分岐−酉谷山−(小川谷林道)−日原鍾乳洞−東日原 (最高点:雲取山頂・標高2017m,難易度:☆☆☆☆★) |
D天候 | 第1日:晴ときどき曇,にわか雨 第2日:晴 第3日:晴のち曇 |
E所要時間 | 第1日:歩行時間約4時間半,休憩時間約1時間半 第2日:歩行時間約2時間半,休憩時間約5時間半 第3日:歩行時間約7時間半,休憩時間約2時間半 |
Fポイント | 第1日: ・鴨沢からのコースは,初登頂以来の2回目。あのときは雲が垂れ込めた中で黙々と登っていました。今回は天気もまずまずで余裕があります。 ・前日からの不安定な天気はこの日も残っていました。時々雲が覆ってきて,パラパラと雨やあられが降りましたが,雷は鳴りませんでした。 ・山頂から北面を山荘に向かって下ります。今年はアイスバーンとぬかるみでかなり苦労しました。山荘のおやじさんの話では,2月に降った雪がその後の低温傾向でなかなか融けないことが原因とか。 ・建て替えられた雲取山荘は北アルプスの小屋なみに。前日までの登山を見合わせた人(私も含む)が殺到し,超満員状態でした。350人余りで,1畳2人のスペース。ちなみに定員は旧山荘よりも減って,200人程度です。 |
第2日: ・朝4時に起き出して,山頂に向かいます。山頂でご来光を見るのは初めてのことで,ワクワクします。富士山のモルゲンロートは今一つ。南アルプスは霞んでいました。 ・ふと見ると,唐松尾山と和名倉山の間を刻む大洞川源流が朝日を浴びて縞模様に輝いていました。これは感動ものでした。誰もが富士や南アルプスに目が行く中,とっておきの景色を見ることができて得した気分です。 ・再び山荘に下りて,ゆっくりと朝食をとります。今日は,山の上でゆっくりと過ごすことにしているのです。翌日のハードな行程に備えるために身体を休める意味もあってのこと。 ・予約をしてから,再び山頂に向けて出発。山頂では写真を撮ったり,お茶を飲んだりして当てもなく過ごしていました。その後,三条ダルミまで下って,また一休み。ここからの富士山もなかなか見事です。 ・さらに,飛竜山へ続くコースを狼平まで歩いて,ここで3時間の大休止としました。草の上で時の経つのも気にせずに昼寝ができるのはGWならでは。あ〜,ホント幸せ。 ・三条ダルミに戻り,北西の巻き道を通って山荘に戻りました。山荘前からは長沢背稜に目が行きます。連なるピークと分岐する尾根の数々。酉谷山はあんなに遠いのか・・・ |
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第3日(前半): ・4時頃に起きて体調を整えます。朝食までの間,おやじさんに長沢背稜のアドバイスを受けたり,山談義に花を咲かせたりと,楽しいひとときを過ごしました。 ・6時過ぎに出発です。大ダワを過ぎ三峰コースを分ければ都内第二の高峰・芋ノ木ドッケ(1946m)へ向けての急登です。初っぱなに汗を絞られて辿り着いた頂上は鬱蒼たる針葉樹林帯。清々しい空気に満ちていました。 ・芋ノ木ドッケからは稜線の縦走が始まります。熊除けの鈴は強力なスイス製のカウベル。景気よく鳴り響きます。歩き始めてすぐに風倒木帯を通過しました。これは白岩山と同じく,伊勢湾台風の影響でしょう。 ・桂谷ノ頭一帯はシャクナゲが目立ちます。また,岩と木の根に覆われ歩きにくいところです。ここから長沢山までは秩父側の大血川から吹き上げる風を感じての尾根歩きが続きます。秩父側の谷間は雲海に敷きつめられていました。 ・長沢山からは葉をおとした広葉樹林帯。背後に白岩山と芋ノ木ドッケ,南に石尾根が望まれ,天祖山をもたげた支尾根が徐々に近づいてきます。尾根の北側を通って唐松林に変わると天祖山分岐を通過します。足下は至るところにシカの糞が見られました。 ・天祖山分岐を過ぎると尾根の南側のトラバースが続きます。道幅が狭くなり,谷側に傾いているため,左足の足首に負担がかかりました。滝谷ノ峰を巻けば,酉谷山は眼前に大きく聳えていました。 ・行福ノタオには真新しい酉谷山頂行きの指導標があり,山頂に行くことに。これが猛烈な急登でした。2つのニセピークを経た3度目の急坂の先に山頂(1718m)がありました。南面から石尾根が望まれる山頂で,長い休憩をとりました。木々はまだ葉を出していませんでしたが,風は暖かく,すっかり初夏の雰囲気でした。 |
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第3日(後半): ・酉谷山の山頂を後にして下りにかかります。すぐに避難小屋について,展望の見納めをしてから,酉谷の沢筋へ向けて下り始めました。 ・すぐに石の転がった沢状の地形が現れました。ここは涸れ沢ですが,紛れもなく源頭部で,大雨が降れば水が一気に流れ下るところに違いありません。浮き石に注意しながら慎重に足を運びました。 ・一旦小広い場所に出ます。まだ葉を出していないブナ林の落ち葉の絨毯に木漏れ日が当たる清々しい光景が展開していました。その中で,ハシリドコロの青葉があちこちに見られ,地味な花をつけていました。 ・再び沢状の地形を注意しながら下ると,岩陰から音を立てて水が流れ出る場所に辿り着きました。その流れを何度か渡り返しながら登山道が続いていました。 ・旧酉谷小屋跡を過ぎればやがて右岸に沿って歩くようになり,沢は水量を増して流れるようになります。水音が力強く,狭まったところでは小さな滝を作っていました。スメタナの「モルダウ」の交響詩が心に響き渡るような,生命の躍動感のようなものを感じました。 ・やがて木々に新芽が見られるようになって来ると,登山道は沢を大きく高巻くようになります。ふと見ると,斜面には至るところに太い倒木がありました。自然の営みに従って,彼らは見事に「天寿を全う」していたのです。 ・三つの沢が合流する地形が現れると,登山道は再び沢に向かって高度を下げて行きます。下り立ったところが「三俣」と呼ばれる地点で,橋を渡ったところで最後の長い休憩をとりました。清流のせせらぎ,新緑に射し込む陽光,吹き抜ける風・・・しばらくこの場所にとどまっていたい気分でした。 ・三俣から先は「小川谷」と名を変えた谷に沿って続く道。左岸を高巻くようになれば登山道は間もなく終わり。途中にミツバツツジが沢山咲いている場所がありました。その鮮やかさが,見事なまでに山行のフィナーレを演出していました。 ・登山道が終わってからの林道区間は約6km,更に東日原のバス停まで約3km。多少つらい道程でしたが,鍾乳洞の近くは谷が狭く,新緑も鮮やかでした。東日原のバス停近くの食堂でソバをすすりながら地元の人たちの話の輪に加わりバスを待つひととき,これもまた,充実した山行の楽しい思い出となりました。 |
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G総括 | ・3日目がすべてでした。この20kmを超える長い行程は春の爽やかさに包まれて,全く飽きることもありませんでした。気になっていた左膝の調子もまずまずで,無事に歩き通せたことに感謝の気持ちです。 ・GWということで登山者はかなり多かったのですが,長沢背稜はすれ違った人が3人,同じ方向が2人(いずれも天祖山経由),酉谷山頂で3人,酉谷避難小屋付近で10人弱でした。そして小川谷林道コースは三俣付近で釣り人2人に会っただけで,登山者はゼロでした。(車道を除く) ・長沢背稜はまだ木々は芽吹いていませんでした。5月下旬になれば緑いっぱいの稜線歩きが楽しめることでしょう。三ツドッケ,一杯水方面にも歩いてみたい気もします。 ・深く急な谷間,これは大ダワ林道や唐松林道にも見られた風景。しかも,この酉谷は源頭から流れを間近に見られる点で,また,そのスケールの大きさからもグレードが上です。深い谷,巨大な倒木,まさに奥多摩の,日原側の醍醐味を存分に味わうことができて幸せでした。 |
H気付事項 | ・長沢背稜の滝谷ノ峰を巻くところ(タワ尾根分岐)は,特にタワ尾根に誘いこまれる心配はありません。以前は道があったそうですが,いまは刈られていないので大丈夫です。 ・酉谷沿いの道は,人通りが少ないため,やや荒れ気味の箇所があります。特に,旧酉谷小屋跡付近は踏み跡が不明瞭で小刻みに沢を渡り返すため,迷う危険性もあります。また,高巻く箇所では,気を抜くと沢に転落する可能性もあります。一般コースとしては比較的危険度が高いと思います。大変魅力的ではありますが,単独は避けた方がいいし,経験を有する人の同行が必要だと感じました。 ・林床に生えているハシリドコロは,猛毒です。死に至る危険性もあるため,間違っても食べない事。薬効成分もあるみたいですが,素人は手を出してはいけません。(そもそも,あれだけシカがいるのにこの草だけが生き残っている理由を考えればわかるでしょう) |
雲取山頂のご来光(稜線右に三ツドッケ) |
朝日に燃える大洞川源流部 |
木の間越し遠くに両神山 |
長沢山付近の明るい背稜 |
酉谷山頂より遠く鷹巣山を望む |
毒をもつハシリドコロ |
新緑の酉谷を見下ろす |
小川谷の斜面に咲くミツバツツジ |
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