栗駒山(湯浜)、2021年10月31日(日)、天候:曇ときどき晴

コース:湯浜温泉駐車場−湯浜温泉−山神碑近くの平坦なブナ林(往復)

輝きを残す広大な湯浜のブナ林。

栗駒山の湯浜のエリアに広がるブナ林を歩いた。ブナ林はオレンジ色に染まって最後の輝きを放っていた。前の週に行きそびれていたので、どうしても行ってみたかった。本当に思い残すことはない、見事な光景を目にすることができて幸せだった。

※写真はすべてクリックすると別窓で拡大表示されます。


前の週に世界谷地から千年クロベまでを歩いた。当初の予定は湯浜から千年クロベだったが、雪の影響で通行止めになったことと、大地沢までのブナ林がまだ本格的に染まっていなかったことで、広大なブナ林全体が染まっている様相を目にすることができずに未練が残っていた。その思いをMackeyが汲んでくれて、湯浜のブナ林を歩くことにした。天候はまずまず。雲が多いながらもなんとか晴れ間が見えた。国道398号線の湯浜峠を過ぎて、広大なブナの斜面が見渡せる場所に車を停める。上部は葉を落としていたが、谷筋は見事なオレンジ色に染まっていた。ウットリする光景であった。次々に車がやってきては止まり、かなりの割合で写真を撮っていた。

湯浜温泉の駐車場で車を下りると、そこは黄葉のブナ林の中。なんとも言えないしっとりとした雰囲気と独特の匂いが漂っていた。一迫川へと下っていくとすぐに見事な大木に出会う。一迫川の沢を渡ると、下流側の斜面は逆光に輝いていた。上滝を横目に下って振り返ると、これまた見事な染まりようだった。そのまま歩いて、三浦旅館の前に出る。振り返る山の斜面も一面オレンジ色に染まっていた。三浦旅館の若主人に聞くと、これでも黄葉の盛りを過ぎているという。週半ばの3日間がピークだったとのこと。沢沿いの方が黄葉が進んでいる傾向があるので、少し奥まで行けば期待できると勝手に考えて、湯浜コースへと続く登山道を登って行く。

陽射しはすぐに翳ってしまい、光が降り注ぐような染まり方は期待薄となったが、斜面に生える笹の緑、ブナの幹の灰色、そしてブナの葉のオレンジ色が、三段染めの様相で写真を撮りまくる。つづら折の登山道を登って行き、その後は尾根を右側に見上げる斜面のトラバースを登る。やがて斜度が緩くなり、左に回り込むようになると平坦に近くなりブナの大木が林立するワイルドな森が展開する。笹の背丈が高いためか、撮影ポイントが限られるのだが、雰囲気は最高だ。山神碑を過ぎれば尾根が左側へ移り、再び斜面のトラバースになる。相変わらず大木の多い雰囲気のある森が続くが、時間も余り掛けられないので、このあたりで引き返すことにする。

帰りも写真を撮りながら歩き続けたが、実際に見た雰囲気のある光景を写真で表現できていないことがもどかしい。事前にテーマを持って撮影するつもりでいるのだが、目にする光景が予め想像したよりもはるかに素晴らしく、また、多様であることで、いつしか風景を追いかけてしまう。結果、何を撮ろうとしたのかわからない写真が山のようにたまってしまう。さて、三浦旅館の手前で下滝の方へと寄り道する。染まるブナ林の中を流れる一迫川の光景を目に焼き付けたが、ここでも陽射しが翳っていたため、あまり印象的な写真が撮れなかった。

三浦旅館でお昼を頂いて、国道398号線に向かうと、雲間から光が差し込むようになる。見上げるブナ林が再び輝きを放つ。車に戻ったら、須川温泉に車を走らせる。どうしても今年のうちに酸性の硫黄泉に浸かりたかったので。そして、帰りに再び湯浜のブナ林が俯瞰できる場所に差し掛かると、傾いた陽射しで谷筋は既に影に覆われていたが、上部は陽射しを浴びて輝いており、思ったよりも遥か奥まで光り輝いていた。湯浜のブナ林の広がりを実感することができた。そして、この輝きが、今年の栗駒山のブナ林の最後のプレゼントとなった。



早速ブナの大木が歓迎



一迫川上流の輝き



上滝とブナ林



陽射し降り注ぐ沢沿いのブナ林
※Mackey撮影



染まるブナの斜面



見上げるブナの幹と黄葉



太いブナが次々に現われる


ブナ林の斜面は三段染め


天然のナメコ?


ワイルドなブナの森


大木が林立するエリア
(そろそろ引き返す)


山神碑


鮮やかな黄葉を纏う


曇り空の下でも見事なブナ
 

黄葉の中の行者堂


下滝の方へ寄り道する


ブナ林の中の一迫川の流れ


三浦旅館に寄る


陽射しが戻り輝きを増す


背景に青空ものぞく


夕陽に輝く湯浜のブナ林
(遠くまで広がりを望む)
     


黄葉の湯浜ブナ林、その「最後の輝き」を愉しむことができた。広大な湯浜のブナ林が陽射しを受けて輝きを放っていた。陽が射し込む時間は短かったが、陽が射し込んでいない時間もブナ林の中に潜るように歩いて、雰囲気のある光景を愉しむことができた。根元の緑と幹の色、そしてオレンジの葉と、三段染めも印象的であった。また、視覚だけでなく、黄葉したブナの葉が放つ匂いに包まれて、全身で感じることができた。来てよかった・・・欲を言えばきりがないが、心から満足できるブナ山行となった。

栗駒山の紅葉といえば、イワカガミ平より上部の紅く染まる姿が印象的で、全国有数の山岳紅葉が大勢の人を呼ぶ。それはそれで素晴らしい。しかし、この広大なブナ林も全国有数で、一帯が黄葉に染まる時期は喩えようのない美しさを見せる。この光景ももっと全国的に知られていないのは本当に勿体ない。言い換えれば、限られた人だけが知っている「秘密の場所」であり続けている。それはそれでよいのかもしれない。どのような形であれ、この素晴らしい光景が永遠に続くことを祈りたい。

2021.11.10. by TAKASKE

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