栗駒山(須川・秣岳コース)(御駒岳1573m)2018年10月06日(土)、天候:晴れ

コース:須川湖−須川温泉−昭和湖−天狗平−展望岩頭−秣岳−秣岳登山口−須川湖

秣岳から下りにかかれば足元から紅葉のブナ林の斜面が広がった。
(西に鳥海山が聳える)

紅葉の時期に栗駒山の秣岳コースを歩いた。台風の接近で季節外れの暑さに苦しめられたが、須川温泉から昭和湖にかけての紅葉(黄葉)の美しさとともに、秣岳コースの展望が印象的な山歩きとなった。秣岳コースでは鳥海山の姿が視界に入る時間も長く、山肌の色づきや草原の草紅葉も見事で、雄大な景色をお伴に歩き続けた。

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台風が日本海を北日本に接近する予報が出ていた。台風が東シナ海を北上するのに伴い、秋雨前線が東北地方を横切って北上してきたが、思ったよりも天気は持ちそうだ。Mackeyは用事があるので単独行になるが、栗駒山を目指すことにする。前の週が宮城県側からだったので、岩手県側の須川温泉を目指した。国道398号線で花山から山岳ルートを抜ける。湯浜峠から目に入った栗駒山は、上部こそ紅葉が過ぎていたが、中腹にかけて見事に染まっていた。須川温泉のあたりはいい染まり具合だろう。秣岳コースはダイナミックな紅葉の展望歩きが期待できるだろう・・・と、運転しながらルートを決めた。

果たして須川温泉に近づくに従い、紅葉が鮮やかさを増してきた。須川湖の駐車場に車を停める。これまで登りにとってきた秣岳コースを、今回は下りにとることにする。須川温泉ではなく、秣岳登山口に近い側に車を停めれば最後の車道歩きが短くて済む。須川湖畔のブナ林も見事な染まり具合で、一しきり写真を撮ってから須川温泉へ。ブナ林の黄葉は下山時の愉しみにとっておく。
歩き出してすぐに気付いた。台風の影響で気温がかなり高いのである。すぐに長袖シャツを脱いで、上半身はTシャツ1枚になる。須川温泉から昭和湖までは紅葉がまさにピークを迎えていて、特に苔花台はまさに黄金色に輝いていた。

気温が高いせいか、山歩きの頻度が少ないせいか、身体が異常に重い。脚力と心肺機能の低下が実感でき、普段は大した疲れもなく到達していた昭和湖にかなりバテバテの状態で辿りついた。ここから上の斜面は紅葉が目立って少ないことが見て取れた。先週末の台風でかなり散ってしまったようだ。
ここからは自分の体調に寄り添うように無理をせずにじっくりと登ることにする。樹林帯を抜ければ鮮やかな斜面の向こうに焼石岳が背後に聳えるようになる。天狗平に着けば、宮城県側の眼下は雲海で敷き詰められていた。見事な雲海で、栗駒山から雲海を見ることができたのはこれが初めてのことであった。

予定通り秣岳コースを行くことにして、今回は山頂を踏むことはパスする。展望岩頭で昼休み。風が吹き始めて、体温を下げてくれる。行く手の天馬尾根の先には鳥海山が気高く聳えている。眼下には昭和湖から龍泉ヶ原、そして須川湖、さらにこれらを取り巻くように広がる紅葉の斜面。素晴らしいパノラマが広がっていた。天馬尾根は御駒岳からの長い下りと、秣岳への登り返しが思いのほか脚に応えた。暑さもあって身体はバテバテだったが、刻々と変化する北側の展望が得られて、また須川温泉に続く紅葉の斜面は見事であった。栗駒山と焼石岳との間には、東側から雲海が流れてきた。時折展開する草紅葉の草原もまた見事で、これまで2度歩いた初夏とはまた違った魅力を感じた。

秣岳からは一気に下山にかかる。足元から広がるブナの斜面は、西に傾いた陽射しに照らされて、紅く染まっていた。この雄大な景色にしばし見とれていた。急斜面を下りきれば稜線を外れる。あとは登山口へと下るのみ。眼下に染まるブナ林が近づくが、コースがブナ林の中を通るようになると、陽射しは斜面に遮られた。見事なブナ林ではあったが、最後の愉しみはちょっと残念な結果に終わった。車道に下り立てば、あとは須川湖まで15分ほどの道のりだった。車で須川温泉に行き、広い露天の大日湯に身を浸す。疲れがみるみる身体を満たしていった。風呂から上がる頃、台風接近の影響からか、あっという間に雲が上空を包み込んでしまった。




ブナの黄葉を映す須川湖



須川高原の湿原も染まる



名残ヶ原からゆげ山と剣岳



名残ヶ原の紅葉



苔花台で輝きは最高潮に



昭和湖と見上げる展望岩頭



焼石連峰が姿を見せる
(手前の斜面は色鮮やか)



天狗平からは何と、雲海が!
(正面のピークは大地森)



展望岩頭から秣岳へ続く稜線



この日は鳥海山が見事に望めた



龍泉ヶ原と須川湖



剣岳から広がる紅葉の斜面



白金草原と御駒岳


秣岳からの眺望(栗駒山の複雑な地形が見て取れる) 


ブナ林も染まっている


色づくブナ林を下る
(陽射しは翳っていた)

さて、秣岳コース登山口付近のブナ林に陽射しが届いていなかったことが心残りで、須川温泉周辺の紅葉も見せようと、秣岳を歩いた2日後の3連休の最終日にMackeyを誘う。2日前が台風の接近で人が少なかったせいか、この日は秣岳登山口周辺にも路駐があふれていた。車を停めてブナ林に分け入る。雲が流れて陽射しは翳りがちだったが、ブナ林は黄葉に輝いていた。

須川温泉周辺はものすごい大渋滞。やはりそれまで我慢していた人達が、3連休の最終日に紅葉の名山である栗駒山に繰り出したということか。須川温泉の駐車場に入ろうとしたが空きがなく、引き返したら、偶然にも栗駒山荘の駐車場に空きを見つけて滑り込んだ。食堂でランチを食べてから、須川温泉周辺を散策する。

旧噴火口跡から賽の河原、ゆげ山の横を抜けて名残ヶ原へと回る。旧噴火口跡と剣岳における岩と紅葉のマッチング、剣岳の山裾の輝き、ゆげ山の絶妙な配色、栗駒山を背景にした名残ヶ原を縁取る林、と見どころはたくさん。黄色主体の色づきの中で、時折見られるナナカマドがアクセントとなっていた。須川温泉周辺の紅葉は次の週末には見頃を過ぎるだろうが、見事なほどの輝きを放っていた。




秣岳登山口近く、色づくブナの森



青空と陽射しに輝くブナの幹



着飾るブナの木を仰ぐ
※Mackey撮影


色づくブナの森



須川湖畔のブナ林
(モコモコの斜面も色づく) 



賽の河原へ向かう途中、旧火口



剣岳の山裾も鮮やかに着飾る


ゆげ山の紅葉は絶妙な配色
※Mackey撮影
 

一際鮮やかなナナカマドの紅葉



名残ヶ原を縁取る林も染まっていた

   





「紅葉の時期の秣岳」はここ数年のテーマであった。天馬尾根は紅葉の時期を過ぎていたが、眼下に見る斜面の色彩美、特に秣岳から下山する下り斜面は雄大で印象深いものとなった。天狗平から見た雲海は圧巻で、初めて栗駒山で見る雲海となった。台風接近による高温が体力を奪って、最後はかなりバテた。紅葉は黄色主体で宮城県側と大きな違いだったが、特に苔花台から見る風景はまさに「黄金の輝き」であった。

黄葉のブナ林は陽が翳って残念だった。余りにも心残りだったので再訪したが、期待通りの輝きを放っていた。賽の河原を巡る周遊コースも紅葉のピーク時は初めてで、期待以上の発見だった。先週、今週と、紅葉のピークに2週続けて登ったことになるが、これからは世界谷地や湯浜エリアのような中腹のブナの黄葉がピークを迎える。例年、ワンパターンだとは思いつつも、また訪れずにはいられない。 

2018.10.11. by TAKASKE

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