栗駒山(世界谷地)、2018年05月26日(土)、天候:晴れ
コース:世界谷地入口駐車場−世界谷地第二湿原−変則十字路−世界谷地第一湿原−世界谷地入口駐車場
10年ぶりに木道が開通した世界谷地第二湿原を歩き、そこからブナの森を変則十字路まで歩いた。第二湿原は新緑に輝いており、残雪の栗駒山を間近に望むことができた。ブナの森は緑の光が降り注いで、清々しさに満ち溢れていた。
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今年の春はようやく「歩き初め」を迎えた。週末は山歩きをしようと思えば天気が悪く、天気が良いときは仕事や用事があった。思えば、今年の春は一気にやってきて、その勢いのまま夏に突き進もうとしている。じっくりと味わう暇もないほどの季節の移ろいである。それでも5月は、1年の中で最も好きな時期かもしれない。麓から見る栗駒山も駒姿がくっきりと浮かび上がる頃で、田植え前の水が張られた田んぼは水鏡となって秀峰を映し出し、田植えが過ぎれば淡い緑の模様は優美な裾野が纏う衣装のようである。快晴の中、車を走らせて世界谷地入口の駐車場に登りついた。
素晴らしい新緑の山歩きができた。輝く湿原に緑色のシャワー降り注ぐブナ林を満喫した。ほぼ毎年、このコースを歩いているが、何度歩いても飽きない。それどころか、一日中滞在していたい場所である。熊さんが怖いけど。
車のドアを開ければエゾハルゼミの鳴き声に辺りは包まれていた。序盤のブナの二次林は光が十分に降り注いでいる。世界谷地第一湿原は今回はパスする。何よりも再開したばかりの第二湿原を歩くのが愉しみで、先を急ぐ。待望の第二湿原に入れば、第一湿原よりも灌木が多い中、木道が伸びていた。本来は通り抜けることができるコースだが、駐車場側はまだ工事中で、奥側から入って往復するしかなかった。花はどちらかといえば少なめで、既に終わったミズバショウにワタスゲ、咲き始めのサラサドウダンが目立った程度。それでも新緑に輝く湿原の奥には大地森を従えた栗駒山が聳えていた。
第二湿原を後にすればもう一つの愉しみである、新緑のブナ林だ。第二湿原の奥側の入口から下っていけば、深く美しい林相のブナ林が展開する。そこから小さな沢を越えて緩やかに登って行くと、おなじみの「ブナ爺」と呼んでいる老木に出会う。スカスカでいつ倒れても不思議ではない姿に再会できて嬉しい。そしてこの周辺の広がりが、変則十字路までの中で最も雰囲気のある、気に入った場所である。ここに留まってもよかったが、変則十字路を目標として先へ進むことにして、緩やかに登って行く。緑の光が降り注ぎエゾハルゼミの鳴き声が反響する中、ようやく変則十字路に着いた。
変則十字路も雰囲気のある場所だ。16年前に歩いたことのある温湯方面は、10年前の岩手・宮城内陸地震の影響で通行止めのまま。まだ、痕跡は色濃く残っているが、開通することはあるのだろうか?「変則十字路」の名称も忘れ去られようとしている。三叉路と呼ばれるようになってしまうのも時間の問題かもしれない。
暫しの休憩をとって、あとは来た道を引き返すだけ。急ぐ必要はないのでゆっくりとブナ林の写真を撮りながら戻る。登山道沿いのブナの幹に腕を回してその太さを実感する。「ブナ爺」の前でまた一休み。足元を見ればユキザサの花が咲いていた。小さな沢を越えて最近倒れたばかりの太いブナの倒木を抜け、第二湿原入口を通り過ぎる。帰りは第一湿原に寄ることにする。こちらもサラサドウダンが咲き始めで、一面のワタスゲが見事であった。木道沿いにはミツガシワも数多く咲いていた。快晴だった空にいつの間にか雲が覆い始めていた。駐車場に戻ってから駒の湯温泉に立ち寄り、温い湯に身体を委ねる。甘めの硫黄の香り立つ温泉は、充実した一日を締めくくるのに相応しかった。
無雪期の世界谷地第二湿原は16年前の秋に一度歩いただけだが、栗駒山を目の前に仰ぐ素晴らしい光景が広がっていた(16年前は時雨れて雲を被っていた)。工事が終わった秋には真っ赤なサラサドウダンの紅葉を見ることができるだろう。ブナの黄葉と合わせて歩きたい。
2018.05.31. by TAKASKE
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