歌才ブナ林、賀老高原2016年08月12日(金)天候:晴、13日(土)天候:晴

歌才ブナ林は背の高いブナの木が数多く、魅力的な姿で出迎えてくれた。

道南に広がるブナの森を歩いた。黒松内町にある北限のブナ林である「歌才ブナ林」と、島牧村の狩場山麓に広がる賀老高原を歩いた。歌才ブナ林は見事な太い幹のブナが林立し、賀老高原は笹薮に覆われて「太古の森」そのままの姿を見せていた。

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宮城県は北海道新幹線が開通して、ちょっとした北海道ブームになっている。我々もそれに乗せられるように、この夏は北海道を目指すことにした。前日に函館入りして、翌朝に函館でレンタカーを借りて、北上する。最初はメジャーな観光地の大沼公園に行き、目の前にそびえる駒ヶ岳を望む。そこから国道5号線を噴火湾沿いに進み、長万部で名物のカニ飯を調達し、内陸に向かう。黒松内のブナセンターでカニ飯を食してから、歌才ブナ林の入口へ。北限のブナ林ということだが、よく見ると、ブナ林に着くまでの道中にはシラカバ林も見られる。ブナとシラカバはこの地でせめぎ合い、奇跡的にまとまったブナ林として形成されているのが歌才ブナ林である。

駐車場から始まる歌才ブナ林の入口からしばらくは単独のブナが見られるが、ブナ林は現れない。少し歩いたところにトドマツの純林が展開した。緩やかな登りが続き、歌才川を渡れば核心部のブナ林入口である。ここからは不規則なアップダウンの道となるが、斜面には見事なブナの大木が見られるようになる。枝分かれしない1本の幹が天を衝くように伸びている。次々に立派な木が現れてカメラを向ける。急登を2回ほど繰り返し小ピークを巻くように進めば、やがて下り坂(通称:ギンリョウソウの坂)に差し掛かる。広大なブナ林が見渡せる場所から、眼下の沢へ向けて下る。北海道とはいえ夏場の太陽が降り注ぎ、ブナ林の中にも暑さを感じた。登り返しの疲労と、島牧までの移動時間を考慮して、この辺りで引き返すことにした。ブナ林全体の半分まで歩いたかどうかの距離である。

1時間程度の短い山歩きを終えて駐車場に戻れば、島牧へ向けて車を走らせる。渡島半島の付け根の一番狭いところ、緩くアップダウンする台地を抜けて日本海に出る。青い海が鮮烈に飛び込んできた。しばらく海沿いに南下してから、山道を登って、今晩の宿、千走川温泉に着いた。山間のひなびた宿で、赤錆色と固着した湯の成分が印象的な温泉に浸かる。




大沼公園で駒ヶ岳を望む



歌才ブナ林入口の看板
※Mackey撮影



最初に現れたトドマツ林



核心部に入れば太い幹が現れる
※Mackey撮影



太いブナを仰ぎ見る
※Mackey撮影



平坦地での林相
※Mackey撮影



尾根のルートを行く



朽ちた木も青々としている



枝分かれした大木も見られた
※Mackey撮影

 

歌才川を渡って駐車場へ戻る

   


翌朝、晴れて暑くなりそうな予感。宿から山道を賀老高原へと車で登って行く。青空の下に堂々とした根張りの狩場山が目に飛び込んできた。山腹の原生林も青々と繁っていた。駐車場に車を止めて、まずは賀老の滝を目指す。熊鈴は必携だ。ブナが林立する斜面を滝へ向けて下っていく。滝の音が大きく谷間に反響していた。原始の森の中に音を立てて落ちる滝の姿があった。陽射しが降り注ぎすでに暑さが身体を包む中、再び駐車場まで登っていく。長袖を纏った身体は汗びっしょりで、アブがうるさい。早くもヘトヘトの状態で駐車場に戻る。

次に目指すのは、ブナ遺伝資源保存林(通称:太古の森)。賀老高原のブナ林の核心部の一つである。駐車場に車を止めて歩き出せば、すぐに賀老川に架かる吊橋(通称:昇竜の橋)を渡る。対岸の沢沿いの道から賀老の滝の上部に回り込んで滝を見下ろすが、ほとんど見えない。そこから、一歩奥に入れば雰囲気がガラッと変わった。アップダウンの小さいブナ林は林床の笹藪が分厚い。薄暗く、太古の雰囲気を濃密に発散させている森だ。歩いている人も我々だけで心細くなる。熊鈴を意識的に鳴らしながら歩いた。(実際、賀老高原まで登ってくる車道上にも熊の落し物と思われる大きな塊があった!)地図上ではもっと多くのコースがあるようだが、幾つかのコースは笹薮に覆われていた。思いの外、時間を掛けずに吊橋に戻ってきた。

更に林道を進んでもう一つのブナ林散策コースである「樹海の森」を目指したが、こちらは笹薮でコースの入口が塞がっていた。どうやらこちらは実質的に閉鎖されているようだ。確かにネットのレポも2000年代のものばかりで、また別の表情のブナ林を期待していたのに残念である。最後に、自然湧出する炭酸水の「ドラゴン・ウォーター」に立ち寄る。こちらには、入れ替わり立ち替わり人が訪れていた。炭酸が主張し、湧いたばかりの冷たい水は暑さに負けそうな喉には新鮮だったが、鉄錆の味が濃かった。こうして、賀老高原を後にした。海岸線に出ると、鮮やかなブルーの海がどこまでも広がっていた。せたな(瀬棚)まで南下し、昼食に名物のウニ丼を食べて、次の宿泊地への向かった。




賀老高原キャンプ場から狩場山



渓谷沿いの斜面
※Mackey撮影



賀老の滝を眺める



賀老川に架かる吊橋を渡る



「太古の森」は鬱蒼とした雰囲気
※Mackey撮影



林床に笹薮を伴うワイルドな森



薄暗く濃密な雰囲気



樹冠の奥に狩場山の稜線



天然の炭酸水「ドラゴン・ウォーター」
※Mackey撮影



島牧の海はどこまでも鮮やかな青



道南旅行の途中で立ち寄った2ヶ所の「北限のブナ林」。歌才ブナ林は見事な林相で迎えてくれた。もう少し時間があれば沢を超えて終点まで行きたかった。賀老高原は深く濃密なブナ林で原始の姿を保っていたが、残念だったのは荒れているエリアがあって通行不能となっていたことだ。両地域とも見事な黄葉の写真がパンフレットなどに載っていた。さぞかし鮮やかな光景が展開されることだろう。そう簡単に行けるエリアではないので、ホームグラウンドの栗駒山などで黄葉のブナ林をまた歩きたい。

実は、島牧村はMackeyの亡くなった祖母の出身地である。祖母が存命中は、私も島牧の海や狩場山のことを聞かされていた。そして、実際に目にした狩場山のどっしりとした姿に私も惹きつけられた。道南の最高峰で標高1520mのこの山に、もし仕事などで北海道に住むことがあれば是非とも登ってみたい。そして下山してからは、青々とした島牧の海を見ながらのんびりと過ごすこともやってみたい。今回泊まった山間の千走川温泉もよかったが、海を見ながら浸かるモッタ海岸温泉なども泊まってみたい宿である。

2016.08.23. by TAKASKE

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