室根山(895m)2015年11月30日(日)、天候:曇ときどき晴

コース:蟻塚公園駐車場−室根神社−室根山頂(往復)

室根山頂より気仙沼の市街地と湾を望む

北上高地南部の名峰、室根山に登った。裾野を広げて聳える堂々たる姿を初めて間近で見た。そして、参道の鬱蒼とした杉林、自然林、室根神社の神秘的な雰囲気、そして山頂からの展望。眺めてみて、そして登ってみて、その個性的な山を存分に味わった。

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「室根」の名前は横浜に住んでいた高校生の頃から知っていた 。時刻表を眺めては空想の鉄道旅行をしていたとき、大船渡線の欄に「むろね」という名の快速列車があったのを記憶していた。ちなみに大船渡線は鉄道好きには有名で、政治の力に捻じ曲げられたその路線の奇妙な形状から「鍋弦(なべづる)線」と呼ばれていた。
あれから30年。東北に越してきたとき、伊豆沼方面をドライブしていると遠く北東の方角に一際目立つ山を認めた。「室根山かもしれない」と不意に思ったのだったが、果たして当たりであった。4年余り経った今、ようやく実現した山行である。

今日は一人の山行。時折遠くに見える室根山は山頂に雲がかかっている。金成から花泉、川崎、千厩と車を走らせると、既に北上高地の大地のうねりの中。室根山の姿はなかなか見えない。やがて大船渡線に沿って走るようになる。室根町の町並みを走ると、信仰の山の門前町の雰囲気にあふれていた。そこから大船渡線の踏切を越えたら、目の前に大きな鳥居が現われ、その奥に室根山の立派な姿が現れた。本当に突然にどどーん、と姿を見せたのだ。1000mに満たない標高ながらこの堂々たる姿は、まさに信仰が根付くほどの存在感を持って迫ってきた。

蟻塚公園に車を停める。11時を回った中での出発だ。いきなり鬱蒼とした杉林の急登が始まる。参道の道で、急坂はまさに直線的に続いている。すぐに息が上がる。道路を横断して再び杉林。更に斜度を増した急坂に喘ぎ喘ぎ登り続ける。2度目の道路を横断したら少し坂道が緩くなってきたので、一休みして息を整える。やがて参道の杉並木の奥に自然林が見えてくる。それまで続いた直線的な登りが途切れて九十九折れになると、葉を落とした明るい自然林になった。ブナやミズナラの木々になり、ところどころに大木も見られた。更に詰めていくと、再び鬱蒼とした杉林に入って、室根神社の境内が広がっていた。

室根神社にお詣りし、三十三観音にも手を合わせると、最後の登りにかかる。ここからは短い急登から3度目の車道横断を経て、最後は山頂までの緩い登りとなった。足元に前日に降ったばかりと思しき雪が残る中、行く手にこんもりとした平原に近い台地を登った先に山頂があった。山頂に着けば陽射しは山頂を覆う雲に遮られ、北風が強く吹き付けてかなり寒い。南東の方角、眼下に気仙沼の街と湾、大島がくっきりと望めた。北の方角には北上高地の大地のうねりが見て取れ、高い山は頂を白く染めていた。北東の方角には五葉山と愛染山が双子のように聳え、北の方角遥か奥には、早池峰山が屏風のような白い峰を見せているのを認めた。

それにしても、寒い!冬型の気圧配置が残る影響か西風が吹きつけ、室根山の山頂に雲を湧き上がらせている。裾野には陽射しが降り注いでいるのに山頂だけは雲に覆われ、晴れ間が見える気配を感じないため、山頂を後にする。室根神社を過ぎて自然林に出ると、早くも陽射しが出始めた。杉林の参道に出ると、直線的な急坂の下りが続き膝への衝撃を和らげながら慎重に下り続ける。膝の筋力が格段に落ちていることを実感しながらも、1時間余りで蟻塚公園に下り立った。車で南側の山麓に下れば田んぼの奥に堂々たる室根山の姿を見ることができた。西側に回り込めば、こちらの方が自然林の多い姿を見せていた。帰りに一関の「山桜 桃の湯」で疲れを癒した。




折壁駅近くの鳥居から望む室根山



蟻塚公園の案内板



蟻塚公園は春、桜の名所に



参道は急登から始まる



道路を渡ってまた急登



杉並木を抜けて自然林を行く 



室根神社は鬱蒼としていた



三十三観音



気仙沼市街地と大島



北の方角を望む



五葉山と愛染山



遥か北に、早池峰山の白い峰



見事なブナも見られた



参道を下山する



南麓の農道から見る室根山



西麓から見上げる室根山



東北に越してきてから日頃より遠望していた山を初めて実際に登ることができた。信仰が根付き、北上高地南部にあって抜群の存在感と風格を持つ山であることを実感した。標高は1000mにも満たないが、見た目よりも急な登りでかなり足に応えた。そして、山頂からの展望は天候の関係で十分とは言えなかったが、素晴らしいものがあった。海が見える山は気持ちがいい。今度は、春の暖かい陽射しの中で歩いてみたいものだ。

2015.12.06. by TAKASKE

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