栗駒山(世界谷地スノーシューイングツアー)2015年3月7日(土)、天候:曇

コース:世界谷地駐車場手前−世界谷地第二湿原−ブナ林−世界谷地第二湿原−世界谷地第一湿原−世界谷地駐車場手前

世界谷地第二湿原から栗駒山の斜面を見る
(中央やや左に目印のダケカンバ)

この冬のスノーシューイングツアー第3弾は、栗駒山の世界谷地。第二湿原を抜けた先に広がる見事なブナ林を再度訪れた。めに向けて動き出した季節の中、豊富な雪に覆われたブナ林の多彩な表情を目にすることができた。

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この冬は暖冬で、下界の雪はほぼ消えた。「駒の湯」のアメダスは常時気にかけていたが、積雪量がなかなか減らない。下界で降っている雨は山では雪になっているようだ。しかし、気温は高めなので湿った雪が積もっているだろう。2月下旬から荒れ模様の天気が続いていたが、この2日間は穏やかで多少気温が下がっているので、締まった雪の上を歩けそうだ。天気も曇りの予報だが、少し良い方向に変わったので、晴れ間を期待しよう。

駒の湯の積雪量は120cm超。世界谷地駐車場へのアクセスが心配だったが、いつもと同じ最後の駐車場へ行く道の最終の民家まで除雪されていたので、400mほどの距離で済んだ。スタートにもたついて、駐車場の手前で12時になってしまった。雪は意外と締まっていなくて、水をたっぷり含んでいるせいか重い。第一湿原へと下りて行く道を今回はやりすごしてトラバース気味の道を行く。夏道は隠れて、樹林帯の中を進んで行くと、ピンクのテープが所々に見て取れる。夏道とは異なるのでバックカントリーの人が残して行ったものと思われる。

ミズナラの木の上の方に熊棚と思しきものが見られる。第一湿原を左の下方に見ながら緩やかなアップダウンを繰り返すと、沢状の地面の窪みが現われてきて、左岸をトラバース気味に進む。地形が平らになってくると、左に進路を向ければ第二湿原に出た。栗駒山の山頂は雲を被っており、左に大地森、右にイワカガミ平の高まりを配した姿が広がっていた。上の方は白く輝いて霧氷が着いていることが見て取れた。

第二湿原の中ほどで食事をとる。大地森方面を見る。大地森の裾野には、それは見事なブナ林が広がっている。これまでも何回か変則十字路まで歩いているが、今回は登山道を外れて自由に歩ける。そして、ハッとする光景が目に入った。淡く紅色に染まる裾野の一体は、ブナの新芽の殻の色であった。春に向けての準備が進んでいるのだ。食事を終えてブナ林に向けて出発する。湿原を縁取るようにクロベの木が立っていて、目印にしている1本のダケカンバの白い幹と枝が見て取れる。これを外さなければ迷うことはない。

ブナ林に分け入って行く。クロベのある一帯を過ぎると、太いブナが林立する美林が広がる。一気にグレードがアップする。間隔が適度に空いた立派なブナ林の中、自由に歩ける。やがて、雪の塊を載せた幹が行く手に現れた。途中で折れた幹のてっぺんに雪の塊を載せているが、こんなに大きな雪の塊がどうやってできたのだろうか?縞模様になっていて、徐々に大きくなったことを示していた。更に進めば1本1本が雰囲気を持つブナとなる。1本1本に近づいて見上げる。模様と枝ぶりはどれも見事だった。もっと立派な木を・・・と探していた足がやがて止まった。太い幹の周囲は枝から伝った雨水や雪どけ水が浸み込んで、所々に根元が空洞になっているようだ。近づき過ぎたMackeyがズボッとはまりこんだ。

こうしてブナ林の中に佇んでいたら、気持ち辺り一帯が明るくなってきた。雲がゆっくりと流れていることがわかった。やがて陽射しがこぼれ出てきた。雪面にみるみる影が浮かび上がった。実に美しい光景だった。明るさを増してブナ林全体が輝くようになった。しばらく留まっていたら、もうこの辺でいいかと満足するようになり、引き返すことにした。再び第二湿原に出る。陽射しが出てきていたが、振り返る栗駒山は相変わらず雲を被っていた。山の方は雲が厚かった。大地森の裾野にはブナの新芽は淡い紅色を浮かび上がらせていた。第二湿原の雪面には幾筋ものシュプールが刻まれていた。スノーシューの跡は自分たちの分だけで残りはクロスカントリースキーの跡であった。第二湿原を抜けてからは小さな沢伝いに第一湿原へ下った。

第一湿原は意外なことにスキーの跡も全くみつからない。出口のポイントを見つけられなければ、沢に下ってしまい、駐車場に辿り着けなくなる。しかも、積雪量が多く潅木がすべて雪の下に埋まっている。いつもよりも雪原が広がっている。やはり120cmを超えているので、表情は全く違う。それでも、夏道からも見ることのできた幹が斜めに傾く太いミズナラの木を見つけて、そちらに向かって歩いていくと、指導標が立っているのを発見。無事に出口を見つけることができた。夏道に沿ってワカンの跡がついていた。

結局、車に戻ってきたのは午後4時過ぎ。4時間半余りも歩いてしまった。距離はどのくらいか、片道2〜2.5km程度と見られる。股関節や脹脛に疲れがたまっていた。帰りはいつものように「新湯温泉くりこま荘」でお湯に浸かる。ほのかに香る硫黄泉で身も心もリラックスできた。温泉を出たのは午後5時半。日は長くなってきたが、車のヘッドライトを灯して山道を下った。



熊棚?第二湿原への林間にて



第二湿原を抜ければ美林が広がる



凍裂した幹も成長する



折れた幹に載った雪の塊



太い幹を仰ぐ



苔でモコモコの幹



幹の根元は緩み始めている



降り注ぐ陽射しに影が浮かぶ



ブナ林が明るく輝いた



太い幹が林立する



そろそろ引き返す



第二湿原で振り返る
(この日は山頂は見えず終い)



多彩なブナの表情を見る
(新芽の赤と霧氷の白)



第二湿原を抜けて戻る
(今日は大勢入っている?)



沢筋を下って第一湿原へ



第一湿原では陽射しが翳った




今年も実現した「世界谷地スノーシューイングツアー」。今回は天候が余り良くなかったが、風が弱く穏やかな中、湿原から見た大地森のブナ林の姿に心を奪われた。上部の霧氷と、裾野の新芽の色がモノトーンの世界に彩りを添えていた。そして、今回は更に第二湿原から奥の森へと進み、見事なブナ林を愉しんだ。またしても実現しなかったが、次回は秣森方面に歩を進めて、是非とも「メデューサのブナ」に会いたいものだ。

温泉から出た直後は疲れもあって、この季節はもう満足、と思っていた。しかし、まだまだ雪は豊富なので、雪が溶ける前に天気の良い週末に再訪してみようか、と思い始めている自分がいた。

2015.03.10. by TAKASKE

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