神室山(1365m)2014年09月14日(日)、天候:晴れ

コース:有屋口登山口−二俣−国定公園レリーフ−神室山頂(往復)

神室山頂から天狗森、小又山方面の展望
(シャープな山の連なりは息を飲むほど)

栗駒山系の西に聳える神室連峰、その主峰である神室山を歩いた。山形県側の有屋口から連峰主稜線を目指して登り、山頂を踏んで引き返した。天候が目まぐるしく変わる中、頂から望む連峰の姿は息を飲むほどに美しく印象的だった。

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今回は地元の山仲間との山行。「道の駅おがち」で前泊する。山形県に入り神室ダムを抜けたらすぐに有屋口に着いた。曇り空に時折日が射す程度。ちょっと天気を心配しながら出発する。沢沿いのルートは最初から自然林に包まれ、沢音を聞きながら進む。やがて見事な林相の渓畔林が展開した。そこかしこに落ちているのはトチノキの実。トチノキやカツラの大木が林立し、紅葉(黄葉)の時期は圧巻だろう。沢沿いのルートは思いの外小刻みなアップダウンを繰り返しながら登って行く。二俣に着いた頃には少々バテ気味で、この調子で山頂まで行ける気がしなかった。どうやら荷物が多過ぎたようだ。同行者にこのままでは登頂が難しいことを伝えたら、荷物を少し背負ってくれることになった。日帰りだからもう少し削ってもよかった。

二俣から少しの間沢沿いを行き、やがて沢を離れて登り始める。見事な渓畔林がこれまた見事なブナ林に変わったと思ったら急登が始まった。まだまだ自分の体調に自信が持てないので、ゆっくりとペースを乱さないように足を運ぶ。ぐいぐいというよりは、一歩一歩確実に焦らずに足を運んで行く。曇りベースだが、時折陽射しも降り注いでこれから天気が回復するかと期待する。沢音が両側に聞こえて、幅の狭い支稜線を登っていることを実感する。樹間越しに主稜線が見え隠れしているが、確実に高度を上げていることが見て取れた。

「春日神」と書かれた石に出て視界が一旦開ける。振り返れば稲穂で黄金色に染まる下界が見渡せた。再び樹林帯の急登が続いたが、体調が回復してきて主稜線に出るのには時間がかからなかった。天気が回復して青空も所々に広がっている。ここから神室山の頂まで、快適な稜線漫歩が続く。リンドウやハクサンフウロが咲く中、足元から落ち込む斜面を時折のぞきながら登って行けば、11時過ぎに頂に達した。

山頂からの景色は、特に天狗森から小又山にかけて続く主稜線に目を奪われた。鋭角的な形を連ねながら南へと続きうち重なるピーク群、東北地方ではめったに見られない、むしろ北アルプスにも似た姿は十分に私を興奮させるものであった。鳥海山などの遠景は見られなかったが、東側には虎毛山と鬼首カルデラの山々、その奥に栗駒山も見ることができた。新旧の火山群が展開する栗駒国定公園にあって、今立っている神室連峰は異端児のように非火山性の峰々を連ねている。足元から切れ落ちる東側の斜面も迫力があった。

お昼をとって30分余りで下山に入る。主稜線を左に折れて前神室山の最後の雄姿を目に納めたら、急坂の下りが始まる。踏ん張りが効かずに足元に注意しながらも流れに任せて下り続ける。両膝が悲鳴を上げ始めて、痛みが大きい右膝にサポーターを巻く。なおも下り続ければ尾根の両側に沢音を聞きながら谷間に向けて下って行く。ここからが長く踏ん張りが利かず、斜面にムリヤリ足を運ばされながらいい加減に飽きた頃、ようやく斜度が緩んで太いブナ林が現れ二俣に下り立った。

二俣で疲れ果てて休みをとっていたら、雨が降り始めた。やがて大降りになってきたのであきらめて合羽を身に着け歩き出す。そうこうしているうちに谷間に雷鳴が轟くようになる。最後の渡渉を前に緊張させられたが、増水しておらず問題なく渡れた。雨はしばらく降り続いたが、むしろここからのトラバース道での滑落に気を使った。急坂を下り続けて踏ん張りの利かなくなった膝は、幅の狭く濡れた道で少しの油断でも全身のバランスを崩すのに十分な状態であった。ようやく平坦な場所になり雨が止んできて、緊張感から解き放たれた。足を引きずるようにしてようやく有屋口に辿り着いた。



沢沿いのルートからスタート



美しい林相の渓畔林



キツリフネ



ツリフネソウ


 
ブナの美林の中を登る



有屋口コース上部
(主稜線も近い)



国定公園レリーフ



ハクサンフウロが咲き残る



山頂から前神室山方面



切り立った山肌と虎毛山、栗駒山



前神室山の展望を後に急坂へ

 



疲労困憊の山行だった。最初は調子が悪くてどうなることかと思ったが、荷物を軽くしてもらって持ち直した。お蔭でこの素晴らしい山の頂を踏むことができた。足元から広がる斜面、鋭角的にそそり立つ峰々とそれらをつなぐ稜線の展望はアルプスの3000m峰にも匹敵するほどであった。そして、神室連峰のもう一つの魅力は「何もないこと」、言い換えれば「手つかずの自然にあふれていること」。見渡す山肌に植林が見当たらなかった。紅葉の時期はさぞかし素晴らしいことだろう。麓の渓畔林や中腹のブナ林も黄葉する中を歩いてみたい。

半端ではないほどの疲労感と筋肉痛に襲われたが、数日後には今度は最高峰の小又山に登ってみようかと考えている自分がいた。先のことはわからぬが、さて、どうなることやら・・・

2014.09.17. by TAKASKE

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