栗駒山(1,626m)、2014年07月06日(日)、天候:晴のち曇
コース:湯浜温泉−世界谷地分岐−虚空蔵十字路−天狗平−栗駒山頂−(中央コース)−イワカガミ平
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長い樹林帯を抜けれた先に展望と雪渓とお花畑が待っていた・・・ |
栗駒山の中で屈指のロングトレイルである湯浜コース。憧れ続けたルートをついに踏破することになった。梅雨の合間の晴天に、ブナの森は輝き、森林限界を抜けた先には雪渓とお花畑、そして展望が待っていた。更に雄大な展望の中を登り続けてついに山頂に達した。
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湯浜温泉、三浦旅館は2年前の夏に営業を再開した。ここに前泊する。湯浜コースは片道9kmと長いので、自分たちで行こうとすると往復18kmを歩き、戻ってこないといけない。今回は地元の山岳会によるガイドツアーに参加して中央コースを下山する。前の夕方に三浦旅館に到着し、沢音あふれる秘湯の宿で、ゆったりと湯に浸かって英気を養った。夜が明けると、前日の鬱陶しい梅雨空が嘘のように快晴の朝となった。
この日は湯浜コースの夏山開きで安全祈願祭に参加してから出発する。深い谷間にようやく射しこんだ朝日に、森が輝く。前の週は同じくブナの森が広がる船形山を歩いたが、陽射しに輝くブナの森は格別だ。少しずつ登って行くと、ブナの木ばかりでなく、ミズナラやトチノキ、ホオノキ、カツラ、カエデなどの様々な木が、個性的な葉を広げていた。それでも主役はブナだ。圧倒的な太さの木はないものの、太く背の高い幹を至る所で見る。そして、林相は太古の姿をとどめるワイルドさに満ちて、足元には去年に落としたであろう大量の実が残っていた。
緩い登りが続き世界谷地への分岐を過ぎる。歩く人の少ないルートだが、踏み跡はしっかりしている。ガイドをしてくれる山岳会が懸命に維持してくれているお蔭だ。そして、登山道の真ん中に熊の落し物を見ること5度。ここにもワイルドさが見える。標高を上げて行けばやがてぬかるみに出て、ミズバショウの大きな葉が現れる。さらに高度を上げれば、時々岩がゴロゴロする短い急登を抜けて、ついに森林限界に達した。息苦しさすら覚えた樹林帯の先に待っていたのは、雪渓とお花畑、そして展望だった。
振り返れば、今抜けたばかりの深いブナの森が湯浜温泉のある谷間にかけて絨毯のように広がっている。国道398号が走る斜面の奥には、鳴子から船形連峰にかけての山なみが立ち上がっていた。足元にはイワカガミにタテヤマリンドウ、雪が消えて湿ったところにはミズバショウ、そしてイワイチョウはこれから見頃を迎える準備段階だ。雪渓を縫うように続く木道は緩やかな登り勾配を描いていた。そして、何よりも存在感が際立っていたのは、栗駒山を代表する花のヒナザクラであった。その繊細な姿は出色だった。
湿原を抜けて潅木帯を行く。ハクサンシャクナゲ、ウラジロヨウラクは先週の船形山でも見られた花。虚空蔵山の丸い山体を回り込むように登れば虚空蔵十字路に着き、少し行けば御室の岩場が望めた。ハクサンチドリやオノエランが咲く中を登り続ければ、稜線の奥に山頂が見える。眼下には、6月頃に駒姿を描く雄大な雪渓が広がり、その下には緑色を濃くしたブナ林が広がっていた。少しずつ、少しずつ、登って行けば天狗平。ここで須川コース、天馬尾根コースを合わせて、あとは急ぐ必要のない山頂までの道。6時間以上をかけた長い登路がようやく終わりを迎えた。
山頂での充実感いっぱいのひとときを過ごしたら、下山は中央コースをとる。登りが長かった分、疲れが身体を覆ってきた。中央コースの玉石とコンクリートの道は足に応えた。雲が湧き上がってきて、振り返る山頂はやがてガスに隠される。中央コースはいつも下山ばかりで、思いの外長く感じる。空が暗くなってきて雲が厚くなってきたことを感じる。ついに雨がポツポツと降り出し、ようやく下り立ったイワカガミ平で待っていたバスに乗り込むと同時にザーッと強く降ってきた。
木道の斜面を行く |
イワカガミは至る所に咲く |
ハクサンチドリ |
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梅雨の合間に奇跡的といってもいいほどの晴天に恵まれた。今回の山行を、より輝かしいものにした何よりの原因だろう。長い間憧れ続けたロングトレイル、自分たちで登るなら往復するしか手段がなかったが、ガイド付きツアーがあることを知って申し込んだ。ガイドの配慮のお蔭で、ゆっくりと無理のないペースで登り切ることができた。また来年も歩いてみたい。秋の紅葉シーズンにも歩いてみたいとも思うが、果たして今回のような好条件に恵まれるだろうか。とにかく期待に違わぬ、すべての魅力が詰まったコースを満喫することができた。感謝!
そういえば栗駒山の標高は今年、1m下がった。GPSの測定データが最新のものになり1m下がったとのこと。考えてみれば、栗駒山に初めて登ったのは20年前。このときは1,628mだったので、2m下がっている。どうでもいいことだけど、山が縮んでいるのか、はたまた地震の影響なのか・・・
2014.07.12. by TAKASKE
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