鳥海山(中島台)2014年06月01日(日)、天候:晴

コース:中島台レクリエーションの森駐車場−アガリコ大王−出壺−鳥海マリモ群生地−アガリコ大王分岐−駐車場

青き森の主

鳥海山の北側に広がる中島台。ブナの森と鳥海山の伏流水が湧く台地を周遊した。緑が濃くなり始めた森は、沢音とハルゼミの鳴き声が響き渡り、林立する奇形樹の間を縫って緩く続くアップダウンの道を愉しんだ。中でも、森の主ともいえる「アガリコ大王」は青々と葉を茂らせ、幹は力強く立ち上がり、特別な存在感を放っていた。

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前から行きたいと思っていた場所をついに目指す。鳥海山の北麓に広がるブナの台地だ。Mackeyは膝を傷めて今年の本格的な山歩きは無理だが、今回は遊歩道に毛が生えたレベルだから、連れて行けば山に行けないストレスの解消になる。朝6時半に家を出るが、我が家ではこれでも早い方である(^^;; 国道108号に入って鬼首を抜けて秋田県に入る。雄勝を経由して由利本荘へ。情報はゲットしていたのだが、通行止めの表示が見当たらないので、祓川登山口方面へ車を走らせる。まだ残雪が豊富な鳥海山の姿が飛び込んで、ブナ林の間を登って行くと、中島台方面の分岐で通行止め。素直に迂回路をとっていればよかった・・・結局30分超のロスだが、田園地帯の奥に鳥海山が全貌を現わしていた。

中島台レクリエーションの森の駐車場に車を止める。着いたのは11時15分頃で、ロスも含めて5時間近く走ったことになる。車を降りれば、ハルゼミがまさに蝉時雨状態であった。
最初は植林帯だが、すぐに自然林に入るとやがて沢音が大きくなってきた。右に折れて赤川の流れを渡る。雪どけ水を集めているのか水量は豊富だ。すでに辺りはブナの大木が林立している。太い木はいずれも人の手が届く高さで幹がいくつかに枝分かれしている。いわゆるアガリコの森だ。分岐を左に折れた先には炭焼き窯が現われる。昭和初期まで使われていたそうで、そのような森の生活がつい最近まで営まれていたことに感慨を持つ。炭焼き窯からわずかに登ったところに、お目当ての「森の主」は鎮座していた。「アガリコ大王」との初対面だ。

しばらく「アガリコ大王」の傍で休む。樹齢は推定300年超。それだけの樹齢を重ねると、普通のブナの木であれば幹は空洞だらけで朽ちて倒れても不思議ではないほどだが、上へ上へと伸びる枝(幹?)はいずれも若々しく、ふさふさとした青葉を湛えている。まだまだ老木という雰囲気がない。木の周りを色々なアングルで撮影しようと試みるが、どのように撮っても平凡な構図になってしまう。まあ、あまり欲を持たずに普通に撮るしかない。十分にエネルギーを頂いて先を行くことにする。

分岐点に戻り、出壺を目指す。至るところに小さな流れを横切ると、こんこんと水が湧き出す「出壺(でつぼ)」へ。ここは柵が張られており、以前はもっと近くに寄れたが裸地化が進んだために立入禁止になったとの事。緑深い森の中から湧き出す泉はなかなか神秘的な雰囲気である。このあたりは出壺以外にも至る所に水が湧き出ている。鳥海山の中腹に積もった雪が伏流水となって、中島台から至るところで湧き出しているのだ。一帯は「獅子ヶ鼻湿原」とも言われているが、湿原と言っても草原と池塘に彩られた高層湿原ではなく、森の中に水が湧き出す湿原だ。

周回ルートを3分の2ほど歩いたところで、東北電力の導水路に出る。しばらく歩けば「鳥海マリモ群生地」に出る。この辺りも至る所に水が流れているが、これだけの湿っぽい場所にもアガリコが見られ、人が生活の場としていたことに驚きすら感じた。そこから一登りで周回ルートの入り口に戻った。ここからは来た道を戻る。ハルゼミの蝉時雨は続き季節外れの暑さを感じるが、森の中は快適だった。2時過ぎに駐車場に戻った。2時間半程度の山歩きだった。

来る途中で気になる場所があったので、車を走らせる。由利本荘市の「菜の花祭り」だ。行ってみると「巨大な学園祭」という雰囲気だが、この時期に、と思わせる菜の花畑の向こうに残雪の鳥海山が堂々と姿を見せていて、絵葉書の光景だった。その後、海の方に車を走らせる。白瀬南極隊記念館(にかほ市金浦)に立ち寄り、その後、海沿いにある「道の駅 象潟 ねむの丘」へ。ここの温泉はかすかにモール臭を感じさせる。そして、展望レストランで拷問級の「眺海丼」なる海鮮丼を食べながら、海に沈む夕陽を眺めた。

そこから4時間余りの家路はさすがに疲れたが、山歩きと観光を兼ねた充実した一日となった。



祓川登山口方面から見た姿



県道32号の途中から見た姿



すぐに緑の光降り注ぐ森に入る



炭焼き窯跡
(昭和初期まで使われていた)



アガリコ大王の幹



水がこんこんと湧く出壺



岩を抱えて立つミズナラ



こちらも見事なアガリコの大木



雪どけ水あふれる森



鳥海まりも群生地



木道に浮かぶ影絵



影絵もう1枚



案内板のマップ



菜の花祭りの会場から望む



象潟から見上げる姿



日本海に沈む夕陽(ねむの丘より)


東北に越してきてから鳥海山はどこよりも登りたい山であるが、元々は、鳥海山登頂の前後に中島台を歩くことを考えていた。中島台を目的に行こうなんて思いつかなかったが、Mackeyの足の故障でどこか歩ける所がないかと考えていたとき、「そうだ、中島台に行こう」と思い立ったのであった。歩いてみてわかったことは、単純にブナの森というよりは、ブナを主体としながらも渓畔林の様相を持っていることであった。瑞々しさ一杯の森、今度は黄色く染まる秋に歩いてみたいと思う。

鳥海山周辺は観光スポットも多く、こちらの面でも魅力あるエリアだ。象潟の岩ガキは10年以上前に食べたことがあるが、また観光もかねて1泊以上でゆっくり訪れたい。もちろん、いずれ鳥海山の山頂を踏んでみたいとも思っている。

2014.06.07. by TAKASKE

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