焼石岳（1548m）、2013年6月30日（日）、天候：曇ときどき晴
コース：中沼登山口−中沼−銀明水−東焼石岳分岐−姥石平−東焼石岳分岐−焼石岳山頂−東焼石岳分岐−銀明水−中沼−中沼登山口
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青空の下、焼石岳と東焼石岳が行く手に・・・ |
花の名山である焼石岳に初めて登った。時期的にハクサンイチゲは終わりに近く、咲き誇る大群落は目にすることができなかったが、中腹から山頂までのルート沿いは様々な花に彩られていた。天候には恵まれず展望は今一つであったが、豊富な残雪から流れる雪解け水がミズバショウやリュウキンカを育んでいて、また見事なブナ林も広がっていた。瑞々しさ一杯の山であった。
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中沼駐車場に着いたのは５時半過ぎ。今日は長丁場を覚悟して少しでも早く出発したい。ガスの中を出発する。雨もポツポツと降っている。100mも歩けばぬかるみで靴底は泥まみれとなった。意識的にスピードは控え目に登ると、早くもシラネアオイが出迎えてくれる。ズダヤクシュやマイヅルソウも至る所に咲いていた。登りついた中沼は霧に煙っていた。沼の畔を行けばやがてコバイケイソウの大群落が現れた。今年は当たり年のようだ（どうやら４年周期のよう）。
ここから先は雪解け水が豊富な中を行く。時に沢の中を靴を濡らしながら登る。ミズバショウとリュウキンカが至る所に咲いている。また、上沼にかけて広がるブナ林は美しい林相で霧に霞んでいた。つぶ沼との分岐点を下山時に迷わないようにしっかりと焼き付けて、銀明水に到着すればコースの前半が終わる。実に美味しい水場であった。
銀明水を出発すれば雪渓歩きが頻繁に現われる。踏み抜きに注意しながら雪渓を渡れば、ガスに切れ目が出て青空がのぞいた。潅木帯になりサラサドウダンやミネザクラ、ムラサキヤシオが咲いている。傾斜が緩くなって青空の下、木道の上を行く。古い火山の山頂平原を行くのは快適だ。高層湿原と高山帯の花が入り混じるようになる。分岐から東焼石岳方面に進めば姥石平のお花畑を行く。一面に咲き誇っていた（であろう）ハクサンイチゲは、すでに終わり近く所々に咲き残る程度だった。カラマツソウとワタスゲが目立っていた。
分岐に再び戻って山頂を目指す。チングルマやイワカガミもピークを過ぎているよう。点々と咲くのはハクサンチドリ。雄大な横岳や西焼石の雪渓を見ながら、焼石岳の山頂に向けて登る。思ったよりも早く山頂に着いた。雲が次々に湧いてきて、遠望はなし。経塚山、南本内岳、西焼石岳、横岳、東焼石岳の焼石連峰の峰々だけが見渡せた。懐深さを感じさせる姿であった。
中沼に向けて来た道を引き返す。山頂草原のハクサンイチゲに別れを告げて淡々と下り続ける。銀明水まで下れば再びガスの中。家に持ち帰るため、すべての容器を水で満たす。少し重くなった荷物を背負って再び下り始める。ぬかるみの中を下り続けるが、ミズバショウやブナ林の中を行くためか、不思議と清々しさを感じる。中沼はますます濃密なガスに包まれていた。午後２時半に下山。帰り道、「焼石クアパーク ひめかゆ」に立ち寄った。なかなかいいお湯だった。
初めての焼石岳は東北に来て３年目でようやく実現した。山頂部の花は時期的にやや遅くて物足りなかったが、中腹のミズバショウ、リュウキンカ、シラネアオイなどの花々や、ブナ林などが期待に違わぬ魅力を持っていた。雪の多い山だけあって、７月に入ろうとするのにまだ春の装いであった。南隣の栗駒山が多少俗化された山であるのに対し、こちらは太古の静寂を保っているようであった。雪どけ水の瑞々しさもまた魅力であった。
今回は天候には余り恵まれなかったので、また来年機会があれば登りたい。今度はもっと混雑するけれど
、ハクサンイチゲのピークの時期に踏んでみたい。盛夏にもトウゲブキやクルマユリのような花が咲き乱れるというが、久々にかなり疲れた山行となったので今年もう１度登ろうとはまだ考えられない。
2013.07.06. by TAKASKE
