虎毛山(1,433m)201207月22日(日)、天候:晴ときどき曇

コース:赤倉沢登山口−赤倉沢渡渉点−高松岳分岐−虎毛山頂(往復)

虎毛山頂から太平洋側を敷き詰める雲海と栗駒山を望む

栗駒山の西に位置する虎毛山に登った。序盤の沢沿いの道の雰囲気、中腹の急登とブナ美林、山頂湿原と展望、コンパクトながら多彩な魅力を持つ山であった。山頂からは太平洋側を埋め尽くす雲海を見ることもできた。

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梅雨が末期だというのにオホーツク海高気圧に支配下に入って東北地方の太平洋側は寒く、最高気温が20℃に届かないほどだ。Mackeyが外出中で、久々の単独行だ。行き先は、日本海側の方が天気が良いだろうと虎毛山にする。国道47号線を西に向かえば鳴子に差し掛かると、雨が間断なく降り続くようになる。鉛色の雲が低く垂れこめて憂鬱な気分になるが、鬼首を過ぎ県境のトンネルを抜けたら、青空がのぞいていた。

ダートの林道を詰めて行き、赤倉沢の流れの畔で車を止める。美しい渓畔林が続く好ましい道で、川の流れの音と降り注ぐ陽射しが素晴らしい。橋が現れて赤倉沢を渡れば、第二段階の急登が始まった。ギアを入れ替えたつもりだが、急勾配に呼吸は大きく乱れる。単独の登りはどうしてもオーバーペースになってしまう。コースは整備されていて、足元が荒れていないのが幸いだ。

桧林が展開し再びブナが現れてくると、辺りは見事なブナの美林となった。規模はそれほどではないが、惚れ惚れするような林相のブナ林だ。再び傾斜が強まって喘ぎながら登れば、突然稜線に飛び出して高松岳分岐に着いた。汗が滝のように流れ落ちるが、思ったよりも順調なペースで登っていた。そこからは稜線歩きが続き、行く手にドーム型の虎毛山の頂が姿を現した。ガレ場の縁をトラバースし、一旦高度を下げたらあとは山頂に向かって少しずつ高度を上げるだけだった。

広大な山頂に腰を下ろせば、目の前に流れる雲が切れて、栗駒山の頂が姿を現した。雲海の上に悠然とした姿を横たえている。少し下れば池塘をたたえる山頂湿原が広がり、栗駒山を背景とした様はまさに「運上のオアシス」だ。目を引いたのは太平洋側に広がる雲海。分水嶺の向こうを雲がビッシリと敷き詰められ、あふれ出すところで姿を消している光景が展開されていた。南側も一面の雲海で、須金岳が辛うじて島のように頂を見せていた。

花は端境期にあるのか、思ったほど多くはない。別天地の山頂を後に、来た道を下る。行く手に神室連峰の鋭峰や、高松岳とそれに続く稜線を見ながら下る。分岐からの急な下りは、足元が荒れていないため思ったよりも膝に応えることなく順調だ。1ヶ月ほど前に新調した登山靴も、うまく力が地面に伝わっている感じで良い。結局、思ったよりも1時間ほど早くスタート地点に戻ってきた。

秋の宮温泉郷で一風呂浴びてから、鳴子方面へ。分水嶺のトンネルを抜けると、再び鉛色の雲が垂れ込める世界となり、暑かった空気も一変した。宮城県側の人は、分水嶺の向こうに晴れ間が広がっていることも、自分たちの住む世界が標高1000m程度の低い雲の下で暗くなっていることも、実感できないだろう。



赤倉沢沿いの爽やかな道



草茂る氾濫原



渡渉点の橋が見えてきた



急坂途中の夫婦桧



ブナの美林を歩く



破損したままの虎毛山避難小屋 



山頂湿原が広がる



池塘の奥に栗駒山が聳える


 
南の方向、雲海に浮かぶのは須金岳か?

 

トキソウ?



この花の名は?



神室山



緑濃い虎毛山



高松岳に続く稜線



力強さを感じる夏のブナ



太い桧


久々の急登の山。標高差900mだから、以前ならどうってことないレベルであるが、喘ぐような登りは本当に久しぶりだったが、意外と歩けたのは新たな発見であった。

虎毛山はコンパクトながら魅力が凝縮された山であった。沢沿いの爽やかな道、中腹のブナ林、広大な山頂湿原、各々に秀でている山はほかにも多いが、魅力を併せ持っている。紅葉の時期も写真で見ると良さそうだ。でも、この山域はほかにも高松岳や神室山など、行きたい山も多い。出来れば避難小屋に泊まって、ブナ林の稜線を高松岳まで縦走したいけど、避難小屋は壊れたままであった。

これを書いているのは山行の1週間後。東北地方も梅雨が明けて、ひんやりした空気は追い出され真夏の暑い空気に包まれている。

2012.07.29. by TAKASKE

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