品谷山〜廃村八丁(881m)、2010年04月18日、天候:晴ときどき曇

コース:佐々里峠−品谷山−品谷峠−廃村八丁−刑部滝−ダンノ峠−佐々里峠

異空間の廃村は自然に還る途上

芦生の森に隣接する京都北山の品谷山から廃村八丁を結ぶ周回ルートを歩いた。期待のイワウチワはやや早かったが、尾根道、沢沿いの雰囲気が素朴で、想像以上に自然度が高く、充実した山行が愉しめた。途中でハプニングもあり何とか対処することができたが、改めて気を引き締めて歩かなければならないことを思い知らされた。

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年明けから非常に忙しく山へ行く暇が全くなし。2月中旬にようやく時間が出来始めたところで、今度は家の中で膝を痛めてしまった。ちょっとした観光歩きは何度かやったが、果たして山行の負荷に耐えられるか心配。今回は、標高差が少なく手頃な計画との考えだが、甘いことを思い知らされることになる。

スタートは佐々里峠。そこからから登っていくと、どうやら作業道に入ってしまったらしく、ダンノ峠へ向かう稜線上に出てしまった。右に折れて少し行くと、佐々里峠へ行く道と品谷山へ行く道の分岐のピークへ。品谷山へと登り、その後下りに転ずる。稜線上にブナが多い。そのまま少し下った鞍部が品谷峠だが、ここの下り口に指導標が見えず自信がない。どちらかと言えば、経験者がわかればよいかのような書き方であった。

斜面を下れば沢地形となり、やがて水の流れるスモモ谷へ。何度も流れを渡り返す。雰囲気が昨秋歩いた芦生の枕谷に似て、心地良いコースだ。地図の記載とやや異なる部分があって、今ひとつ不安になるが、谷が顕著になるに従い問題のないことが判る。植林帯に出たら左折してやがて廃村八丁に到着した。

廃村八丁には生活の匂いが残っている、というが、私の感覚では苦労して開墾した土地が再び自然に還ろうとしている、との印象であった。この日はポカポカ陽気で、お弁当を食べた後少しばかり横になる。そのまま眠りに誘い込まれる感覚を辛うじて押しとどめて、再び起きて歩き始める。

刑部谷の清流が寄り添う。すぐ近くに廃村があることも忘れたような原始の雰囲気に包まれる。この当たりは標高がやや低いせいか、イワウチワがビッシリと咲いていた。時折渡り返しながら、清流はやがて急流や小滝を交えるようになる。そして一段奥まったところにあるのが刑部滝であった。

丁度後続のパーティーが追いついてきて、刑部滝の手前で分岐する沢に向かって歩いていく。沢沿いに赤テープも見えて、自分達も同じ方角を目指した。やがて刑部滝に近い落差の滝が見つかり、その横を登っていく。先行するパーティーが視界から消えた。そのまま沢沿いを行こうとして、踏み跡が消えた。右の斜面に踏み跡らしきものが見えて尾根に取り付くことを考え、斜面を半ば強引に登ることに。尾根が徐々に下がってくるが、その分きつい登りとなった。尾根に立って、方角を確認したとき、愕然とした。

登り着いた尾根は南に向かって延びており、想定していた方角とは真逆であった。これは・・・しばし思考回路が停止した。自分達がいる場所が見当がつかなくなっていた。地図と睨めっこしても判らない。そのうち、ふと思い出した。刑部滝の横にぶら下がる赤リボンを。そのとき、自分達のいる場所がようやく認識できた。沢から登ってきた斜面を転げ落ちそうになりながら下る。沢に出て、迷うことなく引き返すことができ、刑部滝との分岐まで戻った。自分達が登ったのは「奈良谷」であった。奈良谷とは別の、刑部滝に並行する形でリボンやテープが見えていた。1時間超のロスであった。

刑部滝の横を直登すると、後は緩やかな登山道が続いた。刑部谷の上流へと歩き、同志社大学の施設のあたりは谷筋が広くなる。途中から右へ折れて峠谷へと歩く。少し登ったダンノ峠にはイワウチワが程よく咲いていた。

先を急ぐ。午後5時に差し掛かり、早く行かないと暗くなってしまう。品谷山を指す指導標に従い、尾根道を行く。一際見事な芦生杉の大木を仰ぎ、やがて佐々里峠と品谷山の分岐へ。朝来た道に再び立った。そこからは、ひたすら佐々里峠へと下っていった。佐々里峠に着いたのは午後6時を少し回ったところ。なんとか暗くなる前に帰ることができた。

車に乗り込んだらそこから日常に戻る。鯖街道へ出た頃には真っ暗になっていて、本当に制限時間間近のギリギリセーフだった。朽木方面へと車を走らせ、「まる姫」で焼鯖寿司をGET。苦労した後の焼鯖寿司は格別だった。

品谷山一帯はブナが多い

スモモ谷へと下っていく

素晴らしい谷に下り立つ

見事な風景が続く

刑部谷の清流

イワウチワはやや早い

刑部滝を仰ぐ

奈良谷のショウジョウバカマ

見事なサルノコシカケ

所々に咲くイワウチワ

同じくイワウチワ

ダンノ峠近く、芦生杉の大木

展望を後に、佐々里峠へ下る


膝を痛めた後の初めての本格山行。アップダウンも全体的には緩やかで、膝の調子は問題なかった。しかし、久しぶりに本格的な道迷いをやらかしてしまった・・・迷ったときに引き返すのは鉄則だが、引き返す先が沢であることに迷いが生じた。刑部滝の横を直登する赤リボンを思い出したのはほんの偶然か。とにかく、一歩間違えば一夜を明かすことになっていた。

それにしても、想像していた以上に雰囲気の素晴らしい一帯であった。また歩きたい、と心から思った。来年、今度は満開のイワウチワを狙って再訪しようかな。

2010.05.02. by TAKASKE

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