芦生の森、2009年11月8日、天候:晴

コース:生杉−三国峠−地蔵峠−生杉

紅葉の斜面、光と影

秋の芦生の森を歩いた。今回は北部の生杉から三国峠にかけてのエリアを歩いた。一帯はブナをはじめとする落葉広葉樹が紅葉の見頃を迎えていた。晩秋の陽射しが降り注ぎ、目に鮮やかに輝いていた。

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伊賀から車を走らせる。琵琶湖大橋を渡るルートは何度も通った。鯖街道(国道367号線)に入り、坊村を過ぎて左折する。山道を縫うように車を走らせれば、深い谷間に降り注ぐ朝日に、鮮やかな紅葉が映し出された。生杉へと走らせれば、徐々に谷は浅くなり、穏やかな様相を示す。紅葉の山肌を背景に、干し柿や大根を軒下に吊るす風景が郷愁をそそる・・・そう、歩き始める前から、この日は違っていた。

生杉のブナ原生林のところに駐車場があり、何とか駐車スペースを見つけてもぐりこんだ。準備をしていると、突然日が翳ってしまった。仕方ないので、とりあえず出発する。ブナ原生林の斜面を登る。斜度が急だが、この日は急ぐ必要がないので、一歩一歩踏みしめるように登る。じきに尾根道に出て、三国峠へと出る。遠くに見えるのは若狭駒ヶ岳か。この頃から、ようやく安定した陽射しが降り注ぐようになる。

三国峠を後にすれば、今回のコースの核心部である枕谷へと入っていく。最初は斜面のトラバースを行く。眼下に枕谷の流れが見渡せるスッキリした谷である(後で調べたところ昔はネマガリダケが繁茂していた斜面だったのだが、鹿の食害により植生が変わったのだそうだ)。意を決したように谷底へ下っていけば、そこには二股に分かれたブナの大木が存在感をもって立っていた。そこからは、流れを渡り返しながら緩やかに下る枕谷の快適なルートが続いた。

地蔵峠への分岐から地蔵峠に上がり、林道を生杉まで歩く。周りの山肌は、赤やオレンジ色に鮮やかに輝いている。生杉谷へと落ち込む斜面も鮮やかに染まり、その色鮮やかな斜面は遥か遠くまで続き、遠くの山々まで染まっていることがわかる。目の前の斜面の色などは、これ以上ない輝きを放っていた。30分ほどの林道歩きも、疲れることなく周りの景色を愉しみながら歩けた。

生杉ブナ林の駐車場に戻る。朝、出発するときには日が翳っていたので、再び歩くことにした。ブナの原生林は降り注ぐ黄金色の光で一層輝いていた。見上げるブナの木々は白い幹を輝かせており、鮮やかな紅葉の奥に青空が透けて見えた。この秋で最も輝く紅葉の風景を最後まで目に焼き付けていたかった。名残り惜しくも駐車場に下りて、車に乗り込んだ。

まだ、時間が十分にあったので、小浜まで車を走らせた。港の近くの土産物店で名産の「へしこ」をゲットし、近くにあるカフェで海を見ながら一休みした。夕日が傾いてきたので日本海に分れを告げて、伊賀まで帰った。

ブナ原生林を抜けて尾根を行く

三国峠付近の紅葉

三国峠に立つ

若狭駒を望む

枕谷の源頭部

存在感のある大ブナ

沢沿いの道も染まっていた

青空に映える谷

色付き始めたカエデ

谷筋に続く紅葉

見上げる斜面も輝いている

黄金色の光に輝くブナ林

青空をバックに競演するブナ


今年一番の紅葉山行だった。前週の御在所岳もよかったのであるが、芦生の森の深さには及ばない。その森が紅葉で輝いていた。まさに、冬を迎える前の最後の輝きを放っていた。歩けば歩くほどに、魅力に引き込まれていく。芦生とはそんな存在なのだろう。まさに、関西最後の秘境と言えよう。

一方で、この紅葉シーズン最盛期に、結構な数のハイカーを目にした。大阪に住んでいたときには、電車とバスを乗り継いで遥か彼方の地へ辿り着く感覚を持っていた。今、こうして車を使えば手軽に(といっても自宅から3時間程度かかるのだが)行ける。そして、生杉からはまさに「労せずして」芦生の最深部にも入ることができてしまう。

芦生の森は2006年に地蔵峠からの入山を禁止している。この「地蔵峠から」には「三国峠から」も含まれていることは後から知ったのだが、2007年には三国峠からの入山規制が解除されているとの別の情報もある。また、京都大学側の措置に対して、滋賀県高島市が反対しているという事情もあるようだ。今回、三国峠から枕谷を歩いたが、やはりオーバーユースの観点から安易に踏み入れてはいけなかったのかもしれない、と思うようになっている。次回は、「表玄関」の須後から入って由良川本流を遡って上谷まで歩いてみたい、とも思ったりしている。

2009.11.19. by TAKASKE

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