錫杖ヶ岳(676m)、2009年1月17日、天候:晴

コース:下之垣内東登山口−錫杖ヶ岳−下之垣内西登山口

錫杖ヶ岳山頂から亀山の街並みと鈴鹿山系を望む

2009年の初山行に前から登りたいと思っていた錫杖ヶ岳を選んだ。雪が残る稜線を辿って、360度の展望の山頂に立った。抜群の浮揚感を満喫した。

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伊賀盆地の東方、なだらかな霊山の奥に際立つ鋭鋒を見る。名古屋方面から東名阪で亀山まで来たときには、西の空にこのシルエットを見ると、最後のひと頑張りだと思うようになる。伊賀に引っ越して2年近くが経ってようやく登る機会が巡ってきた。

名阪国道の向井ICを降りれば、錫杖ヶ岳方面の林道を行く。伊賀では見られなかった雪が出てくるのは、鈴鹿峠を吹き抜ける雪雲がこのあたりにまとまった雪を降らせるためだ。路肩に雪の残る林道を走っていけば、やがて路面も所々に圧雪が残るようになる。柚之木峠の登山口が出てきて、20台程度駐車していた。

こちらは錫杖湖側から余り雪のない南面の登山道を歩くことにしているため、この登山口を横目に過ぎて林道を登っていく。”しまった”と思ったときには引き返すタイミングは過ぎてしまっていた。スタッドレスを装着しているものの、至る所で凍結している。対向車が来たらどうしようもない幅の林道、まだまだ登りが続く。斜度のあるところでは、時々スリップしてしまう。ようやく峠を越して南斜面に入れば凍結箇所が減って路面も乾いてきた。錫杖湖の近くにある駐車場に辿り着いたときには心底ホッとした。

東登山口から登っていく。林道から登山道に入ると、グイグイと急登を登り続ける。本格的な山登りは2ヶ月ぶりで、脚力の低下を実感する。稜線が近くなった頃、登山道にも雪が現われ始めた。やがて稜線に立つ。ここから先は雪道が続く。稜線から先もグイグイと登り続ける。北面は一面の積雪で、キックステップを交えながらの登りが続いた。頂上直下、南面のトラバースを経て回り込むように頂上に登り経つ。そこからの展望は雄大であった。

南東側には錫杖湖が望めた。ガイドブックの写真のような風景も、実際に目で見たスケールは桁違いだ。東側は錫杖ヶ岳の稜線の連なりの向こうに伊勢平野が広がっていた。そして北面は眼下を川のように名阪国道が延びて、亀山も街並みとシャープの工場が見て取れる。奥には白銀の鈴鹿山脈がそびえているが、こちらはやや霞んでいたのが残念だ。

山頂は風がやや強いものの岩陰に入ればなんとか大丈夫なので、ここで食事をとった。とはいえ寒いので、食事が終わるとすぐに山頂を後にした。この展望は捨て難いが、もう一度来れたらいい。山頂直下のあずまやでアイゼンを装着。凍結した急坂の下りはアイゼンがないと怖い。9合目から西登山口へ向けて下る。ズンズンと下る。こちらは東登山道よりも自然林が多く、所々に樹林の切れ間もあるので、今度錫杖湖側から登るときは、こちらの道をピストンすればよいか。

西登山口のお寺に出たら、あとは平地を少し歩けば駐車場に着いた。登山道の斜度が急で、思ったよりも足に応えたが、なかなか素晴らしい山であることがわかった。

雪が残る稜線沿いの道

錫杖ヶ岳山頂に立つ

眼下に錫杖湖が広がる

東側の山の連なり

鈴鹿山脈は霞んでいた

陽射しが降り注いできた

帰りは柚之木峠の登山口を経由する、などという愚かなことはしないで、名阪国道の関ICを目指す。ついでに関宿に立ち寄ることにした。旧東海道の宿場町で、規模が大きい上に保存状態が良好なことが特徴である。1年前にも訪れたことがあるが、趣があって飽きることがない。

少し足を休めようと喫茶店に入る。以前は薬屋を営んでいた店で、19世紀初頭に建てられた旧家だが、風情がある。柱や梁の曲線がその古さを示すようであったが、良好に保存されている。

錫杖ヶ岳に登ったと店の主人に言ったら、遠い目をされた。山に登らない人だと、縁のない存在なのか?関町のあたりは、それほど雪が降らないという。丁度、鈴鹿峠が雪雲の通り道になっているが、錫杖ヶ岳にぶつかるのだそうだ。そして、伊賀から来たと言ったら、また遠い目をされた。

関宿を歩く

西の方角には山が迫る

喫茶店は江戸時代の家

考えてみれば、1年前に登った霊山が伊賀の山であるのに対し、錫杖ヶ岳はむしろ伊勢の山の雰囲気を持っているような気がする。関宿から見ると伊賀方面は錫杖ヶ岳を前衛峰とした険路が立ちはだかる。そして、京へ向かう旅人は、鈴鹿峠を超えて草津へと抜けるのが道理なのだと思った。


今までずっと気になる存在だった錫杖ヶ岳。今年の初山行として選んだが、期待に違わぬ素晴らしい展望が広がっていた。標高が676mと低いにもかかわらずこれだけの展望が得られるのは、鋭鋒であるが故のことだと思う。

今の季節に白銀の鈴鹿山系を眺めるのもよいが、芽吹きや新緑の時期、そして紅葉の時期にこの頂に立つのもまた素晴らしいことだと思うのであった。また登りたい山だ。

2009.01.25. by TAKASKE

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