鈴鹿山脈・銚子ヶ口(1,077m)、2008年11月09日、天候:曇り

コース:杠葉尾−銚子ヶ口山頂(往復)

銚子ヶ口東峰から釈迦ヶ岳を望む

鈴鹿山脈中部の銚子ヶ口に登った。山頂一帯の展望は抜群で、正面には主脈の釈迦ヶ岳が望まれ、山肌は鮮やかな紅葉を纏っていた。天候は終始曇りで、輝く紅葉を目にすることはできなかったが、鈴鹿山脈の中でも最も深いエリアにいることを実感できた。

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秋も深まってきたので、鈴鹿に登ろうと行き先を物色していた。しかし、9月2日に発生した集中豪雨により、特に三重県側は甚大な被害を受け、鈴鹿スカイラインの峠越えもかなわない。最初は雨乞岳を考えていたが、国道477号線を滋賀県側から入ろうにもかなり麓から通行止めで難しい。この豪雨の爪痕は、今後も大いに気掛かりなところである。

さて、そんな状況で浮かび上がったのが銚子ヶ口。一般ルートは杠葉尾からの往復だけであるが、幾つかのバリエーションルートが味わい深いという。とりあえず一般ルートを歩いてみることにした。

国道421号線で永源寺を横目で見ながら、車で愛知川を上流へと走らせてダム湖を過ぎる。やがて周囲の山肌が紅葉してきたところに登山口があった。これは期待できそうだ。天候は曇りで、伊賀を出る頃に降っていた雨は上がっていた。晴れ間は出てくるのだろうか?

スタートは植林帯から。無理のない緩やかな登りが続き、やがて植林帯のトラバース道となる。ところどころに自然林を交えるが植林帯が続く。緩やかな登りのまま、尾根を乗り越える。なおも植林帯は続くが、黒尾山からの尾根が寄り添ってきてこれを対岸に見ながらの谷沿いのトラバース道となる。対岸の斜面が木の間越しに鮮やかな紅葉に染まっている。

谷が浅くなってきて、流れを2度渡り、やがて緩やかに左に曲がり、自然林に変わると源頭部に差し掛かる。足元にはカエデの黄葉が敷き詰められていた。なおも源頭部を詰めれば、木々は落葉してくる。斜面を一気に登り尾根に立つと、目の前に大パノラマが展開した。

残念ながら曇り空は変わらず。しかし、ここからは鈴鹿山脈の県境を走る主稜線のピークの連なりが手に取るように見ることができた。銚子ヶ口の東峰はすぐそこだ。最後の急登を詰めていくと、振り返るごとに眼下の展望が広がり、浮揚感すら感じる。紅葉に染まる山肌が見事だった。

銚子ヶ口東峰からの展望は抜群だ。眼前に広がる主稜線は、御池岳から鎌ヶ岳までがパノラマで展開し、石槫峠の向こうには四日市のコンビナートと伊勢湾を認めることができた。颯爽とした県境の稜線の連なりとともに、滋賀県側の懐深さも際立つ眺望であった。眼下に展開する尾根筋、谷筋は複雑に入り組んで、関東にいたときに見慣れた奥多摩あたりとは明らかに異なる様相だった。

東峰で昼食をとったあと、最高点の銚子ヶ口本峰まで足を伸ばした。ここからは御在所岳と鎌ヶ岳の方角だけが開けて額縁のように見えた。それにしても、陽射しはまったくなく、寒い。もう、我慢できないので、山頂を後にして早々に下山にかかる。東峰からの下りは、眼下に広がる紅葉の山肌に向かい、空中に飛び出すような感覚だった。

尾根を外れて源頭部を下り、沢沿いの道になる。行きには気付かなかったが、大きな炭焼き窯の跡がある。標高1,000mに近いところに生活の痕跡があることに驚きを感じた。あとは植林の道が続き、所々に自然林を見る程度。正直、登山ルートとしては余り面白味がない。山頂付近の展望が立派なだけに、勿体ない。

斜度の緩い下り坂をひたすら下って、脚に大した疲れを覚えないうちに、登山口の杠葉尾に下り立った。どこにでもある田舎の風景だが、なんとなく独特感もあるような気がした。周囲の山肌は紅葉していたが、晴れていれば印象深いものであったに違いない。

沢沿いの紅葉

源頭部の黄葉の道を登る

展望地で釈迦ヶ岳に対面

銚子ヶ口東峰へと登っていく

染まる眼下の山肌

御在所岳、鎌ヶ岳を望む
(本峰山頂より)

源頭部を下っていく

沢の対岸は自然林

登山口・杠葉尾


なんとなく気になっていた名前の山、山頂からの展望は抜群で、鈴鹿中部の愛知川が刻む谷と尾根は、懐深さを存分に発揮していた。そして、山頂から眺める自然林の斜面は、見事であった。きっと、晴れていれば眩しいほどの紅葉であったに違いない。

ただ、メインルートの登山道は植林帯が中心で、あまり楽しめたものではない。Mackeyが”もう、これでいいかな”というのも肯けた。この山の魅力は、銚子ヶ口山頂から先にあるようだ。日が長くなった芽吹きの時期が良いという。この山にまた行くかどうかはともかく、鈴鹿中部の自然林をまた歩いてみたいと思った山行であった。

2008.11.21. by TAKASKE

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