仙丈ヶ(3,033m)、2008年07月26日、天候:晴ときどき曇

コース:北沢峠−五合目−小仙丈−仙丈ヶ岳−馬の背ヒュッテ−五合目−北沢峠

小仙丈カールと北岳、間ノ岳

Mackeyにとっては初めて、私にとっては12年ぶりの仙丈ヶ岳に登った。久々の南アルプスで、北アルプスとは違う素朴で落ち着いた雰囲気と北岳、甲斐駒などの雄大な展望、そしてカールに咲く花々を満喫した。北沢峠にはテントで2泊して、ゆったりのんびりと過ごした。

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第1日:7月25日(金)、天候:晴

伊賀から名阪国道、東名阪、名古屋高速を抜けて東名、中央と乗り継ぐ。恵那山トンネルを抜けると伊那谷が広がり、左側の中央アルプスは雲を被っていた。駒ヶ根ICで下りて、昼前だけど、ソースかつ丼を食べる。以前、Mackeyが木曽駒に登りながらソースかつ丼を食べなかったことで掲示板が盛り上がったことがある。入った店はなかなかの美味しさだったが、ボリュームが”拷問級”。食べ終わったら苦しいのなんのって^^;;;

そこから高遠の町を抜けて、仙流荘の駐車場に車を置いて、南アルプス林道バスに乗る。昼下がりで、真夏の陽射しが容赦ない。金曜日だが、バスが2台出ることになる。北アルプスのような登山基地とは異なる、素朴な山麓の雰囲気に懐かしさを感じる。ゲートを通過して戸台川の橋を渡ると、ぐんぐん登りはじめる。

やがて眼下は深い谷、吸い込まれそうになる。そんなところで止まらないでよ。目の前にカモシカが横切った。対岸には鋸岳が迫るように聳えている。奥に甲斐駒が現れてどんどん大きくなってきた。ひとつひとつの峰が存在感を誇示していた。そして険しい斜面の道がようやく終わりを告げて、深い針葉樹林帯の北沢峠に着いた。僕にとって北沢峠は3回目。前回は6年前、黒戸尾根経由で甲斐駒を制した時に、下山の際に立った。今、体力は相当に低下して、当時の面影はなくなってしまった・・・

標高2,030mのひんやりした中を駒仙小屋(旧長衛小屋)のテン場へと向かう。10分程度の歩きだが、今年初めてのテント装備を背負ってみると、脚力の低下を実感した。明日は大丈夫かな?

テントを張ってまったりとしていたら、近くのテントのおじさん2人組に声を掛けられる。片方が賑やかなことこの上ない。というか、半分酔っ払っていて、かなり強引。暗くなりはじめて周りのテントの人達が寝始めた状況の中でもなかなか話を止めてくれなくて、ようやく相棒がお開きにしてくれた。参った・・・

駒ヶ根のソースかつ丼

仙流荘で南アルプス林道バスに乗る

鋸岳と奥に甲斐駒が・・・


第2日:7月26日(土)、天候:晴ときどき曇

朝5時に出発。我々としてはかなり早い出発だ。陽射しが当たらないので、かなりひんやりとしている。小仙丈尾根への近道を登りはじめればやがて展望が開けて、北岳が望めた。山頂を雲が流れて、風が強いことを予測させる。その後はひたすら樹林帯の登りが続いた。涼しい中で快調と行きたいところだが、Mackeyのペースが余り上がらない。次々に後続に抜かれながら、ゆっくりと登っていく。三合目から四合目にかけての登りが思ったよりもきつかった。

五合目大滝の頭まで来ると、樹林帯の背が低くなり始めた。やがて短い潅木帯を抜けてハイマツ帯が始まると、背後に甲斐駒がシルエットとなってどど〜ん、と聳えた。小仙丈尾根から見る甲斐駒は、摩利支天を従えて殊のほか迫力がある。行く手には小仙丈が聳えている。思ったよりも見上げる位置にあって、ここからは太陽が容赦なく照りつける中を登って行く。ただし、風が吹いているのが救いである。

周囲の展望も登りのきつさを忘れさせてくれる。甲斐駒の右には栗沢山、アサヨ峰そして早川尾根、その奥には鳳凰三山と続き、野呂川が刻む深い谷も見事。やがて富士山も姿を見せた。

朝一番の北岳ポイント

針葉樹林帯の登りが続く

展望が開けて背後に甲斐駒が・・・

甲斐駒と鋸岳を背に登る

うっすらと富士山が現れた

深い谷の奥に鳳凰三山も

目の前に迫る小仙丈を仰ぎながら、展望にエネルギーをもらいながら登っていくと、前日にテン場で出会ったおじさん2人組に会う。予定していた小仙丈の手前だった。ようやく小仙丈に登りつくと、そこには抜けるような展望が広がっていた。北岳、間ノ岳とその奥に塩見岳も見てとれた。そして、何といっても、行く手に広がる小仙丈カールが印象的だった。

カールと山なみの展望に見とれてしばし休息。ここからはカールの縁に沿って登る。足元にはチングルマやハクサンイチゲなどの花が現れ、岩の間にもミヤマキンバイなどの小さな花が至る所で咲いていた。振り返れば甲斐駒が見守るように聳えていた。

眼下の展望は、小仙丈カールから、大仙丈カールと藪沢カールに変化して、目指すは山頂。雲が徐々に湧き上がってきた中、なおも足元に咲き乱れる花々を愛でながら、12年ぶりの山頂に立った。

北岳、間ノ岳、奥には塩見岳
(小仙丈から)

背後に甲斐駒を見ながら

ミヤマキンバイ

コケモモ

イワベンケイ

イワウメ

ツガザクラ

ミヤママンネングサ

山頂で昼食をとっていたら、雲がどんどん湧き上がってきて陽射しが翳るようになる。ここから眼下の仙丈小屋へ向けて下る。花は相変わらず種類が豊富。コケモモ、ツガザクラ、イワウメ、コイワカガミなど小さな花が多いが、圧倒的な群落ではない。藪沢カールの縁を回り、カールの中を下るようになると、ハイマツ帯の中に点々とキバナシャクナゲを見るようになる。カールの底にある仙丈小屋からは冷たい水が湧き出ていた。

喉を潤してから再び下る。キバナノコマノツメが数多く出現するようになる。キバナシャクナゲも相変わらず多い。そして多いのが低木のナナカマドで、白い花を点々と咲かせていた。ダケカンバも見られる。紅葉の時期はさぞかし鮮やかだろうな、と思わずにいられない。

馬の背の稜線が思ったよりも長く、行き過ぎたかな、と思った頃にようやく稜線を離れる。蕾の状態のマルバダケブキが群落となって現れてすぐに馬の背ヒュッテ。小休止してから再び下って、藪沢を渡る。樹林帯のトラバース道を行くようになる。これが思ったよりも小刻みなアップダウンを伴っていて、ボディーブローのように足に効いてくる。五合目大滝の頭に戻ってきたときには、かなり疲れていた。

そこからは来た道をひたすら下り続ける。やっぱり足に疲れがたまっている。この前の大峰・八経ヶ岳のような激しい下りではないけれど、意外と距離があって、北沢峠に下りてきたときには最終の下山バスには間に合うけれど、結局もう1泊しようということになった。疲れた中を長距離運転して、暑さの残る伊賀に戻っても仕方ない。

駒仙小屋でビールを2本買って夕食を作りつつ飲む。この日は声を掛けてくる人たちはいなくて、のんびりと過ごした。暗くなりはじめて少し早いけどテントにもぐりこむ。暗い空がピカッと光った。時々、パッと明るくなる。雷が近いのだろうか?下りて来た時には、雷雨になる気配はなかったが・・・。空が光る間隔が徐々に短くなってくる、心配になってテントから顔を出す。見上げる空は星が瞬いている。瞬く星空が時折パッと光っているのだ。やがて、雷鳴も聞こえるようになる。やだなー、雷雨になるのは。光の間隔が短くなり、雷鳴も迫ってきた。テントにポツッという音が鳴った。雨が降り始めたか・・・。しかし、雨音はすぐに止んだ。雷は遠ざかったかと思ったが、再び近づいてくる気配もしてきた。どうしよう・・・と思いながらも、こうなったら仕方ない、なるようになる、と考え始めたらいつしか眠りに落ちていた。結局、雨はその後一瞬降っただけで通り過ぎてしまったようだ。(Mackey談)

キバナシャクナゲ

キバナシャクナゲ

キバナノコマノツメ

仙丈小屋を後にする

ヤマガラシ

北沢峠のテン場


第3日:7月27日(日)、天候:晴

目が覚めると、すっかり快晴。小仙丈のてっぺんに真っ赤な朝日が当たって、徐々に山裾に下りて来る。この日はゆっくりと朝食をとる。テントを乾かすのに、日が射し込んでくるのを待つが、テン場は日陰のままだ。ようやく陽射しが届いた頃には、タイムリミット。朝7時20分のバスに乗るために、結局テントをタオルで拭いて畳む。

戸台口行きのバスに乗る。大平山荘を過ぎたあたりで2頭の小鹿を見る。運転手が言うには年々カモシカの生息域がニホンジカにとって代わられているそうだ。甲斐駒から鋸岳にかけてのギザギザの稜線は、朝日にシルエットを描いていた。下るにつれて気温が上昇することを肌で感じながら、仙流荘バス停に下り立った。

高遠の町に立ち寄り、城址公園や美術館、歴史博物館を散策。城址公園の桜並木はもちろん、今はひっそりとしている。土が濡れており、雨が降ったことを物語っていた。なんでも昨夜はものすごい雷雨があったようだ。北沢峠のテン場でみた稲光は、ふもとの雷雨によるものであった。

高遠温泉「さくらの湯」に入り、伊那市の中心で「伊那ローメン」を食べて、観光農場で農産物を買って、高速に乗り込む。早めに伊賀に戻ったが、この日は伊賀でも35℃を超えたようで、むーっ、とするような暑さに包まれていた。それだけで、どっと疲れが出てきた。

北沢峠のテン場から小仙丈を仰ぐ


久々の南アルプスに登り、しっとりと落ち着いた樹林帯と、森林限界を超えた展望と花を満喫した。北アルプスのような派手さはないけれど、その分人もそれほど多くはなく、テン場でもゆったりと過ごすことができた。

特に、小仙丈尾根の森林限界を超えたところから見た甲斐駒ヶ岳の雄姿には、心を打たれた。一つ一つの山が存在感を持ち、野呂川が刻む深い谷から立ち上がる様相は、南アルプスの魅力を余すところなく見せてくれた。

それにしても、この体力の低下はなんとかしなければ・・・。このところの車依存の生活の中で、少しでも身体を鍛えることを意欲的にしなければ、アルプス山行もままならなくなってしまう。

2008.08.14. by TAKASKE

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