奥飛騨・籾糠山(1744m)、2007年7月1日、天候:晴のち曇り

コース:天生峠−天生湿原−(ブナ探勝コース)−籾糠山頂−木平湿原−天生湿原−天生峠

陽射しに輝く鬱蒼としたブナ林

奥飛騨に素晴らしいブナの山の存在を知って、少々遠いながらも行くことにした。湿原とブナ林に彩られた、魅力あふれる山は評判通りであった。残念ながら山頂からの展望には恵まれなかったが、また行きたいと思わせる素晴らしい山行となった。

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伊賀から220km超、思ったよりもロングドライブで、前日は世界遺産の白川郷観光。ちょっと観光地化されすぎているのかな。合掌造りの民宿に泊まって美味しい料理に舌鼓を打つ。

翌朝は朝食を待たずに出て、展望台へ。朝日に照らされた集落が見事だった。ここから国道360号で、天生峠へと登っていく。一瞬、雲間から白山が姿を見せた。山頂からは見ることができるかな?なおもズンズン登って、標高1290mの天生峠駐車場に着いた。管理人がいて、500円を支払う。ここから標高差は約450m。比較的楽に登れるのがうれしい。

歩きはじめるとすぐにブナの木が現われた。雲が取れてきて陽射しを受けながら歩くと、やがてブナ林となる。明神岳のような虫食いはなく緑の葉を一杯に付けていたのでホッとした。そこから少し登れば、天生湿原に出た。尾瀬のように広くはないが、久々に見る高層湿原だ。花は丁度端境期にあるのか余り多くなかったが、ワタスゲが目立ち、ニッコウキスゲも咲き始めていた。

青空に流れる雲を見て再び樹林帯へ。ムシカリ(オオカメノキ)がこの時期でも咲いていたのには驚いた。小さな川を渡ると樹林帯が深さを増してきた。ここから分岐で、ブナ探勝コースを採る。

白川郷の朝

天生湿原

ウラジロヨウラク

青空に雲が流れる

この時期にムシカリが咲いていた

 

ここからはブナ林のメインルートを行く。陽射しに輝くブナ林が奥に続いているのがわかる。川の流れが反響し、素晴らしい雰囲気だ。ひときわ大きいブナの木。この日の「ブナ太郎」はこれで決まりだ。なおも勾配の緩やかな道を進む。下草も適度に生えていて、ワイルドな雰囲気も見られるのがいい。

少しずつ勾配を増して、やがて急登になった。急斜面にも太いブナが林立していた。林床にはマイヅルソウが点々と咲いていた。勾配が緩くなってきた。いつの間にか陽射しはかげって、いつしかガスが流れてきた。やがてブナにオオシラビソが混じってきた。林床にはゴゼンタチバナも現われた。結構好きな花、久々の出会いだ。

この日の「ブナ太郎」

見上げる姿も素晴らしい

樹肌の美しいブナを見て登る

マイヅルソウ咲く林床

シラビソ交じりの樹林に
ガスが流れる

ゴゼンタチバナも登場

山頂に向けて最後の急登。もはや、白山を望むことは期待薄となったが、それでも最後のひと踏ん張りで頂上を目指す。

ついに山頂に着いた。余り広くない山頂だが、一帯のブナの原生林が目に入る。上空を雲が流れて白山の展望はまたの機会に。時折雲が切れて、隣の猿ヶ馬場山が見える程度であった。その猿ヶ馬場山の斜面も一面のブナ林であった。

山頂一帯にはアカモノの花が咲いていた。写真を撮っていたら、いつしか、近くに座っていた富山から来たという3人組(男性1人、女性2人)と話し込む。なかなかフレンドリーな3人組だ。我々が三重県から来たのに驚いていた。北アルプスの話題になり、立山〜薬師の縦走もいいなと思うようになる。

そういえば、ここは岐阜県でも富山県境に近いところ。ブナ林もそうだが、日本海側の様相を呈していた。

山頂からの景色
(見渡す限りのブナ林)

隣の猿ヶ馬場山には雲が掛かる

山頂に咲くアカモノの花

思いの外山頂で時間をとった。富山県の3人組に「お先に」と一言、山頂を後にする。3人組もすぐに山頂を発ったようで、男性のにぎやかな話し声が追いかけてきた。

急坂を下りて分岐に出たら、今度は木平湿原へ向けて進路をとる。登り返しになり、意外なほどに疲れる。辺りは再びブナ林となり、白い幹のダケカンバも混じる。林床にはオオバユキザサが白い花をつけている。足元にはギンリョウソウが。これもあちこちで見られ、よくよく見ると可愛らしい(Mackeyは余り好きではないが)。

傾斜が緩めば疎林となる。相変わらずブナとダケカンバの林であるが、このあたりのブナは幹にいろんな植物を着生させて賑やかだ。なおも進んで行くと、木平湿原に出た。木平湿原。それほど広くはないが、やはり関西方面に住む人にとってはなかなか見ることができない高層湿原だ。湿原には、ツマトリソウが目立つ。赤く染まった一角にはモウセンゴケが開花していた。よくみるとあちこちで小さな虫がのたうちまわっていた。さわると粘り気があり、糸を引いた。

オオバユキザサ

ギンリョウソウは至るところに

サワフタギ(沢蓋木)という木の花

賑やかな衣装をまとったブナ

ブナやダケカンバの樹林帯を行く

木平湿原に出た

ツマトリソウ

モウセンゴケの花

 

木平湿原を出発。しばらくは平坦なぬかるみの道が続き、靴もズボンも泥だらけになってしまう。そして天生湿原へ向けて下り坂になると、ここからがブナのハイライトだ。

立派なブナの木が次々に現われる。枝ぶりが見事だ。この鬱蒼とした雰囲気がたまらない。1本1本が立派なので、仰いで撮影する形になる。全体の雰囲気がなかなか思うように撮れないのがもどかしい。林床も賑やかで、ややワイルドな感じだ。台高の明神岳のブナも素晴らしいが、林床がスッキリしていた。それとは全く違う様相で、静寂の中、潜るように歩いた。立ち止まってはカメラを構えて、惜しむことなく時間を使った。

急な下り坂が続いた。その下り坂がようやく終わりを告げたとき、振り返って目にした光景は忘れ難い。この雰囲気・・・異空間に迷い込んだような感覚・・・まさに、今回のブナ林探訪の中で最高潮に達した時間であった。写真ではどうしても表現しきれないのが残念なほどに、目の覚めるような興奮を覚えた。

そこからしばらくは平坦な道が続き、他のルートと合流した。そこからは来た道を戻る。小川を渡って、すぐに天生湿原の入口に着いた。意外な展開が待っていた(^_^)v

見事な枝ぶりのブナ

根曲がりのブナ

振り返りながら撮影

飽きもせずに何度も撮る

この鬱蒼とした雰囲気は写真では
撮り尽くせない!!

 

天生湿原の入口に出る。待っていたのは山頂で会った富山3人組。昼食をとっていた。どうやら、木平湿原で横道にそれている間に抜かれたようである。早く下山するので素通りしようとしたら呼び止められた。お茶を飲んでいけという。有難く頂戴し話し込んでいたら、何気なく下山して食事することを話すと、
「丁度いい。余っていたんだ。食べて行って」
と来た。いやいや、そんな申し訳ないので、と断わろうとしたら
「そんな気にすることないよ。うちらだって有難いから」
とおにぎりを1個ずつ頂き、さらに、これも食っていけとばかりにお漬物やデザートまで頂いてしまった。それがまた美味しかったこと!またまた楽しい時間を過ごして、おまけに昼食の心配もいらなくなった。よかった、よかったo(^-^)o

あとは天生湿原を来たときとは逆回りでのんびりと歩いた。湿原を抜けてあと少しで駐車場というところで、雨が降ってきた。午後2時頃、駆け込むように駐車場に辿り着いて大満足の山行は終わった。

再び天生湿原へ

ニッコウキスゲは咲き始め

タテヤマリンドウ


評判通りの見事なブナ林を、心行くまで愉しんだ山行となった。多少花期は外したが、湿原もあって、魅力的な山であることを実感した。遠くまで来た甲斐があった。残念なのは山頂からの展望。今回はお預け、ということはまた来いのメッセージか。確かに、この立派なブナ林の紅葉の姿を見てみたいと思う。是非とも歩いてみたいと思った。

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