大台ヶ原(1,695m)、2005年9月22日〜23日、天候:曇(22日)、曇ときどき霧(23日)
ガスが晴れて視界が開ける!(大蛇ーにて) |
TAKASKEにとっては98年以来7年ぶり、Mackeyは初めての大台ヶ原である。今回、大杉谷は前年の台風の影響により通行止め。復旧までに数年を要するというので、残念がっていたが仕方ない。日本一の雨量が育む大台ヶ原の森を時間を掛けて散策することにした。
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初日は大台ヶ原駐車場から、まず山頂を目指す。40分ほどであっけなく山頂へ。薄日も漏れるが概して雲が多く、遠望は利かない。伊勢湾や遠く富士山も見えるというが、夢のまた夢だ。
山頂からは東大台の周遊路を行く。9月だというのに既に山頂付近のゴヨウツツジは紅葉が始まっている。そして、一帯がゴヨウツツジ(シロヤシオ)の名所であることに気づかされる。来年の初夏にはまた来ようかと思わずにはいられなかった。
正木ヶ原は白骨化した立ち枯れのトウヒの中を行く。40年余り前には樹林帯だったというから驚きだ。そういえば、春に歩いた大峰の亜高山帯の針葉樹林も立ち枯れが目立っていた。同じことにならないかと少し心配。やがて健全なトウヒの樹林帯に入れば、尾鷲辻。更に歩いて笹原に出れば、神武天皇像の建つ牛石ヶ原。再び樹林帯に入りブナも現れてくれば、大蛇ーへの分岐に出た。ここで左へ折れる。メインの大蛇ーの岩に立つ。標高差800mの断崖をガスが吹き上がる。目の前は濃密な乳白色となっており、風を感じた。
と、一瞬の間の出来事だった。ガスが薄くなったかと思うと、切れ間が広がってみるみるうちに視界が開けてきたのだ!感動的な光景であった。生き物のように雲が踊っていたのだ!高所に立つ恐怖をしばし忘れるほどであった・・・
分岐まで戻ってから樹林帯を進めば徐々に下っていく。シオカラ谷の吊橋を渡って急坂を登り返せば、やがて雰囲気のいい針葉樹林帯を行くようになり、駐車場に出た。大台荘でゆっくりと休む。夜、満点の星空が広がっていた。天の川も見ることもできた。
日出ヶ岳からの展望 |
ゴヨウツツジは染まり始め |
正木ヶ原の風景 |
尾鷲辻付近の樹林帯 |
シオカラ谷を渡る |
翌朝、目を覚まして外を見てガッカリ。一面の乳白色のガスに覆われていた。しかも、樹木に雫を結び、雨となって滴るほど。期待した方が愚かであった・・・
西大台への道は深い森から始まる。濃密なガスに覆われて、幽玄な雰囲気の中を行く。水滴が降り注ぎ、この上なくウェットだ。そして雫の音を除いて静寂に包まれている。北海道を開拓し、大台ヶ原をも開拓することを目指したという、松浦武四郎の碑が建つあたりは、水の流れに沿って草原が開けてトリカブトが咲いていた。
再び樹林帯に入り、アップダウンを繰り返す。標高を下げたせいか、雲の下側に入ったようで、ガスが薄くなる。時折ガスが絡み、時折薄日も差す中を進むと、いつしかブナ林が広がってきた。4,800mmの年間降水量が根元や幹に多量の苔を纏わせて、力強さを感じさせる。これまでとはちょっと変わった様相のブナ林は、ニュージーランドのミルフォード・トラックのブナ林を連想させた。
七ツ池(といっても池は涸れている)の平地で一休み。再びガスが濃密になってきた。再び行けば、ブナも一層太くなってくる。なかなかの美林だ。これまで数多くのブナ林を見てきたため、奥多摩の三頭山や乳頭温泉郷のように"Excellent"と表現するには足りないが、すばらしい。
やがて徐々に高度を下げる。幾つかの沢を渡れば平坦になって、ここが”開拓跡”と呼ばれる場所だ。小さな流れに囲まれた場所で昼食をとった。再び歩き始める。小処温泉への分岐点まで、見事な樹林帯が続いた。最初は、小処温泉へ下ることも考えたが、またしても久しぶりの山歩き。体力を考えて、また時間的にも、交通手段の面からも今回はパスする。
そこからは足元の悪い単調な登り坂、そして山腹のトラバースが続いた。再び、樹林帯が見事になってくると、朝通った道に合流し、ほどなく駐車場に着いた。
歩き始めから濃密な森が始まる |
ブナ林が広がる |
苔むす樹林 |
キノコ類も目立つ |
七ツ池付近、霧に包まれる |
太いブナの幹 |
見事な林相のブナ |
巨大な倒木に生える苔 |
小処分岐付近 |
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大台ヶ原の魅力を満喫した山行であった。東大台は観光客の周遊コースになっているが、特に大蛇ーからの展望は圧巻であった。そして、西大台の深い深い樹林帯には大いに魅せられた。紅葉の時期はドライブウェイが大混雑するから無理だが、季節を変えて訪れたいと思った。
できれば、大杉谷も歩きたいけれど、当分は難しい・・・かな。
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