三方分山〜パノラマ台

富士五湖エリアの西側は踏んだことがありませんでした。「子抱き富士」も一度は目にしてみたい存在です。
パノラマ台へと向かう北側の斜面は雪に覆われていて、木々の影が縞模様を描いていました。

パノラマ台北面の雪に描かれた縞模様の風景

@期間 2003/2/15(日帰り)
A同行者
Bアプローチ 行き:富士急行・河口湖駅より車で精進湖県営駐車場へ

帰り:精進湖県営駐車場より車でJR甲府駅へ

Cルート 精進湖県営駐車場−精進湖バス停[910m]−女坂峠[1210m]−三方分山頂[1422m]
精進山
[1409m]−精進峠[1250m]−パノラマ台[1328m]−パノラマ台下[910m]−精進湖県営駐車場
(地図記載以外の標高は、等高線より読み取っているため、不正確です)

最高点:三方分山頂・標高約1422m,難易度:☆☆★★★

D天候
E所要時間 約5時間半(歩行+休憩時間)
Fポイント ・天気がよさそうなので山に行こうと考えていたら、山仲間の君から誘いがかかりました。場所は未定ということなのであちこち考えて(なかなかまとまらなくて・笑)富士五湖方面を探したところ、精進湖方面が面白そうだということになりました。そうそう、あの辺りはバスだと少し不便だからと敬遠してたのですが、「子抱き富士」はいつか見てみたいと考えていました。

・さて、中央線、富士急行線と乗り継いで、河口湖駅に着きます。空は晴れ渡って富士山もご機嫌な様子で姿を見せています。しかし、年末にあれだけあった雪がほとんど消えているのにはびっくりしました。ふと見ると、駅前のロータリーのド真ん中に君の車が止まっていて、「早く来い!」と手を振っていました。慌てて飛び乗りました。

・河口湖から西に車を走らせます。しばらく行くと前方から雲が湧いてきて、あっという間に我々の上にやってきて、富士山が隠れてしまいました。マジかよ〜(ショボン)。急にやる気が失せた状態になって、精進湖の県営駐車場に着きました。こんなところに広くて無料の駐車場があるとは、有り難いことです。

・富士山が見えないのに君は凝りもせずに三脚を立てて写真を撮ります。精進湖畔を来た方向に少し戻ると「精進湖」バス停で、三方分山の登山口になっています。寂しく古びた感じの集落を行きます。同じ富士五湖でも随分と違いますが、都会人の自分にはこっちの方が郷愁を誘っていいです。

・少し行くと精進諏訪神社が左手に見えて、そこに「精進の大杉」があります。樹齢1200年だとかで、なかなか見事です。その右隣は竜泉寺。ここは茅葺屋根のお寺で、珍しいことに軒下に鐘楼がありました。なおも狭い舗装路を登っていき、山道に入りました。

・やがて雪が現われてきました。最初はなんとか歩いていましたが、凍結していて滑るので4本爪アイゼンを着けました。傾斜がやや急になってくるとやがて樹間から三方分山が望まれ、少し上では精進湖が見下ろせました。すぐに女坂峠に着きました。木漏れ日が明るく、樹間から王岳、節刀ヶ岳が望まれました。

・そこからしばらくは緩いアップダウンの尾根道を行きます。北斜面は雪がビッシリ着いており、また北面に何箇所か崩壊地がありました。それ以外は顕著な急登もなく快適な稜線漫歩です。

・三方分山への登りに差し掛かると、残雪が多くなってきます。ふと見れば、周りにブナの木が目立つようになってきました。登り切ったと思ったらしばらく平坦な道が続き、ようやく三方分山の頂に着きました。

・山頂にはカラマツが生えていて、南面が切り開かれており、そこから富士山が望まれました。雲が取れてよかったけど、逆光であまり条件がよくありません。I君、三脚を立てて記念写真。富士山写らないって・・・西の方面は樹間にわずかに白銀の南アルプスが望めましたが、写真に撮るにはかなり苦しい状態でした。ここで昼食です。

・白銀の南アルプスを早く見たいので、休憩は短めにして切り上げます。三方分山頂からは、南に向きを変えて稜線漫歩が続きます。時折樹間から南アルプスが望めました。しかし、スッキリと望める場所はありませんでした。

・精進山に着けば、精進湖方面の展望が開けます。太陽の位置が少し移って、見事な「子抱き富士」が姿を現しました。

・精進山からはやや急な下り坂を行きます。南面なのでほとんど雪がありませんでしたが、時折凍結箇所が現われるので、アイゼンは外せません。また、一部、木の枝が気になるところもありました。

・緩やかなアップダウンを繰り返していると、辺りは常緑樹のアセビが目立ってきました。冬の樹林帯では存在感があります。更に行けば、ブナが増えてきました。ヤドリギがついているブナもあります。精進湖への道を分けて、パノラマ台へ向けての登りになりました。

・パノラマ台の北面、雪にビッシリと覆われた中を登っていくと、やがて広々とした雪の斜面になりました。ミズナラの木が立っていて斜めの陽射しを浴びて、雪に縞模様を描いていました。登りきると水平な道が続き、右の方から光が射してきました。樹間に、光を反射した本栖湖の湖面が見えました。やがて樹林帯が切れてパノラマ台の山頂に到着しました。

・今まで歩いてきた稜線が手に取るように見えました。三方分山の東西に頂稜がよくわかります。眼下には精進湖、奥に王岳、十二ヶ岳、節刀ヶ岳を目立たせた御坂山塊、精進湖の右側には青木ヶ原の見事な樹海、その奥に足和田山が頭をもたげていました。

・遮るもののない展望です。あれ?富士山は?ああ、なんと、押し寄せる雲に今にも飲み込まれそうになっていて、やがて隠れてしまいました。しかし、南西方向、眼下の本栖湖の湖面から光が発せられていました。息を呑むような光景でした。また、本栖湖の奥に聳える竜ヶ岳も堂々とした姿でした。あの辺の山にも登ってみたい、そう思わずにはいられませんでした。

・思う存分、展望を楽しんで、下山にかかりました。自然林の中を下って行きます。途中で樹林の切れ間から富士山が復活しているのが見えました。でも今度は、大室山の姿が雲に隠れていました。この日は念願の「子抱き富士」を見ることができたけど、親が隠れたり、子が隠れたりで、まるで現代の親子関係みたいな感じがしました(^^;;

・400mほどの下りは、樹間から見える精進湖の湖面がどんどん近づいて、思ったよりも早くゴールに到達しました。駐車場はすぐそこです。振り仰ぐ先に、通ってきた三方分山が見えました。

G総括 ・自然林の中、素晴らしい山行ができました。展望は思ったほどではなかったけど、この自然林が見事でした。今の時期、林間に射し込む光も強くなってきて、「光の春」を実感した印象深い山行になりました。

・富士五湖エリアの西側は、山中湖、河口湖方面とは違って観光地化されていませんが、素朴な自然に恵まれた素晴らしいエリアだと思いました。真冬は相当の寒さかもしれませんが、今回は寒気が緩んで、快適でした。

・しばらくは花粉が飛ぶので、山はお休み・・・かな?春眠ということで(^^;

H気付事項 ・危険箇所を挙げるとしたら、女坂峠から三方分山に至る鞍部の、北面が崩壊しているところです。それ以外は、実に安全です。とはいえ、大雪が降るような状態になれば油断はできません。

・精進湖県営駐車場は広いです。無料だし、水洗トイレがあるのが素晴らしいです。しかしバスの場合は本数がそれほど多くなかったと思います。

・パノラマ台の山頂にはトイレがありますが、仮設で粗末です。水場は・・・女坂峠の下にあるように地図には記載されていますが、よく憶えていません。この周回ルートでは期待しないほうがよいでしょう。

I余談 ・帰りは下部方面に下りて、鰍沢の十谷温泉を目指しましたが、「本日休業」。仕方ないので富士川沿いを竜王町まで北上して、山口温泉という温泉に入りました。住宅地の中の温泉というのがイマイチですが、少しぬるいので長湯したら身体が温まりました。夏にまた入ってみようかな。その後、「小作」でほうとうを食べて、甲府駅で解散となりました〜(^^)

※印はクリックすると拡大表示されます。(*)印は同行者の撮影です。

「精進の大杉」が立つ神社の隣に茅葺屋根のお寺がありました。鐘楼が軒下にあって珍しいです。

茅葺屋根のお寺(*)

女坂峠へとジグザグを切って登る途中から、三方分山が望まれました。

女坂峠手前から三方分山を仰ぐ

明るい光が降り注ぐ尾根を行きます。右側の北斜面には雪が残っていました。

女坂峠から三方分山へと行く

このあたりはブナの木が多く、雪がビッシリ残っていました。

三方分山直下のブナ林

山頂で休憩をとります。カラマツ林となっていて清々しい雰囲気です。

三方分山のカラマツ林

三方分山を少し過ぎたところで、樹間から北岳、間ノ岳が望まれました。見事な雪山の姿です。

樹間より望む北岳、間ノ岳

富士山の中腹に雲がかかっていましたが、大室山を抱えた富士山の姿が印象的でした。※クリックすると拡大表示されます。

※子抱き富士(精進山から望む)

落葉樹の自然林の中をパノラマ台へと向かえば、アセビが目立ってきました。

アセビの多い登山道をパノラマ台へ

小さな精進湖の左に、頂稜の長い三方分山が全貌を現しています。奥は王岳、十二ヶ岳、節刀ヶ岳方面です。

パノラマ台から三方分山と精進湖

精進湖の右側に広大な青木ヶ原の樹海が広がり、その奥に西湖と足和田山が見て取れました。

青木ヶ原と足和田山

水面が光る本栖湖が目に入りました。湖面にさざ波が立っています。湖面の奥の方には雲の影が写っていました。

パノラマ台から見下ろす本栖湖

 


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