板取山〜沢口山 |
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南アルプス深南部・・・山深いエリアへの憧れが少しずつ増して、その入口に辿りつきました。 | ||
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@期間 | 2003/6/11(前夜泊・日帰り) | |
A同行者 | なし | |
Bアプローチ | 行き:大井川鉄道・駿河徳山駅よりタクシーで山犬ノ段へ 帰り:寸又峡温泉よりバスで大井川鉄道・千頭駅へ |
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Cルート | 山犬ノ段[1404m]−八丁段ノ頭[1562m]−板取山[1513m]−天水[1521m]−沢口山[1424m]−寸又峡温泉[540m](地図記載以外の標高は、等高線より読み取っているため、不正確です) 最高点:八丁段ノ頭・標高1562m,難易度:☆☆☆★★ |
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D天候 | 晴ときどき曇 | |
E所要時間 | 約6時間(歩行+休憩時間) | |
Fポイント | ・6:15発の大井川鉄道の始発電車に乗って大井川をさかのぼって行きます。谷間は広く、安倍川とは違った懐の深さを感じました。駿河徳山の駅に着けば、予約していたタクシーが待っていました。 ・タクシーは山奥へと分け入って、ぐんぐん高度を上げていきました。いつしか山の中腹を行くようになり、ダートの道になります。これがものすごい悪路。年寄りの運転手には悪いなあと思ってしまいましたが、いつものことに違いありません。 ・8時過ぎに山犬ノ段につきました。標高1400m余り。外に出たときの空気の香りが違っていました。そして、青々とした葉を着けたブナの大木が至る所に見られました。素晴らしい山行の予感がしていました。 ・山犬ノ段を後に、歩き始めます。最初から見事なブナ林が続く中を行きます。鳥のさえずりとハルゼミの鳴き声が響き渡っています。ブナ林は見事ですが、スズタケが密生しているせいか、カメラを構えても構図が冴えないのが残念なところ。 ・緩く登って八丁段ノ頭を過ぎれば、ホーキ薙というガレの縁に出て、縦走する稜線が見えました。目に鮮やかな緑色の稜線が続き、その一段高いところが天水のようです。 ・再びブナ林の続く中を行きます。その中に、両腕を振りかざしたような力強い木がありました。”オレがチャンピオン”と誇示するような、黒々とした太い幹が印象的なブナでした。 ・そこからわずかに歩けば板取山に出ました。北東の方角が切り開かれていて、朝日岳と、その奥に大無間山の雄姿を見ることができました。大無間山の左奥には聖岳から光岳にかけての稜線がうっすらと見えました。聖岳から上河内岳あたりは残雪も目立っていました。 ・板取山から天水にかけては明瞭な稜線が続いて、ゴヨウツツジの木が生えていました。しかし、花はその痕跡すら見ることができませんでした。天水が近づいた頃、背後にハアハアと荒い息遣いが・・・犬でした。すぐ後をピタリとついてきて、一緒に天水の山頂に到達しました。少し遅れて若い3人組がやってきました。 ・天水では北側の展望が開けます。目の前、大間川が刻む深い谷を隔てて、前黒法師岳の堂々たる山体が聳えています。その左奥には黒法師岳が頭をもたげていました。北東の方角には朝日岳と大無間山、これから行く稜線の先には沢口山がありました。ここで食事を取りました。 ・何組かやってきて、狭い山頂は一杯になってきました。まだ行程の半分、ゆっくりしたい気持ちを振り切るように立ち上がります。犬が無神経にも通せんぼするので、コラコラとひとなでしたら道を譲ってくれました(笑)。縦走の後半が始まります。 ・ここからは稜線の状況が全く変わります。にわかに広く平らな稜線になり、踏み跡も目立たなくなり、辛うじて赤ペンキに導かれながら進んで行きます。このあたりはカラマツが目立つ樹林帯です。 ・あたりは獣の糞が目立ってきて、一層濃密な雰囲気になってきました。と、前方で木がガサガサッ!と音を立てて、慌てて逃げていく猿の群れを発見。襲われたらやだなーと思いながら、通過しました。 ・横沢ノ頭まで来れば再びブナ林となります。このあたりは、林床に笹がみられません。ブナと一緒に、樹肌が真っ赤なヒメシャラも登場してきました。 ・突然目の前を比較的大型の鳥が飛び立ちました。飛び立ったというよりは、飛び跳ねるようにして、あたりを駆け回っています。何だろう?と思っていたら足元に7、8羽のヒナ鳥が散るように逃げ出しました。親鳥は興奮したようにあたりを駆け回り、ヒナ鳥がいた巣と思われる場所から離れて行きます。悪いことしたなぁ。無事に巣に戻ってくれればいいのですが・・・それだけ人通りの少ないコースだったのでしょう。 ・緩い登りが続いて沢口山に到達しました。北面はマイクロウェーブ反射板の設置によって、大きく切り開かれて、目の前には朝日岳と大無間山が重なるように見えていました。しかし、雲が増えて遠望はまったく利きませんでした。これから下りて行く先の谷間から、人の生活を感じさせる雰囲気が伝わってきました。 ・寸又峡までのラストステージは、高度を大きく下げます。山頂から一旦急坂を下ったところに鬱蒼とした平坦地が現われます。あたりはブナやミズナラの自然林。そして、「鹿のヌタ場」とよばれる窪地が現われました。近くには見事なミズナラの大木もありました。ヌタ場を通過すると一気に高度を下げ始めました。 ・明瞭な尾根筋の道を行けば、西側の谷間から、大きな沢音が響いてきました。大間川の流れでしょう。まだかなりの標高差がある深い谷間に響いていました。 ・植林帯を絡めるようになると木馬(きんま)ノ段と呼ばれる地点を過ぎ、次いで寸又峡へ下るもう一つのコースとの分岐を過ぎます。急坂がひたすら続きました。谷間から車の音が聞こえるようになってきました。 ・それほど明瞭なアップダウンのないコースでしたが、最後の下りは足に応えました。膝がガクガクし始めています。着実にゴール地点へ向けて高度を下げていることを実感していたそのとき、アクシデントが発生しました。 ・目の前を飛ぶ虫に気を取られた一瞬のことでした。着地した右足首が返ってしまい、全体重がかかります。筋が切れる音がはっきり聞こえて、倒れこみました。やってしまった。激痛に顔を歪めながら身体を起こし、靴を脱ぎます。骨は折れていないことがわかり少し落ち着いて、テーピングで固定して歩きはじめました。 ・ストックを使いながらなんとか下り続けることができました。思ったよりも高度を下げていたようで、30分ほど足を引きずりながら下り続けて、下山口にたどり着きました。ホッとしました。 ・下山後の楽しみは温泉。日帰り温泉の「美女づくりの湯」で汗を流します。傷めた右足首を湯船の上に出した状態にしながら浸かるのはちょっと面倒だったけど、汗を洗い流して満足な気分。 ・風呂から上がって外に出て、下りてきたばかりの山稜をボーッと見上げて、ビールを飲みながらバスを待つ・・・こたえられませんな(笑)。足首を傷めたことも、いい思い出になろうとしていました。 |
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G総括 | ・初めての深南部は、痛〜いオマケ付きでしたが、大満足の縦走となりました。むしろ奥大井という名前が合うような深南部の入口ですが、なんとなく”果て”を連想させるような雰囲気でした。 ・山深い中、潜るように歩いた縦走でした。展望もほとんどなく、時に息苦しさすら感じるほどの緑の中を歩き続けました。当初は沢口山の往復だけを考えていましたが、前泊にして、縦走コースに変更したことで、はるかに充実した山行となりました。 ・ブナ林がこれほど見事だとは知りませんでした。太平洋側に見られる黒々とした幹が高く聳えていました。ヒメシャラとの混生林であることも、初めて意識して眺めることができました。山犬ノ段を挟んで反対側にある蕎麦粒山も見事なブナ林だそうで、足を伸ばしてみたいものです。 |
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H気付事項 | ・大井川鉄道の始発に乗るには、静岡前泊では無理です。掛川なら乗れます。また、タクシーは前日までに予約しておくことです。大鉄タクシーTEL.0547-59-2355です。千頭駅からよりは駿河徳山に来てもらうほうが山犬ノ段に早く着きます。料金は¥9,000也。あれほどの悪路を走ってくれたから、万札渡して¥1,000チップにあげてもいいくらい。(でも、しっかりお釣りはもらいました・笑) ・山犬ノ段には立派な小屋(休憩舎と称している)があり、トイレもあります。 ・このコースは水場が全くありません。ただし、山犬ノ段に着く1kmほど手前の林道に湧き水があります。補給するなら、そこを逃さないこと。 ・八丁段ノ頭を過ぎてホーキ薙の縁を通るところは、道が付け替えられています。進入禁止のロープに従って歩いて下さい。無理してショートカットすることのないように! ・天水から沢口山へ向かう稜線は、広い上に踏み跡がはっきりしません。木の幹にペンキが吹き付けてあるので注意すれば大丈夫ですが、雪が降ったときには格段に難易度が増すと思います。 ・また、天水〜沢口山の間は、野生動物と遭遇する確率が高いように思います。こちらの存在を早めに知らせる意味からも、鈴を携行されたほうがよいかもしれません。(鳥の巣を荒らしてしまったことには、未だ罪悪感が消えず・・・) |
青空に突き上げるブナ(山犬ノ段) |
ホーキ薙の縁より天水を望む |
”オレがチャンピオンだ!” |
板取山より朝日岳、大無間山の展望 |
天水を過ぎれば広い尾根道を行く |
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沢口山直下「鹿のヌタ場」付近を行く |
寸又峡の風景 |
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