平ヶ岳
尾瀬でその雄大なる姿を見て以来,憧れつづけていた山です。雑誌の山行記録を読んでは,遠い頂へ続く道を一歩一歩進んでいく自分をいつも想像していました。
@期間 8/14〜8/15(山中1泊2日)
A同行者 I君
Bアプローチ 関越道・小出ICより,シルバーラインを経て,鷹ノ巣へ(車使用)。

公共交通の場合,
1)上越新幹線・浦佐駅より,奥只見ダム行きバスで終点下車。船で尾瀬口へ。尾瀬御池方面行きバスで,鷹ノ巣へ。
2)野岩鉄道会津鬼怒川線・会津高原駅より尾瀬御池行きバスで終点下車。尾瀬口行きバスで鷹ノ巣へ。

Cルート 第1日:鷹ノ巣(前夜泊)−下台倉山−台倉清水−白沢清水−池ノ岳−キャンプ場−平ヶ岳−キャンプ場

第2日:キャンプ場−玉子石−キャンプ場−池ノ岳−白沢清水−台倉清水−下台倉山−鷹ノ巣

(最高点:平ヶ岳山頂・標高2141m,難易度:☆☆☆☆☆)

D天候 第1日:雨のち晴

第2日:曇のち雨

E所要時間 第1日:約8時間半(鷹ノ巣〜キャンプ場;歩行時間約6時間,休憩時間約2時間半)/約1時間(キャンプ場〜平ヶ岳周遊)

第2日:約1時間(キャンプ場〜玉子石往復;休憩時間含む)/約5時間(キャンプ場〜鷹ノ巣;歩行時間約4時間,休憩時間約1時間)

Fポイント ・前夜,鷹ノ巣の「ヒュッテふらんどる」のおやじさんは,天候のパターンや平ヶ岳のコースタイム設定,中ノ岐林道の危険性(降雨時の急激な増水)などについて詳しく説明してくれました。

・鷹ノ巣入りした前日以来の雨が間断なく降り続いていました。登山口で合羽を着たところで,急に雨が上がってきました。

・登山口から約10分,下台倉沢の徒渉点は増水していました。足を踏み入れるとさらわれそうです。余りにも不安定な丸木橋(増水のために仮設された?)を四つん這いで渡りました。

・樹林帯はほどなく抜けて長大な稜線の急登が続きます。天候が回復して太陽を背に受け,滝の汗が流れます。このヤセ尾根は上台倉沢と下台倉沢のU字谷の間にそそり立ち,沢音を両側に聞くことができます。雪食地形が発達しているためで,穂高のザイテングラートの規模を大きくしたようにも感じました。

・急登は果てしなく続くようでした。ところどころに松の木が目印の小突起(というか肩)がありました。辿り着くと先に続く急坂が見えます。焦らず小休止をとって,息をととのえました。ようやく下台倉山について,傾斜がゆるくなりました。

・今度はぬかるみとの戦いです。特に台倉山から白沢清水の間は,ものすごいぬかるみでした。降雨直後でまさに田んぼを歩くようなひどさで,靴はあっという間に泥だらけになりました。スパッツも効果なしです。

・台倉清水で昼食をとりました。汗まみれの体臭に引き寄せられてか,アブやスズメバチがつきまとって大変でした。

・ぬかるみとの戦いが続きます。次の水場である白沢清水は唯一の湧き水で,とても冷たく,池ノ岳へ向けての「力水」といったところでしょう。

・日も傾いてきました。池ノ岳への急登は,登りのラストステージです。稜線から振り返ると,これまで通ってきた尾根道の長さに,苦難の道程を思わずにはいられませんでした。

・池ノ岳に登りつくと風がやさしく吹いてきました。深いハイマツの中を進むと,突然,目の前に姫ノ池が現れました。この上ない感激の瞬間で声をあげずにはいられませんでした。水面に西日まぶしくゆれていました。

・平ヶ岳山頂の広大な湿原は,静かに気取らずに我々を迎え入れてくれました。ひたすら続く木道以外は原始の姿そのものでした。

・宵のうち,素晴らしい星空が見られましたが,やがて雲がかかり風がでてきました。

・翌朝は雲の中。玉子石の向こうの池塘群を風に乗って霧が流れていました。

・来た道を下山します。ぬかるみとの格闘のあと,下台倉山からの下山路はものすごい急坂で膝に応えました。ただ,坂自体は南アルプスのドンドコ沢ほどではなかったと思います。

・最後の下台倉沢の徒渉点。水が幾分引いていました。飛び石伝いに渡ろうとしたのですが,バランスを崩して転落してしまい,濡れ鼠状態に。そのとき雨が降ってきてあっという間に土砂降りになってしまいました。濡れるなら同じことだけど,やっぱり悔しかったな…

G総括 ・梅雨前線が北上しない異常な夏の気象,しかも数日前には新潟県下で集中豪雨があったばかりでした。その中で,前線が太平洋側へ南下した間隙をついた絶妙のタイミングでの山行でした。気象通報で天気図をつける執念が報われました(「ヒュッテふらんどる」にはテレビがなかったので,ここでも天気図を描きました)。

・登り始めに雨は上がり,頂上では快晴とはいかなかったものの晴れ渡り,下山間際に再び降り出したわけで,欲を言えば,あと20分降らずにいたら…

・ぬかるみは降雨直後のせいで一段とひどかったようです。なにしろ前日まで豪雨だった訳ですから。帰りの方が幾分水が引き気味でしたが,やはり田んぼ状態の箇所は多くありました。

・テント場は合計5張。山頂で不届き者により1張。行きにすれ違った人も10人に満たない状況でした。帰りは20人程度すれ違いました。悪天候とはいえ,お盆休みでこの人数は素晴らしいことです。なお,中ノ岐林道から来た人には出会わなかったように思います。

・苦難の果てに辿り着いた山頂の原始の雰囲気は,筆舌に尽くし難いほどでした。まさに限られた者だけが許される聖域でしょうか。深田久弥が書くように,この素晴らしい自然が永久に保存されることを切に祈ってやみません。

・平ヶ岳に関する詳細は,”http://www.convention.co.jp/ip/hira/hiragatake.html(平ヶ岳の総合ホームページ)”に記載されており,今回の山行にあたっても,これを参考にしました。

H気付事項 ・登山地図のコースタイムは空荷が前提という「ふらんどる」のおやじさんの忠告は間違いではありませんでした。山頂泊りの場合,歩行時間6時間の5割増しはみておいた方がいいと思います。下台倉山までの登りはエネルギーの消耗を抑えるために,ペースを遅くして休みも多めにとったのがよかったみたいです。

・雨が多かったので,台倉清水,白沢清水とも涸れていませんでしたが,台倉清水はやや濁っていました。また,鷹ノ巣の水も降雨直後のせいか濁っていました。2.5L用意したのですが,最初の急登でかなり飲みました。台倉清水で昼食をとった場合にはここで補給することになるでしょう。水質は白沢清水の方がよいのですが水量が少なく涸れることも多いそうです。この点からも台倉清水の補給は欠かせないと思います。

・台倉山から白沢清水までの間の「ぬかるみ」はどうしようもありません。晴天が続いたとしても,どうでしょう。泥だらけ覚悟でなければ,布製の軽登山靴は奨められません(防水も一発でダメになりそう・・・)。

・テント場は3ヶ所に分散しており,全部で10張程度のキャパシティでした。水は沢水であり,上流側にテントを張ったときには汚さないようにしたいものです。

・60Lのザックを背負っての下りはブレーキが効かないので一歩々々踏みしめる必要ありです。一方,荷を軽くして日帰りピストンの場合,13時間はみておいた方がいいと思います。

 

 

姫ノ池にて平ヶ岳を背に

平ヶ岳山頂一帯の湿原

玉子石と池塘群

台倉山付近より燧ヶ岳

ミヤマママコナ(下台倉山付近)

 


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