花紀行−2019年4月
山形県天童市
(舞鶴山の「人間将棋」と倉津川の枝垂桜)
花見は毎年のように愉しむが、桜そのものを愛でに行くことが大半だ。気付けば、桜の下で開催されるイベントを目的に行くこともめったになかった。
1ヶ月半ほど前のことだ。温泉旅行の帰りに山形県の天童に立ち寄ったときに「人間将棋」のポスターを見掛けた。まあ行くことはないだろう、とそのまま記憶の底に眠った状態のまま、春を迎えた。記録的な暖冬を打ち消すような寒の戻りで、桜の開花は平年並みかやや遅め。今年は今まで一度も行ったことのない山形県で花見を・・・と思って調べていたところ、まさに「人間将棋」と桜の見頃が重なる週末の巡り合わせに、これは行くしかない!と向かうことにした。
「人間将棋」といえば、子供の頃から全国ニュースで知っていた。武者の格好をした人たちが将棋の駒となる優雅な風景が記憶に焼き付いている。満開の頃だったかな?なんとなく葉桜のイメージがあったのだが・・・期待に胸を膨らませて、シャトルバスに乗って舞鶴山に山頂へ。下り立てば、まさに満開の桜!快晴の青空の下でこの上ない条件だ!対局は初日で女流棋士の対戦だった。ニュースで見る優雅さだけでなく、前後に東西両軍の武者の1対1の斬り合いや、織田信長に扮した行事役が登場したり、対局半ばでも観客も交えたやりとりがあって、なかなか面白い時間を過ごすことができた。
「人間将棋」観覧の前後、舞鶴山の山頂の展望台から天童の街並みや、盆地を囲む山々を眺める。印象的だったのは純白に輝く月山。満開の桜を前景に聳える月山はこの上ない美しさで迫ってきた。月山から左に連なる朝日連峰も数々の白い頂を見せていた。また、北側に広がる盆地も絶景で、天童という町の豊かさを実感できた。
山を下れば倉津川畔の枝垂桜の並木を歩く。濃淡が微妙に異なるも、ピンク色の濃い花を見せている。こちらはまだまだ若い木が大半で、これから20年、30年後に風格のある並木道になるのだろう。西に向けて歩けば、傾きかけた陽射しを反射する川面にピンクの簾が掛かっていた。
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